日記2018/10/08〜10/14

2018-10-08 Let's ダチ公
外人を見かけるとスッ飛んで行って拙い英語でホエアユーケームフロム？ドゥーユーゴーアキハバラ？ドゥーユーライクスシ？などと話しかけ、ドヤ顔で英語できますアピールに精を出していた渡辺電機(株)さんも、ゲタ箱に入っていた女子名の手紙に呼び出されホイホイ出かけて行った校舎裏で、仁王立ちの曙太郎に見下ろされては、さすがに進退窮まった。なにを言われても震える声でイエスと答える他はなく、曙が経営するステーキハウスへの２億の融資を承諾させられた。だが、その２億を渡辺電機(株)さんに返済するために誠心誠意汗を流し働く曙の姿に、渡辺電機(株)さんは心を打たれた。２億の友情が繋いだ、最強のコンビ強盗「曙電機(株)」の誕生だった。

2018-10-09 東京怪異譚
あの麻生太郎が顔をクシャクシャにして泣き出し、明石家さんまが重篤な鬱状態に追い込まれたという渡辺電機(株)さんの「こわい話」とドン・フライの異種格闘技戦は、開始数秒でドン・フライが無表情のまま大量の失禁をして、立ったまま気絶してしまう凄惨なKO劇で、幕を閉じた。お、おらはただ、見たまんまをお話ししただけですだ…。渡辺電機(株)さんは何が起きているのかよくわからない様子で、おどおどと群衆を見回し、しきりに帰りたがった。面白いじゃん。それ、金出せば聞けるんでしょ。そんな剣呑な噂にも、堀江貴文の好奇心は貪欲だった。強引な堀江の誘いで、半ば拉致同然に六本木ヒルズのエレベーターに押し込まれた白ブリーフ一丁の渡辺電機(株)さんは、慣れない都会の高級マンションに動揺し、帰りたいと泣きじゃくった。数分後。ブリーフにねじ込まれた札束をポロポロ落としながら、泣きながらエントランスを飛び出してきた渡辺電機(株)さんが、青山通りを猛スピードで突っ込んできたダンプカーを跳ね飛ばすと、背後の爆発炎上を振り返りもせず、走り去った。堀江は特に変わることなく、以後も強気な言動でメディアを賑わせたが、おばけの話を聞かされると、まるで渡辺電機(株)さんのように泣きじゃくったという。

2018-10-10 バブルと寝た女たち
ジューリアーナ、トーオキョオオーーッ！！深夜二時。渡辺電機(株)さんの絶叫が誰もいない空き地に響き、土管の上に設置したてんとう虫の卓上プレーヤー上で、MCハマーのシングル盤が回転する。貧弱なスピーカーの音は、秋のコオロギやキリギリスの大合唱にかき消され、何も聞こえない。紐でつながった二個のたわしをヘッドフォンに見立てて片手で支え、しかめっ面で目を閉じ身体をリズミカルに上下させる渡辺電機(株)さんを、凶暴な人食い虎が狙って、ゆっくりと空き地を這い寄って来る。唸り声を上げ飛びかかろうとした虎が、突然動きを止め、硬直して渡辺電機(株)さんを見つめたまま震えだし、失禁を始めた。閉じているかと思われた渡辺電機(株)さんの目は、いつの間にかクワッと見開かれ、目玉も何もない空洞がぽっかりと空き、その空洞は虎をしっかりと見据えていたのである。何も動くものが無い空き地に、虎の動悸の音と、虫の声と、曲の終わったシングル盤が発する針のノイズが、次第にモノスゴい轟音となって、響いた。

2018-10-11 海へ行くつもりじゃなかった
小沢健二がフリッパーズ・ギター名義での復活を宣言し、渡辺電機(株)さんと共にスタジオ入りしたというニュースがネットに流れたのが、中国が韓国に軍事介入して即日制圧、併合した日のことだったので、大して話題になることもなく、それきり忘れ去られてしまった。それから3ヶ月。小沢のSNSに、「New…？」という思わせぶりな一言とともに、わが目を疑うほどの巨大な大便の画像がアップされ、すわ新作かと音楽業界に激震が走ったが、それきり更新されることはなく、新たな音源どころか本人の動向も全く伝わらなくなってしまった。それからまた数年経ち、日本が中国に併合されて街も賑やかさを取り戻した、ある秋の日。焦土と化した東京に代わり新たな首都となった尼崎の街頭に、巨大な大便の傍らに佇み、ギターの弾き語りをする、小沢の姿があった。渡辺電機(株)さんはどこに？訝しんだ横綱がよく見ると、大便からコロリと剥がれ落ちた金属片は見間違えようもない、渡辺電機(株)さんが肌身離さず着けていた、あの陰茎吸引器具だったのである。

2018-10-12 レモンエンジェル
「ちゃんこを一人で完食するまで帰れま10」の大垂れ幕の下で、グツグツ煮えたぎる鍋を前にシクシクすすり泣く渡辺電機(株)さんを、力士たちは黙って見下ろしていた。こんなに食べれないぃと泣きじゃくる口元に、箸で鶏団子を突きつけ、さあ食え今食えと囃し立てる力士たち。どうだ、食えねえだろ。これに懲りたら、もうでかい口は慎むこったな。指差し爆笑する力士たちの間を四つん這いですり抜け、あわあわお許しをと口走りながら一目散に逃げ帰った渡辺電機(株)さんだが、もちろん黙って引き下がったワケでもない。いつのまにか稽古土俵の中央に置かれた一個のレモンを、力士たちは当惑しながら取り囲んだ。そのカーンと冴え渡った色彩が、稽古場の空気を変に緊張させている。土俵に黄色く輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢になったような気分で、渡辺電機(株)さんのはその想像を熱心に追求した。「さうしたらあの気詰まりな相撲部屋も木つ端微塵だらう」さう云つて京極を下っていった渡辺電機(株)さんは暴れ牛の大群に巻き込まれ、アツと云ふ間に姿が見えなくなつて仕舞つた。

2018-10-13 スーパー熟女サロン
戯れに着けた鬼の面が外れなくなってしまい、夜の神社の賽銭箱の上に座ってすすり泣いていた渡辺電機(株)さんだったが、今なら何をやらかしても鬼のせい！と割り切ると、行動が早い。アッと言う間に下半身すっぽんぽんになり、ちんちーんと叫んで夜の街は駆け出して行く。ふるちんくらいでは動じない街の客引きに誘われるまま「スーパー熟女サロン 艶」なるピンク色のネオンの下に吸い込まれて行った。ちんぽ丸出しではしゃぎ、大いに飲み食い歌い、ふと我に返って傍らの女性に「鬼の面が怖くないですか」と尋ねると、女は「鬼の陰毛岩をも砕く、貴方もさうでせう、さうなんでせう。あはははは」と、白いのっぺらぼうの顔で渡辺電機(株)さんを指差し、いつまでも笑っていた。

2018-10-14 ストロベリーフィールズ
武道館の楽屋で挨拶しなかったビートルズをボッコボコにしてやったよ！と息巻く渡辺電機(株)さんの武勇伝は、だんだん尾ひれがついて、リアリテイには程遠い英雄譚になって行った。崖から落ちかけたジョンレノンの腕をガッチリ掴み、襲い来るテロチルスの群れをレイガンで狙い撃ちしながら、大声でレットイットビーを歌って魔城に囚われたポールを励ます場面では、さすがの横綱も「それ、ウソやんな？」と、話を遮らずにはいられなかった。その瞬間、渡辺電機(株)さんは張りつめた糸が切れたかのように、顔をクシャクシャにしてワッと泣き伏した。膝に顔を埋めて泣きじゃくる渡辺電機(株)さんの背中をさすりながら、でもビートルズをボコボコにしたのは本当やねんな…と、あらためて横綱は感嘆するのだった。だから、それすらも嘘だと分かった時の横綱の失望は、いかばかりか。これが関東全土を廃墟と化した、横綱の殺人四股100連弾の真相である。