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Re:Quiem ~心を癒す葬送詩たち

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頭の中の幻実の世界から現実世界へ回帰する瞬間 それは「想いの壁」から抜け出した瞬間 日常の中の心の「気付き」の瞬間を、小さな物語たちで綴っています。
だれもが持っている心の中の「想いの壁」を見つけて、それを壊して新たに進むため、小さな小さな『想いの… もっと詳しく
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Re:Quiemについて 〈はじめに〉

Re:Quiemについて 〈はじめに〉

痛みを癒すとは・・・・

心の痛みを癒すとは?

心の奥深くまで傷ついた痛み・・・

それを癒すのはなかなか難しいこと

長い時間をかけながら

自分で向き合いながら

自分に栄養を与えながら

痛みに耐えながら

逃げ出したい思いに耐えながら

そうやって少しずつ痛みを癒していくしかない

言葉だけでは無力なわけで

それでも言葉を頼りに

痛みが薄れる言葉を求めて

道を探す・・・

どうして

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ワタシはアンドロイド

ワタシはアンドロイド

私はアンドロイド・・・

28年前に生まれた

自分の意思もなく

ただ流されて

ただ環境に最適化して

笑顔を貼り付け

背筋を伸ばして

崩さないように

身体を強張らせて

心を凍らせて・・・・・

気付けば まるで「アンドロイド」になっていた

オレンジの記憶

オレンジの記憶

本番前の楽屋にて・・・

「うん!絶対に大丈夫! いままであれだけ練習してきたんだから・・・」

鏡に映る不安気な自分の顔に向かって勇気づけてみたけど、瞳の奥の不安気な色は消えてくれない

そんな自分の不安顔が、よけいに不安な気持ちにさせる

「まだ30分はあるから練習しておこうかな・・・」

本番前・・・
楽屋に充てられた一室の鏡の前で華やかなドレスを身にまとって、硬く強張る手でなんとかメイクを

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深緑の浄化

深緑の浄化

森の奥深い山寺にて・・・

「ほんとうにあった・・・」

村人に教えられたとおり、林道を歩き続けて30分は経っただろうか

8月のまだ半ばではあるが林道の空気はひんやりとしていて、すでにヒグラシが鳴いているから余計に寂しさが湧き上がってくる

「こんな山深いところにほんとうにお寺があるのかな?」

ひとり黙然と歩いていて、いっこうにたどり着かない苛立ちと不安から、村の人にからかわれたのでは・・・と

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幸せの黄色い花

幸せの黄色い花

ある日のベッドルーム

「おや?」

眠りに就こうといつものように アルコールに伸ばした手を思わず止める

部屋中に香っている甘い花の香りに 今さらながらに気付いたからだ

ぐるりと部屋を見渡すと ベッドサイドに一輪の黄色い花が・・・

たった一輪なのに 部屋の隅々まで香りが漂っている

山吹色の春

山吹色の春

老人と少年

学校に行かなくなって何か月になるんだろう・・・

ここ数か月、家の中からほとんど出ていない

このままじゃダメなんだろうけど、だからといってどうすることも出来ない

ただ、何故か今日は家の中にいるのが無性に息苦しくて、思わず外に出た

少し肌寒くなってきている

『もう10月だもんな・・・・』

透明な心鏡

透明な心鏡

美しい生き方・・・

ー春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて 冷(すず)しかりけりー

「師よ、それは何の詩(うた)でしょうか?」

春は新緑の季節 色とりどりの花々が咲き始めて目を彩り 香(かぐわ)しい花々の香りが鼻腔を刺激する

夏はホトトギスの声に耳を魅了され

秋は美しい月を眺め 収穫された食べ物を味わう

冬の寒さに肌は凍え 火の暖かさを実感する当たり前の自然

その美しさを素直に喜

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「うん、大丈夫(^^♪」

「うん、大丈夫(^^♪」

「うん、全然大丈夫だよ(^^♪」

「うん、平気へいき~」

・・・・・ 無理してるつもりじゃないんだけどね

大丈夫だし平気だけど・・・

なんか「クセ」になってる

変わりたい、けど変われない・・・

変わりたい、けど変われない・・・

わたし・・・何やってるんだろう

今日こそは・・・

今日こそは・・・・・

そう思いながらどれだけの月日が過ぎてしまったか

結局、同じ毎日の繰り返し・・・

愛想笑いばかりの毎日

甘えたいのに・・・・ 

甘えたいのに・・・・ 

『みんな甘え上手だな・・・』

待ちゆくカップルを眺めながらため息交じりについ思ってしまう

少しの距離感があるときは普通に話せるのに

近づくと何故か大人の私が顔を出す

「子供になればいいんだよ」

そう言われてもよくわからない

だって・・・

『子供のころ甘えたことないし・・・』

染まっちゃってた・・・

染まっちゃってた・・・

『わたし今まで何してたんだろう・・・』

つまらないことを気にして恐れてたと思う

人の陰口を言い、悪口を言い、人を妬んだり嫌がらせをしたり・・・

そんな人たちの仲間外れになることを恐れて、私もおんなじことしてしまってた

わたしは完璧・・・

わたしは完璧・・・

私は完璧・・・

完璧じゃないとダメなの

でも、ほんとは足りないところがたくさんあるから

だからいつも足りないところを埋めようと頑張っている

なのに・・・

いつまでたっても埋まらない・・・

「またやっちゃった・・・」

「またやっちゃった・・・」

またやっちゃった・・・

どうしていつも逃げてしまうんだろう・・・

そんなつもりはないのに

あれこれ考えているうちに

いっつもこの結末・・・

そして誰かをいつも傷つけて

そのまま・・・・・・

私が我慢すれば・・・

私が我慢すれば・・・

私さえ我慢すれば

私さえ我慢していれば、みんなすべてまるくおさまるから

それでいいのよ

だって

波風立てて壊したくないから

それでうまくいってるんだから