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特定の人間関係(共同体)に「執着しすぎ」ているときのサインと、その対処法についての話

少し前に「マシュマロ」という匿名質問サービスを経由して、人生相談のような質問が来た。

(このアドレスから質問できるので、気になる人は送ってください。)

最初はTwitter(X)上で回答しようと思ったのだけど、長くなったのでこちらに書こうと思う。

今年の3月で大学院を卒業します。ものづくり系のサークルに学部・大学院ともに所属していたのですが、去年あたりからサークルに30代のOBが居着いてしまっています。サークルメンバーは、OBとは年齢が一回り違うため、ものづくりに関係ないいろいろな要求をされても拒否できずに従い、従えない部員は何人も辞めています。
サークル内には、OBは技術的に学生じゃできないことをできるようにしてくれて役に立つから、とOBを追い出すのを拒むメンバーがいます。しかし、30代のOBが学生の活動に混ざる時点で健全でないため、サークル内の技術的なレベルが下がってもOBを追い出すべきだと僕は考えています。
僕が卒業したあと、サークルの中心メンバーが学部2年生になり、20歳の子たちが一回り以上歳上のOBと対等に活動ができるとは考えられません。そこで、卒業前にOBを追い出そうと考えているのですが、先生方などの大人を味方につけるとして、どうやったら波風立たせずOBを追い出せるでしょうか?

……なんというか、同情を禁じえない。世界は自分が優位に振る舞える場を手放したくなくて職場の飲み会や業界のイベントをしたくてたまらない「さびしいおじさん(おばさん)」にあふれている。しかしこういった「管理職(オーナー)だけが楽しい飲みニケーション」や「パパだけが楽しい家族の観光旅行」ほど醜悪なものはないと僕は思う。

しかしその上で僕はこう思う。この質問者は本当の問題を間違えている。僕の回答はシンプルだ。「放っておけばいい」のだ。なんだったら、「解散」してもいいと思う。その理由もまたシンプルで、質問文を読む限りその「厄介な30代OB」と同じくらい、この質問者がサークルに「執着」しているように思えるからだ。

では、その理由を詳しく書いていこうと思う。

そもそもサークルのような生存に不可欠ではない共同体をアイデンティティの置き場にするのは、僕は副作用が大きすぎるように思う。

サークルは「あったら楽しい」が「なくてもいい」ものだ。そしてこのタイプの共同体は、「この人間関係で認められたい」と考える人が発生して、彼/彼女の影響力がある程度強くなると変質してしまう。

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僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…

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