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自分の努力によって、ただ一歩ずつ進む

時間があいてしまったが、「モモ」を読んで心に残った言葉を2つ書き留める。
以前書いた記事はこちらこちら

【ベッポの言葉】 つぎの一歩だけ

道路掃除の仕事をしているベッポというおじいさん。じぶんの仕事が気に入っていて、大事な仕事だと自覚し、ていねいに仕事をする人。
よごれた道路を前に、きれいになった道路をうしろにして仕事をしている時浮かんだこと。

「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。

そこでせかせかと働き出す。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだのこっているのにな。こういうやり方は、いかんのだ。

いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。

するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。」         p.52,53

どうしても未来を見ると怖くなったり、先が見えなくて辛くなったり、今の自分と理想の自分との差に落胆したりしてしまうことがある。
そんな時救われる。

"つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけを考えること"。
成果は見えにくいけど、たしかに前に進んでいるという事実がそこにある。
それがわたしを作り、次の一歩への踏み出し方を教えてくれる。
大丈夫だと言ってあげたい。

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【ジジの言葉】努力なしに叶えられる夢ほど怖いものはない

ジジは空想の物語を話すのが好きな口達者で陽気な若者。観光ガイドをしていて、大うそを並べ、インチキと言われることもあったが、つられて笑ってしまうほど、話はおもしろい。

そんなジジの夢は、有名になって、お金持ちになること。ただ、いのちもたましいも売りわたすようなことはしたくない!ジジはジジのままでいたいと思っていた。

しかし、灰色の男たち(という登場人物)によって、まるめこまれたジジ。たくさんの人がジジの話を聞くようになり、有名になり、お金も稼ぎ、夢を叶えたはずだった。
だけれど、旅行社に雇われ、分刻みのスケジュール。
空想の翼はどんどんしぼんでいく。二度同じ話はしないと決めていたジジですが、とうとう新しい話を考えだすことを諦め、同じ話を少し変えて話すように。しかし、聴衆は少し話を変えただけということさえ誰も気づかない。

そんな状況になったときジジが言った言葉。

「もどりたくてももどれない。ジジはいつまでもジジのままだと言ったけど、ジジのままではなくなった。
人生でいちばん危険なことは、かなえられない夢が、かなえられてしまったことなんだ。いずれにせよ、ぼくの場合はそうなんだ。ぼくにはもう夢が残っていない。きみたちみんなのところにかえっても、もう夢はとりかえせないだろうよ。もうすっかりうんざりしちゃったんだ。」      p.307

怖かった。
"自分の努力で叶える夢"と、"誰かによって勝手に叶えられてしまった夢"とではこんなにも違うことが。

もちろんどんなことでも、夢が叶えられることは幸せなことだ。しかし、夢に向かって進み続けている時間や、自分の大事にしたいことを見失わず生きることも、またとても幸せな"時"を過ごしている。
その過程の中で出逢った人、救われた言葉、自分の信念、努力によって得られた自信。
そのどれもがあってこその、幸せだと感じた。


こちらもよかったら。


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