『虹の橋からのメッセージ』


誤って消去してしまったと思っていた文章が昔のブログに残っていた。
懐かしいので載せておきます。

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昔飼っていたワンコのことを思い出して書いたモノです。
懺悔の気持ちで書きました。

思えばこの文をアップした翌日自分は交通事故に遭いました。
ワンコが早くここへ・・・虹の橋においでよ・・・と意思表示をしたのかも知れません。

いや、ちがいます、あれくらいの怪我ですんだのは、ワンコが守ってくれたのです。

天国の少し手前に、『虹の橋』はあります。

この文はワンコのモノローグがすべて、です。



『虹の橋からのメッセージ』

おにいちゃん、久しぶり、
ボクだよ、ロロだよ
時々ボクのこと思い出してくれてるね
ありがとう
ボクにはわかるんだ、お兄ちゃんが心の中で
ボクの名前を呼んでいるのが。
ボクここにやってきて
もうずいぶんになるけど
おにいちゃんのこと忘れてないよ
おぼえてる?おにいちゃん
初めてあったときのこと
ボクがおにいちゃんの家に来て、
まだ右も左も分からない最初の日
おにいちゃん、夕方帰ってきたね
誰だろう?って門のとこまででていったら
おにいちゃん、庭に入らず、門にもたれてじっとボクを見ていたね
ボクおにいちゃんは敵でないことすぐわかった
そしてなんだか嬉しくなってひっくりかえちゃった
おにいちゃん門を開けてボクを抱き上げて撫でてくれた
とっても気持ちよかった。
それから数日、おにいちゃんにご飯をもらい散歩に連れて行ってもらい
夜は縁側で寝そべっておにいちゃんに撫でられて過ごした
おにいちゃんは遠くの学校にいってるので
そんなに長くはいられなかったけれど
夏や冬には長く家にいて一緒にいていっぱい撫でてくれたね
お兄ちゃんの膝の間でボクよく寝てしまったね
あんまり長くそうしてると、コラってお兄ちゃんが揺り起こすから
そんなときのボクの顔は照れ笑いみたいに見えたはずさ
だって気持ちよかったんだほんとに。
それからおにいちゃんが卒業してずっと家にいるようになって
おにいちゃんは昼間どこかに出かけていて夜に帰ってくるようになった
昼間はおばあちゃんしかいなくて、ちょっと寂しかったけれど、
毎日おにいちゃんが帰ってくるのが楽しみだった
おにいちゃんの帰ってくるの遠くからわかったんだ
足音、におい、それを感じるともう自分で興奮をおさえられなかった
庭いっぱい吠えながら走り回ったよね
毎晩おにいちゃんの膝で寝たりおにいちゃんの顔をじぃっと見ていたり
話しかけてもらったり、遠吠えごっこも楽しかった
おにいちゃんのおとうさんが自分で仕事を始めて
おにいちゃんもそれを手伝うようになった
帰るのが遅くなったけれど
ボクはずうっと待っていた
おにいちゃんの足音、におい、声
ある晩おにいちゃんとおとうさんが大きな声で言い合いをした
ボクにはよく分からなかったけれど
しばらくして、おにいちゃんはいなくなった
毎晩帰ってくるのはおとうさんばかり、
寂しかったほんとに寂しかった
おとうさんは毎晩疲れた様子で
おにいちゃんのおかあさんも仕事をしながらなので大変だったみたい
ある日今度はおとうさんとおかあさんも大きな声で言い合いをしていた
おにいちゃん、どこにいるの帰ってきてよう
ある日、引っ越すことになった
ボクにはなんだか分からなかったけれど
新しいおうちに引っ越したんだ
今までいたおうちのお気に入りの昼寝の場所もトイレの場所もなくなった
あたらしいおうちは庭もせまく、おとうさんもおかあさんも
いつもいらいらして、ボクのことかまってくれなかった
おばあちゃんは昼間大きな音でテレビをつけっぱなしで
部屋から出てこなくなった。
ボク鎖でつながれっぱなしで、散歩にも連れて行ってもらえなかったし
うんちもおしっこも、鎖でとどくとこにしか出来なかった
つらかったよう、散歩したい、思いっきり走りたかったよう
暑かったし寒かった、誰も撫でてくれない話しかけてもくれない
おにいちゃん、つらいよう、寂しいよ、って何度も叫んだ
おにいちゃん一度だけ帰ってきたね、
嬉しかった、前みたいに撫でてくれて散歩させてくれて膝の間で
眠らせてくれて
でもおにいちゃん、またおとうさんと言い合いをしてた
おにいちゃんがおうちにいるとき
ボクずうっとおにいちゃんを呼び続けていたのに
ボクを撫でてくれなかった
次の日、おにいちゃんは荷物をもって玄関から出てきた
おにいちゃんまた行ってしまうの?
いやだ、おにいちゃん行かないで!!
おにいちゃんも寂しそうだった、
玄関に入れてもらって、おにいちゃんは前みたいに
ボクを膝の上に乗せてくれようとしたね
そうしたらおかあさんが、犬のつめあとがあると
家が高く売れないからだめと言った
おにいちゃんは立ち上がり
駅に向かって歩き出した
おにいちゃん行かないで、ってボク何度叫んだろう?
おにいちゃんは帰ってこなかった
あいかわらずの毎日が続いた
それでもボクはおにいちゃんを待ち続けた
すごく暑い日とすごく寒い日が何度か来て
ボクはある日胸がとても苦しくなった
そのころはもう散歩だとかうんちの場所だとか
気にならなくなった、まわりがぼやけて見えたりした
その晩は胸がすごく苦しくかった
そして目が覚めたらボクはここにいたの
もう胸も苦しくないし
散歩はし放題だし、自分のうんちの臭いもない
もうなんにも苦しいことなんかない
ただおにいちゃんに会いたい
また撫でてほしい
それはなんだか無理みたいだけど
おにいちゃんが時々ボクを思い出してくれてること
わかるんだ
時々下界のどれかの犬の目に波長を合わせると
おにいちゃんが見えるんだ
毎回うまくはいかないけれど
あとこの夏は、ボク降りていって
おにいちゃんのそばまで行ったよ
おきてやぶりだったかも
でも、どうしてもおにいちゃんのそばに行きたかった
おにいちゃんベットで寝てたよね
前みたいに顔をなめて起こそうとしたけれど
我慢したんだ、そのかわりおにいちゃんの足を
一回ぺろりとなめて
帰ってきたんだ
気がついてくれたかな
おにいちゃんのこと恨んでないよ
おとうさんもおかあさんも
いつかおにいちゃんもここにこれればいいな
また一緒にさんぽして走って遠吠えして
そしてそして
また
おにいちゃんの膝のあいだで眠るんだ
今度はずっとずっと
いつまでも

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