リレー小説 note15 『Relation』                #6-2

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
 長くなったので、分割してあります。

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#6-2

#6-2-1 某国軍 情報司令部(Sep 2017)

 その室内は今や、騒然としていた。
 それもその筈、現代において国防の要とも言うべき情報戦の中枢となるDBに、正体不明のアクセスがあったからだ。

 いや、正確に言えば、今も継続中だ。

 鉄壁のセキュリティーを誇る筈のファイアウォールは役立たず。
 外部との回線を全て切断したにも拘らず、DBのアクセスを示すデータに変化は無い。
 未知の攻撃に、拠点の廃棄と物理的破壊を、と上層部への連絡をした時・・・。

 始まりと同様、それは唐突に終わった。

 スタッフ達が呆然と立ち尽くす中、受話器の向こうからの怒鳴り声だけが室内に響いていた。


#6-2-2 某国 某機関研究所(Sep 2017)

 完全空調の地下室で、世界一を誇る計算力を持つスパコンが、唸りを上げる。
 幾重、何重にも張り巡らされた基板間の通信ケーブルが徐々に熱を持つ。
 その変化に誰も気づかなかったのは、真夜中という事、現時点で、たまたま大規模演算などで使用されていなかった、と言う偶然。
 また、所内LANを監視するモニター装置も、反応が無かった。
 ただ、スパコンは急に稼働率を上げ、そして唐突に停止した。
 その間、わずか数秒。
 LOGも何も残さず、ただ、現象だけが静かに通り過ぎて行った。

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#6-2

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