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価値はイノベーションから生まれる #119 イノベーションのジレンマ

マネジメントには、マーケティングと共に、イノベーションの機能があるとしたのが、P.F.ドラッカー氏です。
マーケティングは、多くの企業で取り入れられ、既に定着している機能とも言えます。

対してイノベーションは、直訳すると革新などとなり、機能というよりも、ある意味、崇高な位置付けにあるように感じています。

ところが、マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラー氏は、「イノベーションとは基本的に失敗のマネジメントであり、少数のすぐれたアイデアを得るためには、たくさんの劣ったアイデアを生み出す必要がある」としています。
アイデアとは、既存の価値の新しい組み合わせにより、新しい価値を創造することことです。
つまり、イノベーションとは、最初から特別な存在なのではなく、身の回りにあるアイデアの中から派生してくるものなのかと思います。

しかしながら、イノベーションが容易に生まれてくるものではないことには変わりません。
その意味でも、イノベーションのジレンマという概念があります。
ジレンマとは、俗に、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態を意味します。

イノベーションのジレンマの場合は、大企業が新興企業の前に力を失ってしまうジレンマの状態を説明した企業経営の理論として、1997年にクレイトン・クリステンセン氏が提唱したものです。

大企業とは、既存市場において、既に大きな需要を得ている立場にあります。
その立場では、下手にイノベーションに取り組めば、既存の需要と競合してしまい、その需要に悪影響を及ぼしかねません。
いわゆる、カニバリズム(共食い)を引き起こしてしまう可能性があります。

そのため大企業は、新興市場への参入が、ベンチャー企業や中小企業より遅れる傾向にあります。
これが、イノベーションのジレンマです。

よく事例として取り上げているのがカメラ業界かと思います。
そもそも、カメラは、フィルムカメラでした。
対して、デジタルカメラが登場した際に、フィルムカメラを販売していた大企業は、既存製品が売れなくなることを危惧して積極的に取り組まなかったと言います。
結果、デジタルカメラの普及に対して、経営転換が遅れてしまいました。

もっとも顕著であったのがフィルムメーカーです。
あるメーカーは、完全に転換が遅れ、気づいたらときには、時既に遅し、フィルムの一般需要は、皆無となり倒産してしまいました。

現代は、VUCA時代と表現されるように、企業をとりまく環境は、変動的で不確実、さらに複雑で曖昧です。
その様な環境下で、現状維持のままでは衰退を意味するとも取れます。
しかしながら、消費者の価値観が多様化する中、顧客に必要とされる製品やサービスを生み出すのは決して容易なことではありません。
ましてや、それがイノベーションとなれば尚のことです。

イノベーションのジレンマからイノベーションは、企業には起こせないと捉えるのは間違いです。

Value from Innovation

塵も積もれば山となるといいます。
イノベーションから独自の価値といえるコアコンピタンスを構築し、顧客に受け入れられることで需要は創造、構築されて行きます。
ここまでの過程は容易ではないことです。
しかし、翻せば、山も崩せば塵となります。

例えば、先ほどのフィルムの件ですが、あるメーカーは、フィルムカメラの衰退を予見、そして受け入れ、先手先手で新規事業に取り組んだ結果、現在でも発展し続けています。

何もせずして新しい価値は生まれません。
価値はイノベーションから生まれます。

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