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Recレンジへの対応(フロップ)

問題意識

フロップ戦略はPiosolverなどのソルバーを用いて計算されることが一般的ですが、ソルバーで戦略を計算するにはプリフロップレンジの入力が必要で、殆どの場合、GTOプリフロップレンジが入力がされています

入力されるレンジが異なれば出力される戦略も異なる可能性が高く、実際のポーカーではGTOとは異なるプリフロップレンジを持ったプレイヤーが多数います

相手がGTOとは異なるプリフロップレンジを持っている場合、GTOレンジで計算されたフロップ戦略よりも、実際に相手が持ってるプリフロップレンジで計算されたフロップ戦略を採用した方がEVが向上する可能性が高いと考えられます

また、相手の戦略のリークを探す方法としてGTOとの乖離を見る方法がありますが、相手のプリフロップレンジがGTOと異なるならば、GTOを基準にするよりも実際のプリフロップレンジに基づいて計算された戦略を基準にした方がよりポストフロップのリークの発見がしやすくなると考えています

この記事ではプリフロップレンジをGTOレンジから現実のプレイヤーのレンジに変更した場合に起こるフロップ戦略の変化を調べます


分析方法の概要

RecプレイヤーのプリフロップでのコールレンジをMDAによって推測し、そのレンジに対する戦略をPiosolverで計算しました

計算された対Recレンジ戦略と対GTOレンジ戦略のCB戦略と33%CBに対するディフェンス戦略を表にまとめて可視化することによって、それぞれの戦略の変化の傾向を調べました

分析結果の概要

分析結果を見て筆者が特徴的だと思った戦略の変化を列挙します
(根拠となるデータは分析結果の詳細に記載してます)

CB戦略の変化

BTNvsBB 2bet

  • 殆どのボードでベット頻度が上昇する

  • T以下のペアがボードに存在する場合はGTOとベット頻度がほぼ同じ

  • ベット頻度が上昇するのは主に33%betで66%betはAhiの一部を除くとあまり上昇しない

UTGvsBB2bet

  • 殆どのボードでベット頻度が上昇する

  • T以下のペアがボードに存在する場合はGTOとベット頻度がほぼ同じ

  • モノトーンとペアボードでは33%betが上昇し、それ以外では66%が上昇する

UTGvsBTN 2bet

  • 殆どのボードでベット頻度が上昇する、Qhi以下のボードでは顕著

  • A,KhiのモノトーンボードではGTOと同程度チェックする

  • A,KhiでミドルカードJhi以上のボードで66%betの頻度が上昇する

SBvsBTN 3bet

  • モノトーンでないQ-Jhiボードでベット頻度が上昇する

  • Khiボードでは33%bet頻度が増え、Ahiボードでは66%bet頻度が増える

SBvsUTG 3bet

  • 全体的にベット頻度が上昇する、Thi以下のボードで顕著

  • AかKhiでミドルカードJhi以上のボードで66%betの頻度が上昇する

BTNvsCO 3bet

  • Jhi以上のボードではベット頻度が低下する、特にAhiボードで顕著

BTNvsUTG 3bet

  • モノトーンでないThi以下のボードでベット頻度が上昇する

  • ボードにJ以上のペアがある場合、ベット頻度が低下する

  • AhiかつミドルカードJhi以上のボードで66%bet頻度が上昇する


ディフェンス戦略の変化

BTNvsBB 2bet

  • Jhi以上のモノトーンでないボードでフォールド頻度が上昇する

UTGvsBB2bet

  • Jhi以上のモノトーンでないボードでフォールド頻度が上昇する

UTGvsBTN 2bet

  • Jhi以上のペアボードでフォールド頻度が上昇する

  • ペアボードでレイズ頻度が上昇する

SBvsBTN 3bet

  • 特徴的な変化はなし

SBvsUTG 3bet

  • Khiボードでフォールド頻度が上昇する

BTNvsCO 3bet

  • A,Khiボードでフォールド頻度が低下する

BTNvsUTG 3bet

  • A,KhiでミドルカードJhi以上のボードでフォールド頻度が低下する

  • Thi以下のボードでフォールド頻度が上昇する


共通する傾向とその考察

傾向
UTGが参加する場合、BTNが参加する場合と比較してベット頻度とフォールド頻度の上昇度合いが大きい
考察
Recはポジションによるレンジの変化が不足しているので、アグレッサーのレンジをGTOに固定した場合、UTGが絡む状況の方がアグレッサーのレンジアドバンテージが大きくなると考えています

傾向
2betpotと比較して3betpotはベット頻度とフォールド頻度の上昇度合いが小さい
考察
RecはFold to 3bet は低いがOpenが狭く(BTNで顕著)、GTOでは4betされるAK,QQなどをCallレンジに含むので、GTOと比較してそこまで弱いレンジになっていないと考えています

分析方法の詳細

Piosolverの設定

プリフロップレンジ
アグレッサー側 GTOレンジ(50nl,simple,2.5open)
コール側 MDAから推定されたRecレンジ or GTOレンジ

ベットサイズ設定
2betpot Flop:33,66 Turn:66,150 River:66,150 Raise:50
3betpot Flop:33,66 Turn:33,66 River:66,AI Raise:33

Subset
1755Flop

精度設定
2betpot 0.3%
3betpot 0.1%

Recレンジの設定

Recプレイヤー = 総ハンド数が1000以下と定義し、starsのデータから推定されたRecのコールレンジです(推定方法の詳細は伏せさせてください)

vsBTNopen BBcall

vsUTGopen BBcall

vsUTGopen BTNcall

vsSB3bet BTNcall

vsSB3bet UTGcall

vsBTN3bet COcall

vsBTN3bet UTGcall

分析結果の詳細

右の表はvsRecレンジのアクション頻度
真ん中の表はvsGTOレンジのアクション頻度
左の表はvsRecとvsGTOの差を表しています

それぞれの値はボードタイプ別の平均値です

CB戦略の変化

BTNvsBB 2bet

UTGvsBB 2bet

UTGvsBTN 2bet

SBvsBTN 3bet

SBvsUTG 3bet

BTNvsCO 3bet

BTNvsUTG 3bet

ディフェンス戦略の変化

全て33%CBに対する戦略です

BTNvsBB 2bet

UTGvsBB 2bet

UTGvsBTN 2bet

SBvsBTN 3bet

SBvsUTG 3bet

SBvsCO 3bet

BTNvsUTG 3bet

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