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辞めること。続けること。

「フルハウス」という昔の海外のコメディドラマがある。
同じ30代くらいの方は、
小学生の頃テレビで放映されていたので知っている方も多いかもしれない。
突然妻を亡くした主人公が友人達に助けられながら
男手だけで子育てをしていく物語。
各回、基本的には1話完結で家族の日常が描かれている。
先日、某動画配信サイトで、そのとある回を見ていた。

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小学生の娘が、父親(主人公)にダンスの習い事をさせてほしいと懇願し、
結果 承諾を得ることができてダンスを始める。
ダンスの先生にも見込みがあると言われたこともあり、
プロのダンサーを夢見て、彼女はとても張り切っていた。
しかし習い事をするようになったことで、
これまで可能だった 家族や友達との時間をもダンスの時間に当てることになり、
このままでは人生がつまらないものになってしまうのではないかと思い始める。
その後、辞めることを決めて父親に伝えようとするが、すぐには伝えられない。

彼女が伝えづらかった理由は、
「自分から言い出したこと」であったのと、
「親をがっかりさせてしまうかもしれない」
という思いがあったからだ。
最終的には父親と会話ができ、その思いを伝えることができる。
その思いを聞いた父親は、
「夢を持つことは素晴らしいことだけど、それが変わるのもいいんだよ。
がっかりなんかしない。」
と受け止めてあげる。

彼女はこの件で、
ダンス自体は楽しいし好きなことではあるが、
家族や友達との時間も取りながら、
たまにダンスする程度が自分が望むことだということに気づいて、
最終的にはその選択をすることにした。
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という、
そのような回だった。

私にとっては、とても心に刺さるお話だった。
その理由としては、父親の受け止め方がとても心温かくて良かった。
というのも1つにはあったが、
別の理由として、私も小学生の頃に同じような経験があったからだ。
そして、私は「辞める」選択をできなかった人だ。 

私は小学2年の時にサッカーを始めた。
2つ上の兄が習い始めるというので、一緒に始めることにした。
私の場合は懇願して始めたという感じではなかったが、
当初は同じ学校の仲の良い友達も多く、
和気藹々とした雰囲気でとても楽しいものだった。
しかし、高学年になるにつれて、少しずつ辞めていく人も増え、
割と本気でやっている人が残っていくようになった。

私も本当はこの時に辞めたかったのだ。
和気藹々と仲の良い友達とやるサッカーが楽しかったから。

しかし、辞めることを考えた時、
「やると決めたのは自分なのだから、途中で辞めてはいけない・・・」
「途中で何かを辞める自分を、親はどう思うのだろう・・・」
「親同士の付き合いもあるし、親はどう思われるのだろうか・・・」
という思いが同時にあった。
そして、辞めることはせずに続けることにした。
自分の望みとは反対の選択をしたのだ。

私はそのままずるずると、
高校3年にあがるまでサッカーを続けた。
楽しい時がなかったわけではないし、
得られたことも沢山あったと思う。
しかし、どこか途中から「続ける」というのが目的になっていて、
やりたいからやっているという感じではなかった。

その後も、
高校が理数クラスだったから、大学は理系の学部へ進学。
大学で学んだことが活かせるところ、という理由で就職先を探して就職。
やりたいことがわからず、
その時していることに関連することを続けるという感じだった。

どの時でも、途中で辞めたいと思うことはあった。
しかし、辞めることを考える時に、やはり親のことを考えてしまった。
決して、親から期待をかけられていたというわけではない。
自分が勝手に「親をがっかりさせてはいけない」と思っていた。
そして、いつでも「続ける」という選択をとった。

しかし、やりたいことでは無いことを続けてきた結果、
誰かの為に何かをするという「他人軸」で考えるマインドが基本となってしまった。
これがいつしか生きづらさにつながり、特に仕事をするようになってからは苦しみに変わってしまった。

最終的にこのマインドを捨て、
自分軸で考え「辞める」という選択をすることができたのは
28歳の時だった。
私は親にも言わずに会社を辞めて、その後転職をした。

きっかけは、心理カウンセラーをしている方に
「自分の為に、自分の判断で、そろそろ生きても良いと思うよ」
と言ってもらったことだった。

もしかすると当時の私のように、
誰かの為に何かを続けている方もいるかもしれない。
もしそれが苦しみにつながっているのであれば、
自分の本音で行動できると良いなと思う。


ドラマを見て、このようなことを思い返すとは思わなかった。
ドラマの彼女とは違い、
自分の気持ちに素直になるまで私は時間がかかってしまった。

自分の本音は大事にした方がいい。
・誰かの為に何かをするという「他人軸」で考えるマインドだと、続けることが苦しくなる。

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