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地方演劇を真面目に考える会 番外編5 【演劇環境を良くしたい!! 細かい部分について考える編】

概要

2021年に和歌山市のクラブゲートと、オンラインで開催した「地方演劇を真面目に考える会」の記録です。以下のHPにて、開催した動画のアーカイブ、アンケートデータや、インタビュー動画をご覧になれます。ぜひご覧ください。

演劇環境を良くしたい!!

今回は、直接的な要因のその他について考えていきます。わざわざ個別に分解するほど、どうしようもないものもありますので、一つづつについて、ざっと考えていきます。

演劇環境の要素

直接的な要因
・観客数 ◎
・劇団数 ◎
・劇団同士のつながり 〇
・役者数 ○
・舞台スタッフの数 △
・劇場数 〇
・演劇の公演数 〇
・劇場の使いやすさ △
・稽古場環境
・支援体制
・地域の演劇史

間接的な要因
・学生演劇(高校・大学等)の状況
・演劇以外の文化状況(特に音楽・ダンス・自主映画)
・メディアの強さ
・役者としての仕事
・大学数
・地域の経済状況

・稽古場環境について

稽古場環境は、演劇の作品制作の上で非常に高いウエイトを占める環境であると思います。制作時間の大多数をしめており、ここでの練習が作品の良し悪しがかなり影響します。
理想は、音響・照明がつかえて、舞台セットがある。要は劇場と同じ状況で稽古ができるのがいいのですが、予算の兼ね合いなどによって、なかなか難しいと思います。

稽古場環境を良くするためには
アンケートの結果にもあったのですが、稽古場環境については、非大都市圏よりも圧倒的によい環境を作りやすいという状況にあると思います。地域によりますが、場所代が安い・広い所が都会よりも圧倒的に多く、それを借りるライバルも少ないので場所探しも比較的楽です。ちょっと頑張った劇団であれば、アトリエを持つことも、都会よりも比較的楽に持つことができるでしょう。ただ、交通の便が悪い地域も多いと思うので、そこは大都市圏よりも不便かなと思います。

稽古場環境はよい方がいいのか?
稽古環境は良ければ良いだけいいと思います。お金がない若手のころは、夜中の公園で稽古したりして、それもそれで楽しかったのですが、やっぱりいい環境で作ったほうが、いい作品ができる確率はかなり上がると思います。デメリットは、なれてしまうと会議室なんかの稽古が辛くなるぐらいでしょうか? 演劇制作上には、重要なので◎なのですが、演劇環境的には、大都市圏と逆転しているので、〇にしておきます。

・支援体制について

支援体制といっても色々あります、助成金や、企業の協賛金等、直接の金銭の物から、無料の稽古場や、宣伝の協力等サポート的な物、イベントを開いてそこに演劇を呼ぶや、演劇ワークショップを文化支援団体が開くなど、様々です。支援はあるに越したことはないかなと思いますが、自分がやりたいことをやりたいようにやる時には、やや制約がついてしまうこともあり、よし悪しの部分もあるかと思います。
支援体制を良くするためには
支援体制を、一劇団や、一個人でよくするのは難しいと思います。すでにそういった活動に理解がある行政の人や、支援団体がある場合はいいですが、ない場合は、いくつかの劇団が集まった統括団体を作って、訴えかけるのが一番良いと思います。
本当に正論抜きで、「支援が欲しい」についての正解は、「政治力」と、「コネ」だと思います。
支援体制はよい方がいいのか?
支援体制はあるに越したことがないですが、それを当てにし過ぎてもよくはないでしょうし、貰うだけでなく、助ける側になることも考えなければなりません。支援があれば演劇環境は大きく良くなるのは間違いないでしょうから、○とします。

・地域の演劇史について

地域の演劇史は、日本の演劇文化が東京で始まって、徐々にいろいろな形で流入して、地域の文化芸能と混ざり合ったり、断絶しながら継承されていっています。情報も少なく、知っている人に聞くしかないという状況になっている所がおおいのかもしれませんが、演劇をやっていくうえで、かならず地域性という壁にぶつかったときに手助けしてくれる作品群が眠っているのではないでしょうか。凄く面白い演劇は都会の劇団には作れるかもしれませんが、その土地に根差した、その土地の人のための作品にはそこで活動する劇団にしか作れないものです。

地域の演劇史はある方がいいのか?
歴史を作るという事はできないのですが、調べたり、影響を受けるという事は出来ると思います。大都市圏でツアー公演をすると、それが意外と強力な武器になることもあるかと思います。ただ、ないものはどうしようもないし、あくまで一つの要素であってそもそも興味がなくても問題ないかと思います。なので、地域の演劇史は△とします。

アンケートをうけて、直接的要因のその他について

稽古場環境・支援体制については、全国的にそこまで悪くはないんじゃないかな?という結果でした。地域の演劇史については、そこまで興味がない所も多いのかな?という感じ。最後の三つについては、さほど全国的には深刻さはなさそうですが、問題のある地域もあるでしょうから、それにどう向き合うのか?というのも重要かと思います。

つづきます。
番外編 その6はコチラ

劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきぼう)

1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita


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