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持つべきものは友

弟にはたくさんの友人がいます。

幼いころから、私もよく知る友達だったり、中学校、高校時代の友人職場の友人、病気になってから知り合った、看護師さんや、リハビリスタッフ、介護士さん、たくさんの仲間たちが弟をずっと支え続けてくれました。

病気になって入院してからも、常に誰かが、病院を訪ねてきては、話に花を咲かせて、暖かくみまもってくれていました。

ワルがき達』なんて言ったら怒られてしまいますが、彼らも今や社会的に地位もあり、素敵な父親、母親ですが、幼い頃からずーっと仲良くしている友達がいます。

私も久しぶりに再会したころには「うわー!みんな立派になったね!!」
「お姉ちゃん!!元気そう!」とお互い年を重ねたにもかかわらず、懐かしく楽しく再開しました。

かれこれ40年くらいお付き合いしている親友たちがたくさんいるというのはなかなかないことではないかと思います。

ある時、弟がその仲間達から、庭での焼肉に誘われることがありました。

はじめは友人に迷惑をかけたら困るという理由で、断っていましたが、何か困ったことが有ったら待機している私がすぐに迎えに行くという約束でいく事を決めました。

車いすの生活になってから、外に一人で出かけていくというのは弟にとって恐怖であり、呼吸が苦しくなったらどうしよう・・・トイレに行きたくなったらどうしよう・・・行動の一つ一つが不安でした。

慣れている私か両親、夫がいる時は安心していられるのですが、一人での行動はそうはいきません。

送り迎えするとはいえ、数時間一人で外出するということは大冒険でした。

私はO君に、持たせたリュックサックにいれた薬や呼吸の機械の説明などをしてなにかあったらすぐに連絡するようにお願いしました。

なにかあったら・・・それは命に直結することなので、これから起こりうるすべての事をシュミレーションして、弟は自分の中で「大丈夫」というサインが出ないと出かける気にはならなかったのだと思います。

ところが行ってみるとなかなか緊急連絡は入らず、夕方までの数時間帰ってきませんでした。

庭自慢の友人の家では友人達が食材や、お酒を準備していてくれて、とても楽しく過ごさせてもらったんだそうです。

興奮気味で、帰ってきた弟は、O君とS君が「あーん」と肉を口に運んでくれて、トイレにも連れて行ってくれ、みんな慣れたてつきですべての介助もしてくれた・・・

そして、たくさんの懐かしい話や夢の話で、ずっと笑いっぱなしだった・・・

よほど楽しかったのでしょう

あいつらに「あーん」してもらうなんて、おれもなかなかだよな!

そう言って帰ってきてから男泣きしていました。

楽しく笑うことは元気になる!
不安な心を一瞬でも軽くしてくれる!
そう思いました。

持つべきものは友

感謝してもしきれません


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