ワンシーン添削(わかつきひかるの小説道場)
私はユーチューブで、わかつきひかるの小説道場をしています。
小説の、ワンシーンだけ、ひとつの情景だけをchatgptさんに書いてもらい、添削してみました。
chatgptさんすごいんですよ。ちゃんとね小説のワンシーン、それっぽいもん書いてくれはります。
せやけど完璧に小説の文章になってるかっていうとそうでもないんですね。
今日の課題は
読書家の真面目な女子高生が炎天下で本を読みながらバスの到着を待ってる様子を私はで書いてください。
(chatgtpの書いた文章はじめ)
炎天下の下バスの到着を待つバス停にまじめな女子高生がひとり静かに
座っていた。彼女は読書家であり手には一冊の本が握られている眩しい太陽の光が彼女の髪を輝かせながら彼女の頬は微かに赤みを帯びている
ように見えた。
周りには暑さをしのぐための木陰もなくバス停の屋根もあるものの風通
しの良い設計ではない。それでも彼女は本に夢中になりながらじっと待ち続けている。
汗を拭きながらも熱中する読書から目を離すことなくページをめくっている。
通りすがりの人々はその姿に少し驚きながらも、彼女の集中力に感心しているようだった。
炎天下の中で本を読むなんてなかなかの根気というべきか。
やがてバスが遠くから近づいてくる音が聞こえ始め彼女も本から目を離してバスを待ち望んだ。
バスが停車すると彼女は素早く本をバッグにしまい込み列に並ぶしっかりと並んだ彼女の姿はまさにまじめな高校生らしい堂々としたものだった。
バスに乗り込んだ彼女は再び本に没頭することはなかった。
バスの揺れる座席でささやかな涼を求めながら、ほほ笑みながら窓の外の風景を眺めていた。(文章終わり)
chatgptさんねけっこうちゃんとした文章書いてはるじゃないですか。エライと思いませんか。だって読めるんですよ。意味も分かりますね
夏の日にバス停でね本読みながらバスを待ってる女の子っていうのが、伝わってくる文章になりました。
凄い時代になりましたね。情景や外見描写もね眩しい太陽の光が彼女の髪を輝かせながら彼女の髪は赤みを帯びてるように見えた。
炎天下っていうお題に対してちゃんとね描写してくれてはる。凄いですよね。
おしまいのところもいいですね。バスの揺れる座席でささやかな涼を求めながら、微笑みながら窓の外の風景を眺めていた。
これもねバスの外では暑い中で一生懸命本しか読んでへんかったのに、バスに乗ったら本読んでないんですよ。
暑い中で始まって涼しいところで終わるっていうのがいいですよね。
ちょっとなんか小説っぽい計算みたいながあって、ストーリーも感じます。
さっきまであんなに本に夢中だったの何でやろうなって、この女の子は何でバスに乗ったら本読まれへんのかなって、ちょっとねなんか色々想像できますよね。
そうは言っても小説のワンシーンや思って読むとねやっぱり穴がありますね。一次選考者がこれを読むと、ぱらぱらと見て落選の箱に入れますね。
皆さんは気づきはりました?
今から一個ずつ添削していきます。
1.私はになってない(一人称になってない)。
三人称神視点になってる。三人称神視点っていうのは彼女は彼は、みたいな書き方をするんですよ。ちょっとね時代かかってる古い書き方なんです。昭和初期とかの作品なんかには多いですね。昔の文豪はこういう書き方してましたよ。
今はね私は僕はっていう書き方、一人称の方が好まれるんですよ。
2.具体性がない。
この文章で新人賞に送ると一次選考で落ちます。私は落とすし、他の一次選考者も編集者もダメを出します。相手にしてもらえません。
意味はわかるんですよ。でもね頭に入ってこないんですよ。
小説の文章としてイメージがわかない。
一冊の本とかバッグとか書いてあるんですよ。
せやけれども本には色んな本があります
例えばやけれどもスマホで電子書籍のラノベ読んではんねやったら、この人はもしかしたらギャルっぽい感じで、でもまあちょっとオタクっぽいオタクギャルみたいな感じな人かもしれへん。そうすると外見もわかります。
図書館で借りてきたような分厚い本読んではるんやったらこの人は真面目そうな感じの、なんかこうあんまり今時じゃないっていうか、図書委員してそうなそういう女の子なんちゃうかなって、外見分かるじゃないですか
それでね本にねハンドメイドのブックカバーとかつけてたりとかしてね。そういう子って本すっごい大事にしてるっていうことがイメージできて、めっちゃ本好きの子なんやとか、手芸が好きな子なんやな、なんかこう家にいることが好きな子、なんやなっていうのがイメージわかるじゃないですか。
本って書くんじゃなくて具体的に書くことが小説をくっきりさせるコツなんですね。
3.キャラ立てができていない。
できれば本のタイトルも入れてほしいカフカの「変身」とか「若きウェルテルの悩み」とかね。
なんかそういうの読んでる子っていうのは、丸いメガネつけて三つ編みの長い子なんやろうなってイメージできます。
なんの本を読むかはキャラ立てなんですよ。本のタイトルを書くだけでキャラ立てができるんです。
バッグって書くんじゃなくて、学生鞄って書いてほしいんです。
これねキャラ立てができてないんですよね。炎天下で本を読むのって大変です。紙ってね明るいところで読むとピカピカ光って凄く読みにくい。
でも脇目も振らずに読んでるんですよ。もっと具体的にしてあげることで引き立てることができるわけなんですね。
4.文章が適切ではない
この文章は、校正者が見たらチェック入れまくる文章です。赤が入りまくる。
炎天下の下×→炎天下〇
炎天下っていうのは、炎天の下熱い太陽の下っていう意味があるんですよ。せやのに重ねて下って書いちゃってるんですね。重語、二重表現って言います。すっごいよくあるんですよね。
彼女は一冊の本を握っている×→彼女の膝には一冊の本が広げられている。〇
握るというのは、本をぐしゃっと鷲掴みにする、本をギュッと握るっていう風なイメージじゃないですか。なんか本の背表紙を持ってるっていう
風なイメージになりますよね。
なんかこう本を持ち運んでるイメージで本を読んでる文章ではありません。本を握ってたら読めないですよ。
眩しい太陽の光が彼女の髪を輝かせながら、彼女の頬は微かに赤みを帯びているように見えた。×→眩しい太陽の光が彼女の髪を輝かせている。彼女の頬も微かに赤みを帯びているように見えた。〇
接続詞、ながらが良くないんですね。ながらっていうのは何々しながら
何々するっていうことで、前後が繋がっていません。ながらは取るべきです。
眩しい太陽の光が彼女の髪を輝かせ、頬も微かに赤みを帯びてるように見えた。
って書く方がいいですね
でも、私ね一文にひとつの動作、ひとつの意味の方が良いと思ってるんですよ。というのはわかりやすくなるから。
なんかね変な接続詞使って、文を長くしはる人っていうのが実際にいはるんですよ。文章長くすると読みにくくなるしわかりにくくなります。
特に接続詞の間違いがあると、意味が取りにくくなります。
ひとつの文が終わるまではイメージや意味を確定できないんです。日本語ってそういう文章なんですよ。だからね一文が長ければ長くなるほど脳が疲れます。脳が疲れると読めないです。
周りには暑さをしのぐための木陰もなく、バス停の屋根はあるものの風通
しの良い設計ではない。×→バス停の屋根はあるが、風がなく暑い。〇
文法は正しいんですけれども、内容がおかしいパターンですね。こういう文章書かはる方たまにいはります。矛盾してます。だって暑さをしのぐための木陰もないっていうことは、他の日陰がないっていう意味じゃないですか。
せやのに「バス停の屋根はあるものの」ってあるわけですから、日陰あるやんってこんがらかるんですよ。
バス停に屋根はあるものの風通しの良い設計ではない
ちょっとわからへんですよね。だって設計ですよ。こういうのは一次選考者は見逃しませんよ。こういう文章が目に入った段階で、もうこれは落選です。
通りすがりの人々はその姿に少し驚きながらも、彼女の集中力に感心してるようだった。
これもねちょっとおかしいんですよ。バス停には屋根があって日差し
が強いんです。通行人は明るい所を歩いてはるわけですよね。
明るいところから暗い所を見ると、どうなりますか? はっきり見えないですよ。
道行く人たちの誰もが、女の子が本読んでるとは思わないんですよ。せいぜいわかるのは人が座ってるぐらい。
集中力に感心っていうのも、その子がすっごい集中して読んでる偉いなーってわかるには、長い間ガン見せなアカンわけですよ。
通りすがりにチラッと見てるだけじゃ、集中してるかどうかなんてわからないです。
ずーっと彼女を見つめたままで、歩いて通り過ぎて行くって、なんか変な光景ですよね。
イメージ湧かない、なんかそれっぽい文章書いてあるだけです。
炎天下の下で本を読むなんて、なかなかの根気というべきか。×トルツメ
これは誰が言ってはるの? 神様が言ってはるの? 三人称神視点です。
私はで書くんやったら、語手は私なので私以外の考えは地の文には出てきません。トルツメです。
バスが遠くから近づいてくる音が聞こえ始め、本から目を離してバスを待ち望んだ。×→ バスが遠くから近づいてくる音が聞こえ始め、本から目を離してバスを望み見た。〇
待ち望むっていうのは今来るかな、今来るかなっていう風な、もう早く来てほしいな、みたいな、そういう希望とかが気持ちです。
さっきまで本に夢中になってたのに、なんでいきなりバス今かな今かな。はよ来いひんかなって望でるの?
望み見たに変えましょう。
しっかりと並んだ彼女の姿はまさに真面目な高校生らしい堂々としたものだった。×トルツメ。
ちょっと大げさすぎるって言うか。これは私もうマジで笑ってしもた。
この子が生徒会長に選ばれてね。それで体育館の中で演壇に出て行って「皆様の投票で生徒会長になったわかつきひかるです」って挨拶するとかやったらしっかりと堂々としてていいと思うんですよ。
でもバス停に並ぶのでしっかりと並んで堂々としてるって、ちょっとこれはおかしいと思いませんか。
ai人工知能さんすっごい頑張ってくれはったんですよ。しまったバス来てもうた。お題にあった真面目ないうのここらでいれんと間に合わへーん、って慌てて入れてくれはったんやと思うんですよ
なんでこんなことになるかっていうと、chatgptさんはキャラ立てっていうのを考えてないんですよ。最初に言った通りに描写をねキャラ立てとして使っていないんですよ。
どんな本を読んでるかとかもそうやし、あと外見描写これがほとんどない
ですよね。
真面目な女子高生なら、メガネをかけてて、三つ編みにしてて、制服の着こなしもリボンをきちっと結んでて、例えばブレザーやったらブラウスの襟のボタンを一番上まで止めてる。
スカートの丈も規定通りで、靴下も真っ白でしかも三つ折りしてるとか、そういうのを書くとね読者に伝わりやすくなるんですよ。
4.伝わらないのは描写の無駄遣いをしているから。
chatgptさんはすっごい沢山書いてくれてはります。でもね伝わってる情報は実はとっても少ないんです。その原因は描写の無駄遣いをしているからなんですよ。
「しっかりと並ぶ」とか「堂々としたものだ」って形容詞に頼るよりは、例えばお年寄りに順番譲るとか、行動とかエピソードとかセリフとかで表現できたら良かったんちゃうかな。
5.形容詞でキャラを立てることはできません。
形容詞は抽象的です。どれだけ大げさな形容詞使っても、抽象画だから伝わらないんです。キャラ立ては具体的じゃないと駄目なんですよ。キャラを立てるには、具体的にどう行動するか、エピソードで書く必要があります。
以下は私が書いた参考文例です。
私は炎天下のバス停でベンチに座り、「アンナ・カレーニナ」を読んでいた。ロシア文学はおもしろい。人間のやるせないところをこれでもかと書いてある。
夏休みなのに登校したのは、図書館に「罪と罰」を返すためだ。新学期まで待っていたら、返却期限が過ぎてしまう。新たに本を借り、図書館で読み、さらにバス停でも、続きを読んでいる。
バス停は屋根があるが、吹きすぎる熱風に、みつあみとセーラ服のスカーフが揺れる。
バスが来たが、ヴロンスキー将校とアンナの会話にドキドキして、ページをめくる手を止めることができない。
バスが行ってしまったが、私は読書に夢中になっていた。
この程度の文章でいいんですよ。難しい言葉は使わず、一文は短く、形容詞はなるべく書かない。
ユーチューブには課題を出してますので、みなさんもチャレンジしてくださいね。
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