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高学歴マウントをとってくるアイドルの顧客リテンションがすごい

皆さんこんにちは。マーケ・営業プロセス向上委員会のバーチャンです。
今回は優越感や劣等感が水面下で交錯する "学歴" を武器としたマーケティング事例のお話。

皆様は学位記を卒業してから取り出して見たことはあるでしょうか。
かく言う私は一度もないのですが、ついにそれを活用できる機会に巡り合えるかもしれません。
ビジネスの糧とするために取り上げる話題は、一見するとビジネスからも学歴からも程遠い、アイドルのライブ。

■とあるアイドルのお話
アイドルは戦国時代と言われて久しく、もはや一部では飽和、低迷期とすら言われております。
各グループが差別化に頭を悩ませ、しのぎを削る中、「学歴の暴力」というアイドルユニットが話題になっています。

「学歴の暴力」は東京大学、京都大学などの有名大学を卒業した日本のザ・エリートたちによって構成されており、
注目されている主要演目の中で、文字通り学歴の暴力を振りかざす掛け声とともに「学歴ビーム」を観客に浴びせる場面があります。
学歴ビームを浴びたファンは卒倒する、という一連の流れになっているのですが、
同じく高学歴な学位記を持つ者が、それを盾としてかざすことでビームを防ぐという習わしがファンの間でいつしか生まれ、広まったことで、勢いを増しました。

このファン交流とも言えるライブの一体感(客観的に鑑賞するだけではなく、その場に参加している感覚)がユニークで、ライブに足を運ぶ方も多いのだとか。

■一般的なアイドルのマーケティング戦略との対比
一般的にアイドルの顧客獲得は、アイドルの持つ才能・スキル、芸術性・エンタメ性、容姿・人間性を武器に、それを見た観客のなんらかの感情的欲求を満たすことで達成されます。
つまり、プロデュースする側はそこに強みを作り出す(すなわち独自の良い曲を作り、かわいく演じる)のがセオリーだったのですが、
アイドルで溢れた現代の芸能レッドオーシャンの中で彼女らがとった差別化戦略は、なんと「観客に対して学歴マウントをとること」でした。

さらに、日常生活において "全く使い道がないのに捨てられないもの" の筆頭格である学位記に日の目を浴びせることができる機会を、顧客が図らずも創出したことによって、奇跡とも呼べる大きな魅力になりました。
リスクも大きかったであろうこの戦略が、一つのマーケティング成功事例となったのです。

■差別化要素が生み出すリテンション力
彼女らのライブが人を引き付ける要素には、マゾヒズム嗜好(マウントをとられるのが好き)を満たしてくれるという点も挙げられるでしょうが、
高学歴を密かに持つ観客側が、自己の学歴を他者に対してアピールしたいという潜在的欲求を満たしてくれるという点も無視できません。
学歴自慢欲を、自動的にエンタメに昇華した上で満たしてくれる場という魅力が、唯一無二のリテンション力になっているのです。

■リテンションって何?
リテンションとは、相手(主には顧客)との関係を維持し、つなぎとめる力のこと。
社内人材の離職を防ぐ意味合いでも使われることがあります。

新規顧客獲得がますます難しくなっている時代の中で、
サブスクリプション商品が増え続け、
買い切り商品の"所有"よりも"利用"や"体験"の重要性が増していることから、商品提供側はリテンションに重きを置いた戦略を考えることが大切とされています。

今回の事例では、学位記ガードという体験が楽しい、他にない魅力を持つことで、もう一度その場に参加したいとファンに思わせていることをリテンションの成功事例として取り上げました。
そこにしかない唯一の魅力を持った商品はリピーターを獲得する上で
強力な武器になりますよね。

また、面白いのは、それが本来意図した商品力や戦略ではなかったところ。
製作側が意図しないユーザ体験が、商品の強力なリテンション力になる可能性があるという点です。
ティッシュが元来はメイク落とし、メガネ拭きは単なる洋服の布材だったことは、製作側が意図しない成功として有名なお話ですよね。

■おわりに
今回のお話から学べることとして、
①一見ネガティブに見える事象(学歴マウント)もプラスに作用させることができる可能性がある、
②商品が本来の意図からずれたポイントに強み・差別化要素を持つことがある、
③使い道のなかったもの(かつ捨てづらいもの)を有効利用したいという需要が世間には内在している、
の3点が特徴的でした。
これらの観点にはチャンスがあるということですね。

今一度、自社の商品力を見直し、違った角度からマーケ・営業の戦略を考えてみるのも面白いかもしれませんね。

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それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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