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2024年 東工大物理 力学 解説

どうもわかゆうです。
今回は弊学の入試問題の解説をしようと思います。

2024の力学は物体が4つも出てきて、酷く難しいと話題ですね。自分もやってみましたが無事死亡しました😇。これを試験本番で解いた受験生は本当に苦労されたと思います。ただ、時間をかけて丁寧に問題を見ていくと、今回のセットも非常によく練られた問題だったと思いました(試験問題としてはちょっとハードすぎますが)。

ここでは、単なる解答だけではなく、なるべく自然な発想で、様々な問題にも応用が効くような再現性のある思考回路を共有できればと思います。
はっきりと断言しますが、他のサイトに上がってるものとは比にならないくらい(当社比)丁寧で分かりやすいです。

それぞれの中問(A,B,C)ごとに、図→解説と画像を添付しました。
(解説中に図があればさらに見やすかったのですが、自分の技術不足でできませんでした。すみません。🙇‍♂️)

解説内の赤文字は、定石や思考回路など、解答には残さないが重要だと思ったことを書きました。是非参考にしてみてください。

(背景知識が足りないなと感じた場合は、私の拙著『速習ハイレベル物理 力学』を参考にしてみてください.

[A]剛体のつり合い(対称な三体)

図A-1を見て分かる通り、対称な位置関係で3つのブロックが置いてある。糸を切ったら、対称性を保ったまま動くのだそう。止まっている時はつり合いの式を立てて、動いてる時はエネルギー保存でも立てればよさそうである。力が簡単に書けるなら時間追跡でもいいかも。(tを介するぶん若干面倒か)

図A-1
図A-2
図A-3

解説

エネルギー保存則(4)(5)についてだが、垂直抗力Nの仕事が三体の系全体で見たときに相殺されるためである。
垂直抗力が仕事していないわけではないということに注意する。

また、拘束条件(9)に気づくのは簡単ではないと思う。多体問題では、物体の運動を単純にしないと問題が解けないので、運動にある種の制約(拘束条件)がつくことになる。多体問題において片方が動くとそれに応じてもう一方が動くなら、拘束条件を考えるべきである。
したがって、多体問題では拘束条件を立式して運動方程式の連立するというのが定石になっている。

[B]剛体のつり合い(非対称な三体)

今度は、傾いた状態でA'が置かれている。摩擦が絡んできて嫌な予感がするだろう。
しかし、滑った後の運動には触れられていないので、結局のところつり合いの式を立てていくというのが大筋になる。
N₁とN₂が混在しないようにab軸で力を分解すると楽。三角関数の引数を(π/4+θ₀)で統一することもポイント。(まあ、sinかcosで統一するのもいいのかも。tanで見やすくできなくなるかもだからやっぱり引数で統一かなあ。)

図B-1
図B-2

解説

力のモーメントのつり合いの式が思いつかなかったという声が聞こえてくる。ここは、「静止しているなら一旦つり合いの式!並進も回転も両方立式する!」くらいのマインドでいたほうが良いだろう。

[C]単振り子とみなせる剛体の運動

今までは結局のところつり合いの式を立てていればなんとかなった。しかし今回は、Aがクルクル動いてる…!単振り子運動するということはヒントとして教えてくれているが、ここから何が分かるのか…。試験本番なら、こんな問題で時間を使うくらいなら、他の問題を解くか見直しをするかしたほうが、時間→得点の変換効率が高いのは間違いないだろう。

と、弱音を吐いてはいるが、安心して欲しい、これも自然な発想で解くことできない悪問鬼問かと言われれば、そうではない。深い理解があれば自然な発想で解くことができる。ここでは、このような難しい問題に対峙したときどうすれば解けるか、という問いに対する最も明快な答えを共有する。
楽しみにして読み進めてほしい。

図C-1
図C-2
図C-3
図C-4
図C-5

解説

(h)の、小球の接線方向の運動方程式を立てる、箱と小球を分けて考える、ここら辺が特に難しいポイントだろう。
運動方程式の主張は「力が分かれば物体の未来(加速度)が予測できる」であるが、逆に「加速度が分かれば、力がわかる!」と考えることもできる。これは、拘束条件や拘束力の考え方でよく出てくるが、これが頭の中にあればできないこともないだろう。(私が書いた『速習ハイレベル物理 力学』の中にも書かれている考え方)

[講評]

んー、むずい!

ご精読ありがとうございましまた。

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