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為せば成る! #118 大畑大介さん

誰にでも人生を左右する大きな岐路が、一つや二つあるはずです。
その時に、どちらを選択するかで、その後の、その人の人生を大きく左右してしまうかもしれません。

先般、ラグビーの元日本代表である大畑大介さんの講演を拝聴させていただく機会がありました。
大畑さんは、小学校3年生からラグビーを始め、高校時代に高校日本代表に選出され、大学時代には日本代表に選出されています。
社会人となってからは、海外でのプレー実績も豊富で、日本代表のトライゲッター、エースとして活躍、世界にその決定力を印象づけられております。
日本代表では、キャプテンを務めるなど日本ラグビーの牽引者として、ワールドカップに2度の出場を果たされております。
特に素晴らしいのが、代表試合のトライ数世界新記録69の偉業を達成されています。

その素晴らしい結果を残されている大畑さんにも、いくつかの岐路があったと言います。

社交的に映る大畑さんですが、小学生時代は、同級生のコミュニティーに加わるのが苦手だったのだそうです。
ラグビーを始めた際にも、自分から輪の中に自ら加わることが出来ませんでした。
ところが、練習のダッシュで、自分がトップだったことがあって、周囲から注目される存在になったのです。
自分の強みである「足が速い」を活かすことで、自分の居場所がつくれるのだと悟ったと言います。

大畑 大介さん

高校への進学も大きな岐路でした。
まず、自分が強豪高校に進学した場合にどうなるかをシミュレーションしてみたのだそうです。
結果、そもそも中学時代に何の実績もない自分が、既に実績があり完成されたチームである強豪高校に進学したところで自分の強み活かすことができない。
つまり、自分の居場所をつくることが出来ないと考え、チームと共に自分も成長できるような高校に進学しようと決められたそうです。

入学した高校は、全国大会にこそ出場したことがありませんでしたが、それでも、同級生は、全員、中学時代に何らかのタイトルを持った人たちばかりだったと言います。
序列であれば自分が一番下であることは明らかだったのだそうです。

そこで、自分の居場所をつくるためにチームとしての全国優勝と個人としての高校日本代表の目標を掲げて公言します。
公言することで、周囲からビッグマウスと揶揄されることもありますが、大畑さんは、周囲の声に惑わされることなく、自分自身へのプレッシャーを与え、成長するためのマインドを構築されて行ったのかと思います。

結果、この目標から逆算した努力によって、まず、2年生の時に居場所であるレギュラーの座、チーム内の居場所を獲得します。

さらに、全国大会への出場を果たします。
しかし、1つ目の目標である全国優勝は、果たせませんでした。
それでも、2つ目の目標である高校日本代表には選出されることができました。
しかし、高校日本代表では、レギュラーにはなれませんでした。
その理由が、能力は高いが身体が小さいからだったのだと言います。

身体が小さいのはある意味、どうにもならない部分であり、それで挫折してしまう人も少なくないと思います。
しかし、大畑さんは、決して諦めません。
欠点を嘆くよりも、長所を活かし、短所と向かい合うことを選択したのです。
結果、高校日本代表では高く評価してもらえなかったものの、その時の屈辱が、その後の成長の糧となり、進学も全国屈指の練習量を誇る大学を選択するに至ります。
そして、大学3年生の時に全日本に選出され、以降、様々な活躍をして行くことになる訳です。

しかし、その後もアキレス腱を二度切るなど大きな怪我も多く、決して、順風満帆ではなかったラグビー人生でもあったそうです。
それでも、大畑さんが、多くの逆境を乗り越えるための大切にしていた言葉が「為せば成る!」です。

そもそも、思い通りにならないと言うことは、「為せば成る!」と思える程に努力していない証だと言うこと。
周りが、どうのではなく、大切なのは自分自身が納得できる努力を尽くした結果だったのかです。

ラグビーで有名な言葉に「One for all,All for one」があります。
一般的に、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」と訳されるケースが多いようです。
しかし、本来の意味は、「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」なのだそうです。
私は、どちらの解釈であっても、素晴らしい言葉だと思います。

共に協力しあって練習に取り組む仲間、切磋琢磨するライバル、支えてくれる家族など・・・
人は決して、一人の力で成長できるものではありません。

大畑さんにも、大学時代に素晴らしい出会いがあった様です。
それは、入学した際の既に日本代表となっていた先輩の存在です。
そして、その先輩は、なんと大畑さんよりも、身体が小さかったと言うのです。
身体が小さいことを理由に評価されなかった人間にとって、身近に克服した手本が存在するのです。
大畑さんにとって、これ以上にない最高の居場所だったのではないかと察します。

個人の能力が高くなければ優れたチームにはならないと思います。
しかし、個人の能力だけが優れていても強いチームにはなれないと思います。
場合によっては、個人個人の能力が低いチームの方が強いこともあり得ます。

人の輪の中に自ら入れないような少年でした。
そんな少年が、自分の居場所を見つけることができた。
そして、そこからコミュニケーションを広げ、様々なことを吸収して成長します。
更には、他人に希望を与えることができる存在になることができました。

「為せば成る」・・・素晴らしいお話を聴くことができました。

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