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「カウンセリング・マインドを教育に」って聞きました。具体的にどういうマインドでしょうか?

こんにちは。
産業カウンセラーと日本語教師をしています。ワカです。

最近「カウンセリング・マインドを活かした授業」という内容の論文や書籍を見ました。


カウンセリング・マインドとは

カウンセラーがクライアント(相談者)に対して持つ心情や態度のことです。

基本的な考え方としては、人間の個別性を尊重し、成長へと向かう潜在能力を信じること。こちらが誘導しなくても、自分らしさを十分に発揮できる環境であれば、人は成長する方向へ行くんだという考え方です。

基本的態度としてはアメリカの臨床心理学者、ロジャーズが提唱した「受容」「共感」「自己一致」が挙げられます。クライアントの話を無条件で受け入れ、自分の枠にとらわれずに相手の視点から理解・共感し、カウンセラー自身に嘘がなく開示されているということ。簡単そうに聞こえますが、これが結構激ムズなのです。


「受容」

受容とは、クライアントの話を無条件で受け入れること。
例えば
ある人が「私は成績が優秀だけど、性格は悪いのよ」と言ったとします。
あなたならどんな返事をしますか?

①成績が優秀ならいいじゃない
②性格が悪いと思ってるんだね
③そんなことないでしょう

①は「優秀ならいい」というのはあなたの意見です。そして意図的に「性格は悪い」という点をスルーしているので、条件付きの肯定となります。
③の「そんなことない」も意見を言っています。そして相手の言ったことを否定しています。
②がカウンセリング・マインドを持った返答となります。クライアントは「成績が優秀」より「性格が悪い」ということが気がかりになっていると思われます。①や③は相手の言いたいことをスルーして自分の価値観で話を進めているんです。

とはいえ…いきなり②にいくのは普通の会話ではあり得ないですよね。
「性格悪い」っていうネガティブなことに積極的に触れようと思わないでしょう。ましてやこちらから繰り返して念押しするとか…。

でも、相手が話したいこと、気になっていることを、ポジティブであれネガティブであれ、そのまま受け入れるのが「受容」なのです。

相談はだいたいネガティブなことが多いので、そのまま受け入れて繰り返す返答をするには、けっこうな勇気と覚悟がいります。


「共感」

「共感」は相談者が話していることや、感じていることをクライアントの視点で正確に理解していることです。

クライアントの視点で」が難しいのです。

例えば「Aさんが本当に好きで、迷ったんですけど、誕生日だったから…」と言われたら(プレゼントをあげたのかな)と想像しますよね。

でも「誕生日だったから…喜ぶと思ってAさんを傷つけました」と続いたら共感できますか?「えっ?なんで??」ってなりますよね。

でもカウンセリングでは、喜ぶと思ってやったという気持ちを同じように感じるんです。

自分がどう思うかは関係なく、共感するんです。

その人の中に入って気持ちを感じ取るような作業です。
私のイメージではジェットコースターに乗っているような感覚です。
この先何が起こるのか全くわからない行程を、顔にあたる風圧とか、お腹にひゅっと下がる感じとか、いろいろなヒントをクライアントから感じ取ってジェットコースターを今、体験しているような、そんな感覚です。

そして、「今、こんな気持ちなんですね」と相手に聞いて、一緒にいることを確認しながら、ストーリーが進んでいきます。


「自己一致」

「自己一致」はカウンセラー自身が嘘をついていないこと。
自分を守ったり、取り繕ったりせず、ありのままの自分であるということです。

例えば
クライアントがめちゃくちゃタイプだったとしますよね。
「あなた、私のこと好きでしょ?」と聞かれたら
「はい、好きです」って正直に答えられますか?

仕事だし、相手はお客様だし、普通ならそこは
「そんなことはないです」とか
「とても素敵な方だと思いますよ」とか
否定したりはぐらかしたりしますよね。

でもカウンセリング・マインドとしては、そこは「好きです」一択です。
*恋愛関係に発展した場合はカウンセリングは終了になります(二重関係の禁止)。

カウンセラーに嘘がなく、ありのままの自分でいることで、
クライアントも相手を信用して自己開示できるのです。


結論

正直に言います。
私はこの三つを兼ね備える努力はしていますが、できてません。
あぁ、これがダメだったと反省することばかりです。
ベテランのカウンセラーでも、この三つに終わりはない。
追求し、研鑽し続けなければならないとおっしゃっています。

「カウンセリング・マインドを教育に」というのは、
学生が自分の力でできることを信じて、
学生が自信を持って、安心して自分を表現できるように、
教師がカウンセリングマインドを理解して(習得している必要はない)
必要な時にカウンセリングの技法を用いた接し方をする
そういうことだと思います。(技法についてはまた今度)






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