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【挑戦】ブエノスアイレスマラソン完走

9月24日(日)に行われた「ブエノスアイレスマラソン42km」何とか完走しました。完全なる練習不足で、めちゃくちゃきつい42.195kmでした。記録を残しておきたいと思います。


スタートの雰囲気が素晴らしい

ブエノスアイレスの主要なところが回れる(走りながら)

スタートは7時。4時には起きて、朝食やトイレを済ませて、5時30分には家を出た。Uber(配車アプリ)でスタート地点の公園付近までむかう。交通規制があるので、途中で降ろしてもらってそこから1kmほど歩く。あたりはまだ薄暗く、スタート地点の公園に1時間前に着くと、既にたくさんの人が集まっていた。気温も13度くらいで清々しい春の朝といった感じだ。

この日、12000人が参加したブエノスアイレスマラソンのスタートはアルゼンチン国歌が流れ、とんでもなくでかい国旗が開始を待つランナーの頭上の通り、明るい雰囲気で始まった。

スタートと同時にノロノロと歩き、とにかくすごい人だったので、4分くらいしてようやくスタートラインを通り過ぎる。ここがゴールラインになるのだが、5時間後に想像以上に満身創痍でボロボロの状態でここに戻ってくるとは、知る由もない。

スタートから10kmは5分30分ペースで軽快に走った。何より、ランニングがめちゃくちゃ楽しかった。数kmの間隔で水やスポーツドリンクの水分補給ができるようになっている。何度かもらいながら進んだ。ちなみにエイドは数回、バナナが準備されていた。

日本のマラソンに比べて沿道に人は少なく感じた。そんな中、10km地点で同僚の方々が応援に来てくれていて、とても嬉しかったし、元気が出た。

例えば誰もいない道を一人で42.195km走れと言われて走れるかと言われれば、しんどいと思う。恐らく途中でリタイアすると思う。結局、誰かの応援があるからこそきついことでも頑張ることができるということを再認識した。

しんどい時にどうメンタルを保つか?

21km地点、前方にオベリスクが見える粋な計らい(が、きつかった記憶しかない)

淡々と走ること21km地点。この時、正直めちゃくちゃしんどかった。足が明らかに重たい。1kmのタイムもジリジリと、5分30秒から後退していた。自分の頭の中のイメージに足がついてきていない。20代の時に走ったマラソンの記憶では折り返し地点は「まだいける!」くらいのイメージがあった。それもあったからか、ここから21kmも走るのかと絶望的でネガティブな気持ちになっていた。

走りながら考えたことは「何とか自分を鼓舞しなければ」ということ。主人公がきついことに耐えながらも頑張った物語の何かを思い出そうとするも、そんな付け焼刃はあまり意味がなかった。ならば、「自分の頭以外はロボットだ、足は淡々と動いているだけで、感覚はない。」と言い聞かす(いつもの)作戦を試みたがこれも大した効果はなかった。

今回、誤算だったことは大会前にあまり気持ちを高ぶらせてこなかったことだ。「楽しむでー」くらいの気持ちで走りにきてしまった。例えば「気持ちの高まる熱い曲を聴く」「長谷川穂積の情熱大陸を見る」「映画『海猿』を見る」など、気合いを入れるためにできることは何パターンもある。そうすることでいざきついときに粘ることができたのかもしれない。

次から次へと後ろから追い抜かされていく。ここまで抜かされ続けると、惨めな気持ちになるし、自分がとても弱い人間だと思えてくる。

きついながらも何とか一歩一歩進むしかない。

ボカスタジアム付近、このあたりが本当にしんどかった

バナナと応援で生き返る

そうこうしているうちにようやく30km地点まできた。2回目のバナナの補給で半分に切られたバナナを4つくらい食べた。すると、ハッと脳が反応し、視界がクリアになった。身体にエネルギーが回った気がした。

ブエノスアイレスマラソンはエイドの補給場所が少ないように感じる。私は素人ランナーなので勢いでマラソンに参加している。本格的な人はカロリー計算もして、エネルギーを補給するゼリーなどを腰につけて走っているんだと思う。

とにもかくにも、30km地点を過ぎてバナナを食べた時に、何か身体にみなぎるものがあった。少ししんどさを通り越したランニングハイみたいな感覚がでてきた。ここからも淡々と走り続けた。

また、沿道の応援が力になった。そんなにたくさんではないのだが、途中で「¡Vamos los chicos!(がんばれ、若者たち!)」
「¡Fuerza!(パワー!)」
「¡Suerte!(うまくいけばいい!)」
「¡Si, se puede!(やればできる!)」
「¡Falta poco!(あと少し!)」         ※訳には自信なし
と、応援してくれる人たちがいた。
またハイタッチしてくれる小さい子どももいた。

あと、面白かったのが、「ここ(★)を触るとエネルギーをチャージできるぞ!」と書いた看板に★のマークがついている。これには迷いなく「グラシアス!」と言って、叩きながら走った。

これには元気が出た。この場を借りて、本当にありがとうございました。やはり応援が力になる。何故この人たちは見ず知らずの自分を応援してくれるのか?自分もきつい思いをしている人を応援できるような人間になりたい、という考えまで頭に浮かんだ。

高速道路の上を走る

ブエノスアイレスマラソンは平坦で走りやすいと思う。坂はほぼない。が、30kmの後半には高速道路を走るところがあり、ここは少し坂になっていた。きつい中で坂道が出現すると、逆にきついけど頑張っている自分がすごい、みたいな感覚になった。そして、ようやく終わりが近づいてきた。

結局また走りたくなる

42kmの看板、の隣にマリオのような人が

ついに終わりが見えてきた。最後の1kmは本当に楽しかった。ゴール地点の公園にはたくさんの人が集まっていた。そして、帰ってきたランナーを全力で労ってくれた。

ブエノスアイレスマラソンは自由な雰囲気のマラソン大会だった。車イスランナーもいたし、途中で犬も走っていた。また、途中にはタンゴダンスやミュージシャンの路上ライブもあった。

そんなふうに42.195kmを思い出しながら、ついにゴールした。ほぼ、5時間、ようやく終わったというのが率直な感想だ。ゴールで息を吸って、っしゃー!!と叫んだ。

ゼッケンと引き換えにメダルをもらった。そして水、スポーツドリンク、バナナ、をもらい会場を後にした。

レース中は「もう2度とマラソンなんかでない」と思って走っていた。しかし、この日の夕方には「また出ようかな」と思い始めていた。これがいつも不思議なのだが、人間は割ときつかった記憶はすぐに薄れていくようになっているのかもしれない。

また、たまにはめちゃくちゃしんどい思いをすることは生きていく上で必要なのかもしれない。このしんどい経験がまたどこかで自分の支えになってくれるはずだ。また、自分はまだまだだと自覚することで謙虚な気持ちにもなれる。

Me gustaria volver a correr un maraton.
(またマラソンに出たいと思います)

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