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お寺の掲示板⑥玉置浩二『メロディー』

あの頃はなにもなくてそれだって楽しくやったよ
玉置浩二『メロディー』

年を重ね中堅どころになってくると、飲み会や食事会の幹事を任されることが増えてきた。
参加する人数や男女比、年代などを考えて、様々ためしてきた結果、一つの真理にたどりついた。
それは【高い店では会話が盛り上がらない】ということだ。

一般論として、高い店は旨い。
味は複雑で、食べてきたことがないようなものが出てくる。会話は自ずと出てくる食べ物の感想戦が中心となり、どこの店の何を食べたかといったグルメマウントの取り合いになったりもする。
長く連れ添った夫婦ならともかく、親睦を深める食事会にはまるで向いていない。

グルメという言葉は良い言葉のように使われがちであるが、
ブラッドピット主演の映画『セブン』では七つの大罪のGluttony(暴食)が最初の被害者であり、キリスト教では諫めるべき行いの一つとされている。
仏教では小欲知足(欲を少なく足るを知る)という考え方によって戒められている。

ここで表題の玉置浩二『メロディー』の歌詞に触れていきたい。
この曲は一聴すると男女の別れた間柄の話のように聞こえるが、掘り下げてみると、活動休止したバンド安全地帯への想いを綴ったものだと玉置自身が認めている。
続く歌詞は「メロディー いつのまに 大切なもの なくした」
楽しくやっていたバンド活動は売れて大金を手にすることで、バラバラになってしまった後悔がにじみ出ている。

思えば、学生時代の有限で無限の時間の中で、友人達と朝まで安い居酒屋で過ごした時が人生で最も豊かな時間だったかもしれない。
悲しいかな、時間は戻らない。
あの時と変わらず大したものは何もないけれど、大切なものは大事にしたい。

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