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豪華客船ツアーと小型帆船の航海

 ふと、きょう、思ったのだ。大型客船のことを調べていて、クルーズ船ツアーのサイトに行き当たり、そのゴージャスで至れり尽くせりで、ドレスコードの説明までついている解説に、ハハア、ナルホドと思いつつ、こりゃ自分には縁がないな、余裕があったとしてもこういう旅はしないだろうな、と思った。
 私はしかし、船は大好きなのだ。200トンぐらいの船に毎日のように乗ったこともある。豪華客船が嫌いというわけでもない。それにしがみついたツアーに興味が持てないだけなのだ。

 荷物は目的地まで運んでくれる。まかりまちがっても食事で外れなどないように、周到に用意した食事が用意される。ガイドがついて、何を見るべきか教えてくれる。そういう、イベントとして非常によくできた自転車ツーリスム商品がある。
  豪華クルーズ船の旅は、自転車では、そういうことなんだろう。ドレスコードまではないと思うが、ランドナーのようにニッカーボッカーを穿いて行ったりすると、白い眼で見られることはほぼ間違いなかろう。

 われわれがやるようなソロまたは少人数の自発的で非商業主義的な自転車の旅は、船に譬えると、シングルハンドのヨットやごく小型の帆船の航海になるのであろう。
 航海そのものが目的であって、ゴージャスなサービスを船内で受けるのが目的ではないのだから。港に入れば、クルーズ船には歓迎のブラスバンド演奏があるのかもしれないし、上陸後もお楽しみがあるだろうが、小型ヨットには検疫や入国管理官との面談が待ち受けているはずである。
 実際私は、太平洋をスループのヨットで数年かけて回ってきたアメリカ人夫妻と友人になって話を聞いたことがある。
 同じ船旅でもそこまで違う。ヨット(クルーザー)の大半は、豪華客船の救命艇よりも小型なのだ。

 十分に財力があり、その一方で体力にハンディがある年配の方々にとってクルーズ船は非常に良い旅を提供するであろうから、それは否定しないけれども、消費ではなく発見の旅に適当かどうかはわからない。
 船の旅は、船舶の形態によってその質的な部分までだいたいわかってしまうから、話は早い。しかし自転車の旅はもっとずっとわかりにくい。その旅が商品なのか、何かを創り出そうとするものなのかは、外見的にはわかりにくい。内面がどうなっているかだ。
 私が性懲りもなく、自転車の旅について書くのも、そういう理由からだろう。

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