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リーダーが励ますという事

朝、客先に向かっていたら後ろから子供の泣き声が近づいてきた。
自転車の後ろのシートで「行きたくない〜」と泣いている。おそらく保育園に行きたくないのか、母親はそんなの構わず自転車で歩道を爆走していく。
大人だって同じだ。職場でもリモートワークが落ち着き始め、システム自体廃止になったりある一定の日数は出勤するようになってきたが、身近で良く出勤予定の日に何かと理由を付け出勤しない人をよく見かける。
リモートワークは通勤時間をまんま自由に使えるというメリットに加え、対人の軋轢が少ないと言うのもそういった状況の一因かと思っている。

組織が大きくなったり、顔を合わせる人の数が増えると、色々な歪は指数関数的にどんどん大きくなる。顔を合わせる人の中にストレスフルな人が入る確率が高くなるからだ。以前勤めていた大企業では、その歪をいかに和らげるかという事に本業以上に必死だった。特にメンタルヘルスケアについてはこちらの神経がおかしくなりそうなくらい(笑)しつこく教育が行われていた。
リーダークラスの、部下を気遣うメンタルヘルス教育は毎月あった。繰り返し繰り返し。

それは昨今メンタルを壊して働けなくなる若者が、どんどん増えているからに他ならない。自分の周囲でも何人も壊れていく姿を見た。

最近では特に、普段レジャー等日常生活では活発に活動していてSNSにもリア充的なポストをしてるのに、出社しようとすると体調不良になる非定型鬱というのが多いらしい。ちょっと見ると単に仕事が嫌でサボっているように見えるのだが、本人は深刻に自分の体の異常に嘆き、思い通りにならない自分の体に一層の嫌悪感を持ち負のサイクルで病状が深刻になるとの事だった。

そういう症状に陥りやすい人は自分の経験上、まじめで責任感の強い性格の持ち主が多い。

まじめで責任感の強い者は特にリーダーから好かれ、期待をかけられる。そしてその期待に応えようと頑張る。
ここでリーダーとして最も注意が必要なのは、その期待やワガママが部下へのストレスになっていないかという点だ。例えば、お前はやれるだろ、お前は当然YESというだろうというような、無神経な押し付け忖度というある意味のパワハラだ。

極端な例かもしれないが以前、勤務管理の名目で就業中トイレに行くのにも報告させていたチームリーダーがいた(たまたま自分が当事者(=被害者)と飲みに行った時初めてその衝撃的な事実を知った)。
それだけでも相当なストレスだと思うが、そこでは当人は一見平気。
チームはそのパワハラが原因で程なく解散させられ、当事者は別のチームへ移ったが、その超多残業な職場で鬱になり結局退社。その前からの歪が蓄積していたのかもしれないし、別のストレスなのかはわからないが、誰もがまさかと思った。何が主要因で何がきっかけなのかわからない。

そして鬱には頑張れとか励ます言葉は禁句。頑張れない人に頑張れと鞭打っている事になるからだそうだ。これもメンタルヘルス教育で徹底的に教えられる。そのような言葉は症状を悪化させるだけなのだが、そんな知識さえ持っていない大人が多過ぎるため徹底的な教育がされているんだろう。
SNSでも、善意の一言(というか自分には単なる発言者の行為のロンダリングか「自分は良い人」表明にしか見えない場合が多いが)を見ているとハラハラする事がある。

リーダーは外側からはちょっと冷たく見えるくらいが丁度良いと思う。
表面上部下に厚く接し、相手が恩を感じている。それは良い。ただそれを表明する事は、単なる自己満に過ぎないと思う。
精神は壊れると復旧まで何年も、いや一生かかる事もある。
無神経な大人を減らす事で、多くの人を救うことにならないだろうかと思い、noteに書いてみた。

東京都在住のアマチュアカメラマンです