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外部環境は執着し過ぎるのではなく受け入れて対策する #69 PEST分析

事業の動向に影響を与える様々な要因を環境と称します。
環境も大きく分けて外部環境と内部環境があります。
自社の努力次第となってしまうのが内部環境であるのに対して、外部環境は自社でコントロールすることは困難です。

さらに現代は、VUCA環境と称されるように変化が激しく、先行きが見通し難い環境と言われています。

VUCA環境

それ故に外部環境の分析は重要です。
もちろん、単なる市場調査とは異なりますので、その環境事象や予測を基に、今後の事業戦略にどのような影響があるのかの課題を把握する取り組みとなります。

マーケティングなどにおける環境分析では、外部環境の分析をマクロ分析、内部環境の分析をミクロ分析と称したりもします。
つまり、外部環境の分析は、自社を取り巻く環境に対して視野を広くして目を向けて分析することでもあります。

外部環境を分析する上での大きく4つの要因に分けたフレームワークの代表がPEST分析です。

1.政治・法律関連要因(Politics)
政治の動向、法律や官公庁の通達、業界団体の内規などの状況をみることです。戦争なども含まれてきます。
例えば、各業界で転機となるのが、法律の規制緩和です。
規制によって、ある意味、擁護されていた企業は業績が厳しくなる可能性があります。
逆に規制の恩恵を受けていなかった企業にとっては参入機会になる可能性も出てきます。

水道法の規制緩和

2.経済的要因(Economic)
景気の動向、インフレやデフレ、為替や金利などの金融の状況が含まれます。
経済的要因は国内は当然ながら、輸出あるいは輸入、生産拠点を海外に持っている企業などは、海外の環境も重要視されることとなります。
例えば、為替の動向によっては、輸出の多い企業と輸入の多い企業では、事象に対して全く逆の影響を及ぼす環境となります。

為替の円安傾向

3.社会・文化的要因(Social)
少子高齢化は、様々な切り口で環境に影響を与えています。
例えば、労働人口の低下により、政府は働き方改革を掲げ、離職率の低下や高齢者や主婦層の就業を促す動きも高まっています。
また、健康志向の高まりは、サプリメント・ダイエット食品やスポーツ事業の発展に影響を与えています。

健康志向ブーム

4.技術的要因(Technology)
近年では、デジタル革命、IT革命、インターネット革命と言われる通り、技術による環境の変化の大きさとスピードは目を見張るものがあります。
例えば、デジタル革命では、レコードがCDとなり、現在では、インターネットから端末にダウンロードして音楽を聴くようになっています。
フィルムカメラは、コンパクトデジタルカメラの普及によって衰退し、現在では、スマホカメラの性能向上でコンパクトデジタルカメラが衰退しています。
また、AI(人工知能)やIotの技術は、既存の電化製品あるいは、生産設備にも新しい機能をもたらしています。

製造現場のロボット化

PEST分析で注意すべきは、マクロ分析であることからも、どうしでも漫然となりがちなところです。
そのため分析結果を戦略に反映する際に当事者意識を持ちにくくなってしまうケースがあります。
また、基本的に自社でコントロールできることではないので執着しても仕方がありません。
常に、その分析結果が自社の事業や戦略に、どの様な影響を及ぼすのかを考えながら分析して、その環境変化を如何に活かすかが重要となります。

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