日記2018/9/24〜9/30

2018-09-24 裸の大将放浪記
ぼ、ぼくは、パンツが好きなんだな…。下着泥棒の嫌疑をかけられ、黒薔薇女子大バレー部の更衣室で取り押さえられた渡辺電機(株)さんを救ったのが、横綱だった。そいつは札つきのロリコン野郎で、この街の小学校に回状が行き渡ってるほどさ。あんたらのような屈強な大女には、興味がないはずだ。あの横綱ですら見上げるほどの巨大なバレー部員たちは、渋々渡辺電機(株)さんを踏みつけた大きな足をどけて、睨みつけた。じゃあ、なんでこの更衣室にいたのさ。いつしか泣くのをやめていた渡辺電機(株)さんは身体のホコリを払いながら立ち上がると、クシャクシャの顔でウフフフッと儚く笑い、すうっと消えてしまった。一同は何だかざわざわした心持ちになって、話もうやむやのまま三々五々、なし崩しに解散した。それきり渡辺電機(株)さんは現れず、それぞれが自分の人生を送ったが、誰もがこの日のもやもやを終生抱えて、釈然としないまま死んで行った。それから、長い年月が流れた。二度の戦争を経て、日本がロシヤの一部となった時代のある日。かつて女子バレー部の更衣室だった場所に建立された、故プーチン終身大統領の銅像の陰茎にぶら下がって無邪気に遊ぶ、渡辺電機(株)さんの姿があった。裸に、XLサイズの女物下着を着けていた。

2018-09-25 アディオス・アミーゴ
若貴ブームの真っ盛り、何とか人気者に気に入られてブームに便乗しようと、双方を行ったり来たりして互いの悪口を吹き込み、反応が鈍いと見るや、曙や武蔵丸にも接近してあの手この手で取り入ろうとした渡辺電機(株)さんは、貴乃花から「すき焼きでもどうです」との誘いを受け、大喜びで両手の指を鳴らしながら、指定された六本木の高級すき焼き店にスッ飛んで行ったが、個室内には若貴兄弟に曙、武蔵丸から貴ノ浪、千代大海、武双山らが勢揃いしており、渡辺電機(株)さんは土下座したまま、後頭部にすき焼きの糸こんにゃくを山盛りにされた屈辱の体勢で、何度も大声で謝罪させられた。その時の恨みを晴らす日が、やってきたぜ…。協会を離れて天涯孤独となった貴乃花に一泡吹かせてやろうと、自宅前に張り込んでいた渡辺電機(株)さんが見たものは、銀色の宇宙服に身を包み、自宅庭の空中に停止した円盤に乗り込んで、地球を去ろうとする貴乃花の姿であった。待ってくれ！おれも連れて行ってくれ！音もなく大地を離れてアンドロメダへ向かう円盤を、渡辺電機(株)さんは泣きじゃくりながら、追いかけた。

2018-09-26 飯田線ラプソディ
忍法ふぐり戻し！！そう唱えて、寒暖差に反応して伸び縮みするきんたまの動きを利用して脱出を試みた渡辺電機(株)さんだったが、山奥の無人駅の、薄暗い便所の床は冷たく、きんたまはカチカチに縮こまって動かなくなってしまった。カギの壊れた個室に全裸で閉じ込められ、進退極まった渡辺電機(株)さんのすすり泣きを聞きつけたのか、何やら獣の唸り声と、落ち葉を踏む足音が近づいて来る。冷たく青白い光を放つ満月だけが、見守っていた。

2018-09-27 Electric Warrior
電機(株)を眠らせ、電機(株)の屋根にちんぽ降り積む…。静かに眠る渡辺電機(株)さんの自宅屋根に、音もなく降り積もる、柔らかな陰茎。一見詩情あふれる光景だが、その裏に陰茎を切断され、血を流して激痛にのたうち回る大勢の力士たちがいたことを、忘れてはならない。やがて生え変わった第二の陰茎は、ガラガラヘビの尾部のような形状で振動させるとけたたましい電子音を鳴らし、光を明滅させながら岩をも粉砕した。昨夜の静かな陰茎雪とは打って変わって、渡辺電機(株)さんの部屋は電子音と強烈な光に包まれ、地響きを立てて崩れ落ちた。もうもうたる土埃と飛び交う電子音の中、仁王立ちする渡辺電機(株)さんの陰茎から、強烈な白い光の柱が雲を突き破って天に伸びて行き、激しい雷鳴とともに空一面が陰茎色に染まる。第二陰茎を明滅させ電子音を放つ力士たちを露払いに従え、渡辺電機(株)さんの横綱土俵入りが、始まった。

2018-09-28 食人大統領
ハンサムになりてえ！おねげえですだ院長先生！！ふるちんで号泣しながら、高須院長の車の前に飛び出した渡辺電機(株)さんを、金色のリンカーンコンチネンタルは容赦なく轢き潰した。事件は渡辺電機(株)さんの一方的な落ち度ということもあり、その死はサイバラ先生に面白おかしく戯画化されて世間の笑いものになり、すぐに忘れ去られた。翌年春。院長とサイバラ先生の間に、新たな生命が宿った。玉のような赤ちゃんだった。大事に育てられた子供はスクスク育ち、やがてウガンダの大統領に成長し、人肉を食べて歴史に名を残したという。一方、非業の死を遂げた渡辺電機(株)さんが生前に保存したエロ画像の数々は「渡辺電機(株)ライブラリー」として公開され、今でも広く親しまれている。

2018-09-29 まんが若貴物語
支度部屋に置かれた巨大ビリケン様にしがみついて泣きじゃくる横綱をなだめすかし、イヤイヤをするのを抱き抱えて土俵下まで運んだ渡辺電機(株)さんに、花道ですれ違いざま「殺すぞ」と囁いた貴乃花親方の背中は、暗く聳え立つ氷山のようだった。そういえば、しばらく可愛がってやってなかったな…。渡辺電機(株)さんは好色な笑みを浮かべると、支度部屋横の力士用売店でイボイボサックと穴あきパンティを購入、イソイソと貴乃花の後を追ったが、背後から肩を掴んで止める者があり、振り返った。花田虎上氏が、怒りに顔をドス黒く染めて、渡辺電機(株)さんを見下ろしていた。

2018-09-30 うる星やつら
おのれ諸星！叩っ斬ってくれる〜！！白い学ラン姿で日本刀を振り回して迫る渡辺電機(株)さんを、横綱は物も言わずに張り倒した。痙攣しながら「ラムさん」と呟き、口の端から少し血を吐いて動かなくなった渡辺電機(株)さんを尻目に、支度部屋は41回目の優勝を全勝で決めた横綱を中心に、報道陣の人垣が幾重にも重なって押し合いへし合いしていた。そして、栄光の表彰式。総理大臣杯授与。アナウンスに呼応して土俵に上がった横綱の目前で、トラジマのビキニ姿の安倍総理が吠える。ダーリン！許さないっちゃ〜〜！！土俵上に設置した巨大なニコラ・テスラ式放電装置から、大量の青白い稲妻がほとばしる。満員の観衆や力士たちが高圧電流に巻き込まれて焼け焦げ蒸発していく中、仁王立ちして高笑いする横綱の腕に抱かれた渡辺電機(株)さんの骸が、放電に合わせてピクンピクンと痙攣を繰り返していた。