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【連載インタビューvol.1】意匠設計から鉄工所へ。手を動かすことから始まるものづくりとその原動力

設計を身に付けたいひとから現役設計者、そして木工家や職人まで、様々な職能を持つ方々が集まるEMARF CONNECT。

本記事は、EMARF CONNECTメンバーの素顔に迫る連載企画です。
第一弾は、「EMARF DESIGN FES 01」にも出展してくださった古賀将太さんをご紹介します。

● EMARF CONNECTとは?
2022年7月にスタートした、次世代の設計者を目指す方を対象にものづくりの学びと実践を通して設計のデジタル化を支援する、月額980円のサブスクリプション型オンラインプラットフォームサービス。初回限定募集した100名のメンバーと共に、様々なプロジェクトやワークショップを通して学びと実践を繰り返してきました。

現在EMARF CONNECTでは新たに動き出したワークショップやプロジェクトも増え、また10月からは会員の随時募集が始まりました。
EMARF CONNECTって「どんな場所?」「どんな方がいるんだろう?」と気になっている方はぜひ読んでみてくださいね。
会員申し込み・詳細はこちら

● 古賀将太さんプロフィール

福岡出身、現在名古屋在住の鉄工職人見習。大学卒業後、設計事務所やゼネコンで意匠設計者として働く。そんな中、自分の手を動かして実際に何かを作る経験がしたいという思いから、一旦設計業を離れ、鉄工所で職人として修行中。主に家具や建築金物を中心に製作。自主制作として家具等を作る上で、木と組み合わせた物も作りたいと思い、EMARF CONNECTへ参加。

今日はよろしくお願いします。普段はどんなお仕事をされていますか?

金属加工業に携わっていて、鉄工所で家具を作ったりしています。
以前は設計事務所やゼネコンで意匠設計に携わっていました。

なぜ意匠設計を離れて鉄工所に?

以前の仕事では、机の上で作業して現場に行くことが仕事のルーティンだったんですが、実はずっと「現場で手を動かす深いものづくりが自分にもできれば」と思っていました。

転職の際に木工にするか鉄工にするか迷いましたが、そのとき漠然と、最終的にはまた意匠設計に戻りたいと思い、まったく想像がつかない鉄工所で、ものづくりの知識をつけたいと考え鉄工所で働くことにしました。

仕事を変えたことをきっかけに、今は自分で手を動かすものづくりができるようになりました。

ありがとうございます。
仕事にはしなかった木製ものづくりのEMARFと、EMARF CONNECTに興味を持ったきっかけを教えてください。

EMARF自体は、サービスが始まってからずっと気になっていました。
実際に、チュートリアル動画を見たり問い合わせ相談を利用しながらやってみたことはありましたが、それでも入稿して何かをつくるところまでは行けなくて。

そんな状態のときにCONNECTがはじまったので、CONNECTに入ればひとりでつまずいていたハードルを超えられるかもしれないと思いました。

CONNECTに入る前に、入稿には至れなかったのはなぜですか?

自分自身の設計スキルのレベルなどもあると思うんですが、一番大きかったのは、実際に頼んでうまくいかなかったらどうしようという不安があったことです。

一人でやっていると、どうしても不安でくじけてしまうこともありますよね。
そもそも、古賀さんがつくることに興味があるのはなぜですか?

建築家の石山修武さんに昔から感銘を受けているというのが大きいかもしれません。

石山さんは、代表作である「開拓者の家」という建物を建てる際に、建築家が介入したセルフビルドということをされているんですよね。
工務店などを挟まず、設計した建物の施工手順、方法を書いた組立指示図をお客さんに渡して、ほとんど1人でセルフビルドをしてもらい、完成させたそうです。

出典:「石山修武の住宅と建築」住まいとインテリアプラン https://sumaiinteriorhosue.seesaa.net/article/435314452.html

この事例は特殊ですが、他の建物でも石山さんは、現場を中心に考えたものづくりを大事にされており、何度も現場に足を運び、職人にも細かく指示を出すそうです。
そういう態度で建築に携わっているところに感銘を受け、現場に興味を持つようになりました。

なので意匠設計を仕事にしていた時は、現場で実際に手を動かしていない状態でいることに、僕自身コンプレックスを抱いていたんです。

つくることに携わってはいるけれど、ずっと手触り感がない状態だったということでしょうか?

そうですね。
いま働いている鉄工所では、クライアントさんに図面をもらってから完成までを見られるし、ものづくりの最初から最後までに携わることができるようになりました。

EMARFを使うと、それよりももっと自分で考えて、完成までを自分の手でできるので、すごく楽しいです。

一貫して、「つくるということは一部ではなく全体」という捉え方をされているところが、一度意匠設計から離れて自分の目で見える範囲の仕事に就かれたことや、EMARFに興味を持っていただいた理由になっているのかなと感じました。
7月にスタートしたEMARF CONNECTに、3ヶ月間参加してみてどうでしたか?

最初の方はあまり参加できていなかったんですが、BaBaBaでのデザインフェスの話が出た時に、せっかくだから自分を追い込もうと思い出展者として参加しました。

結果的にEMARFを使わなくても作れそうな作品になってしまった気もするんですが、EMARFがあったことが、「つくろう」というモチベーションになったというか。

つまり、データを作ったらすぐに出力してカタチにできる環境があったので、とにかく動けたんだと思います。

CONNECTに参加していなかった時と、参加した今のものづくりでは、なにか変化はありましたか?
CONNECTに入ったことで同じ目的を持ったメンバーが周りにいて、側でサポートも受けられるという環境になったと思います。

かなり変わりました。作品制作の際にVUILDの川崎工房に行って、色々なひとにサポートしてもらったことは、すごくありがたかったです。

CONNECT運営メンバーの戸倉さんが真横でGrasshopperを組んでくださったり、沼田さんもサポートしてくれました。また、CONNECTのメンバーともお話しし、仲良くなれたことも嬉しかったです。

つくっているときに周りにひとがいるのと、ひとりでつくるのとではまた違いますよね。

そんな感じがしました。
でも今回は、木と金属を組み合わせるということが自分に課したお題だったのですが、それに最後まで苦しめられましたね(笑)。

そうだったんですね。木より本業の金属に首を絞められたと(笑)。
少し話が変わりますが、今のお仕事ではCADは使いますか?事前アンケートで、Rhinoceros講座が良かったと答えてくれていましたよね。

今の仕事ではあまり使わないですね。

前職の時は使っていましたが、Rhino講座が良かったのは、EMARFの入稿まで一緒にやってくれたところだったと思います。

これまでは、最後に注文ボタンを押すかどうか迷う、みたいな孤独な時間がありましたが、それがなかったので安心感がありました(笑)。

どうしても一人でやっていると、入稿前の不安は拭えないですよね。

そうなんです。

デザフェスの展示のときに入稿する際も、Rhinoの講座で一緒にやってもらえたという体験がなかったら不安で入稿できなかったかもしれないです。
モデリング基礎講座に参加したら、ハードルが一気に下がる気がします。

正解が分からないところをひとりで進むというのはむずかしいですよね。

例えば穴を開ける時はどれくらいの大きさがいいのだろう...とか考え始めると終わりがありません(笑)。

もちろん記事やガイドには書いてはありますが、それだと一々つまずくことになるので、その場で聞けたり、CONNECT内でチャットベースで相談できるのはよかったです。

CONNECTに入って3ヶ月、気持ち的にもスキル的にも変化を実感することがあれば教えてください。

まずEMARFでつくるハードルがすごく下がったことと、EMARFで出力すればいろいろつくれるんだと思えたことです。
今後も色々つくってみようかな思いましたし、楽しみがすごく増えました。

この間、CONNECT内でメンバーの方が「大阪でも展示ができるスペースがありますよ」と投稿していたと思うのですが、もしまたやるならなにをつくろうかな、なにかつくれたらいいなと思いました。

その動機は、作ったものを人に見せたいというところにあるのでしょうか?
それとも、つくるきっかけがほしい?

両方あると思います。
つくるきっかけとして、マラソンみたいに目標があった方が走り込みできるというか。

もちろん、作ったものを展示会という場で見てもらえることもモチベーションになります。

CONNECT内でシェアするだけでも楽しいし、ひとりでつくって終わりじゃない、という場があることが「つくりたい」に繋がっています。

そう言っていただけて嬉しいです!
今後、CONNECTでやってみたいことなどあれば教えてください。

2泊3日のものづくりキャンプがすごく楽しそうだったので、またあれば参加したいです。

それ以外にも色々つくってみたいし、ワークショップにも参加したいですね。
デザフェスのフラワーベースWSがすごくたのしかったです!

キャンプギアづくりブートキャンプ @LAC八ヶ岳

CADスキルやものづくりのスケールはアップデートしていきたい?

そうですね。
デザフェスで他の出展者さんがGrasshopperを使って作った照明を見たときとかに、すごいと思いました。

今の仕事で作るときに、金属もいいけど、天板は木にしたいと思ったりすることもあるので、もう少しスキルアップできたらつくれるものも増えるかなと。

Grasshopper講座とかできるといいですね...!
今日はありがとう ございました!これからもよろしくお願いします。


▼メンバーインタビュー第一弾もぜひご一読ください!
「意匠設計から鉄工所へ。手を動かすことから始まるものづくりとその原動力」


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