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シンガポール色鮮やかなメラミン皿の歴史

ここシンガポールでいつも買いたくなるのがあのメラミン樹脂のお皿だ。最初はなんでこんなメラミンなんかで食事をするのだろうと不思議に思っていたのだが、この国の気候と天気とこの鮮やかなメラミン皿はとてもよく似合う。チャイナタウンの行きつけの店で、いつもオーダー寸前で「やっぱ止めた」を繰り返していたのだが、今回は旅の最後で発注しておくことにした、次回の訪問時にピックアップして日本に持ち帰ろうと思う。今日はそんなメラミンについて調べてみる、この熱硬化性のアミン樹脂の一つは正式名称をメラミン・フォルムアルデヒド樹脂といい、英語名はMF (Melamine Formaldehyde Resin)と言う。工業化に成功したのは1938年、染料メーカーとして19世紀半ばに誕生したスイスのCIBA社だ。後にノベルティスになる一社というと馴染みが湧くかも知れない。海外ではメラミンと言わず、メラマインと発音すると理解される。ちょうどニコンがナイコンと発音されるあれだ。そんなメラミン樹脂製の器だが、利点としてはとにかく安い、成形材料として着色が自由にできる(あの色とりどりの鮮やかな器が生まれたのはこの特性だ)そして表面硬度が高く、難燃性というところだ。ホーカーやローカルフードの手頃のところにいけばほとんどがこの器だというのも安くて扱いが容易だというのが大きな理由だと思う。WAGYUMAFIAが使う器が1万円ぐらいすると、このメラミンはその1/100ぐらいの値段。耐衝撃性が弱かったり、熱スチームなので加水分解が起きてしまうなどのデメリットを考えても、欠けたら新しいのを買うぐらいな感じで考えられるのだった。実に二十世紀のカルチャーの中で生まれた熱硬化性樹脂というイメージだ。このメラミン樹脂だが建築の世界ではよくお世話になっている、木製の棚などは実はこのメラミンを多様する。ちなみにシンガポールで流通しているメラミン皿のほとんどがマレーシアの会社のものだ。多くの食文化を共有するマレーシアとこのメラミン皿も共有しているというところがなんとも味わい深く、皿裏面の刻印を眺める。ちなみに多色を混ぜずに単色のみで構成するのが僕が好きな使い方だ。今回も赤と黄色のセットを24個づつ、ひとつのレストランが成立するぐらい購入したが500シンガポールドルもしなかった。近い将来、WAGYUMAFIAで何かが起きることを期待いただきつつ、このメラミンという言葉に思いを馳せるのだった。


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