見出し画像

UXを段階に分けて考える(後編)

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
前回はUXエンゲージメントマップ(下図)のSTEP6までをご紹介しましたね。各フェーズごとに必要な考え方などについて触れてきました。
(前回の記事:『UXを段階に分けて考える』)
今回は残りの7〜12のSTEPについて触れていきます。

UXエンゲージメントマップ

全体を通したUX

今回紹介する各フェーズは、前回の記事で紹介したものとは違いフェーズ横断型、全体を通して必要になる考え方のようですよ。
それでは見ていきましょう。

ユーザーが熟達していく

良いUXを提供していく上では、ユーザーが熟達していくことが重要になるそうです。プロダクトに馴染み熟練度が上がると、比例してエンゲージメントも高まっていくからなのだそうです。
マズローの欲求階層によると、人間にとって一番次元の高い欲求が「自己実現」だそうです。これに則って、「なりたい自分」を実現するようなUX設計が効果的なのだそうです。もっと砕いた言葉を使えば、「プロダクトを使っているうちに成長できていると思える体験」というのがいいのだそうです。

マズローの欲求階層

例えばですが、TikTokやInstagramのようなクリエイティブ投稿系のSNSは使えば使うほど、編集技術が高まり投稿が上手くなります。その結果いいねがついたりフォロワーが増えたりしますね。
同様のシステムは飲食店でも活用されています。居酒屋の塚田農場では「名刺システム」があり、来店回数に応じて役職がグレードアップしていきます。役職に応じて報酬もあるので、つい通いたくなりますよね。焼肉きんぐの「焼き肉ポリス」も同様の制度です。

考え方としてわかりやすいのはゲームですね。やればやるほどレベルが上がり、強くなることでできることが増えていくといった具合です。ここで注意が必要なのは、最初のハードルをいかに下げられるかという点です。いきなり難しい操作を要求してもユーザーの離脱を促すことになってしまします。
ゲームのようにチュートリアルがあって、最初は弱い敵キャラを倒して徐々に馴染んでいくような設計が親切です。

ユーザーにリソースを投資させる

ユーザーにコンテンツ投稿を促したり、ユーザーに関連する情報を入力してもらったりといったリソースの投資をしてもらうことも顧客とのつながりを強固にするために必要なことです。
例えば、音楽再生アプリのSpotifyは「マイライブラリ」という機能があります。自身が気に入った曲をお気に入りに登録する機能なのですが、提供側からするとユーザーの好みをユーザー自身が時間を投資して蓄積させる仕組みです。その結果、ユーザーはより大きな価値を感じるようになりエンゲージメントが高まっていくのだそうです。
Facebookもかなり細かく個人情報を入力していきますが、同郷や同窓などを見つけやすくなるというメリットを享受することができますね。

ユーザーの行動に対して報酬を与える

これは、ユーザーが投資を行った結果に対して報酬を得られるようにするという意味合いです。金銭的な報酬だけでなく、満足感などの精神的な報酬など非金銭的な報酬を含みます。

このnoteなんかもこの辺りのUXがよくできていますよね。「X週連続投稿です!すごい!」というポップが出てきて継続できているという充足感を覚えることもあれば、「XXXというカテゴリで先週一番読まれた記事です」というテキストで自己承認欲求を満たしてくれたりもします。

ユーザーに安心・安全を与える

そのまま、ユーザーが安心して使えるプロダクトになっているかどうかということです。
例えば、Facebookは、投稿する際に公開範囲を決めることができます。「特定の友達」「友達」「公開」といった具合にプライベートなことを投稿する際にどこまで閲覧を許すのかというのを自分で決めることができるので安心して使えるのだそうです。

パーソナライゼーション

その人に合わせた情報提供ができているか、といった視点ですね。
Googleは「カフェ」と検索すると位置情報を読み取って、近くのカフェを表示してくれますよね。Amazonも定期購入が必要そうな消耗品は「Xヶ月前に購入」というテキストと共におすすめ表示してくれます。ECサイトを作るときにもユーザーの属性に応じて掲載商品の順位を入れ替えたりしますよね。

なりたい自分になる

これは提供価値に紐づいて検討するべき事項です。提供価値(Benefit)には機能的価値、情緒的価値、自己表現価値の3つがあるとされています。
これらの違いについては過去に書いた『どんな価値を訴求する?価値の種類について調べてみた。』という記事を参照してみてください。

このうち、自己表現価値と紐づいて、そのプロダクトを使い続けることでなりたい自分になれるということを訴求できるプロダクトにしていくことが重要なのだそうです。冒頭のマズローの欲求階層のトップにある自己実現欲求を満たしていくということですね。

まとめ

前回はUXを利用前・利用中・利用後に分けてご紹介しましたが、今回は各フェーズ横断的視点で検討が必要な内容を記してみました。
各フェーズごとのUXと横断的なUXを一つひとつ掛け合わせていくことで、利用を継続するための外部トリガーを不要にすることができます。そうなれば、事業者としてもリテンションマーケティングにかかるコストなどを削減することができます。
UXを検討する際にはUXエンゲージメントマップを活用して、どのステップにテコ入れするのかを明らかにしていくとスムーズかもしれませんね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
なんと、このアカウントを始めてから2年が過ぎたようです。

「え?私がSNSやるの?(経験ないよ…)」「え?note?」「週1投稿?」と不安だらけかつ、アカウント設計もせずに始まったのですが、おかげさまで継続することができています。笑
GW前にドタバタとやることが決まって、GWはテーマ出しと執筆で潰れた2年前。今年もGW中に執筆です。笑
今後も頑張っていきますので、応援してください。(懇願)

あ、前回と今回の参考文献貼っておきますね。

それではまたお会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?