見出し画像

『星月徒然』装丁・各話注釈・あらすじ

追記:新装版はこちら↓


表紙から1枚ずつ順に追っていきます。
《注釈》の部分は本文前提なので読み飛ばしても大丈夫です。

表紙
・タント S-7 100kg
 ・少しざらっとした紙、本文紙と色違いのものを使用
 ・あくまで手記なのでタイトルのみのシンプルなデザインに

表紙裏
・押してある小さなスタンプのようなものは「蔵書印」と呼ばれるもの
 ・公式のムルのサインを参考に

遊び紙
 ・かぐや たちまち 90kg
 ・月のクレーターをイメージしたエンボス紙


目次
 各章のタイトルの由来
  ↓
 「花落」…孟浩然「春暁」より
 「水天」…賴山陽「天草の洋に泊す」より
 「新涼」…秋の季語
 「凍華」…和漢朗詠集を読んでいた際のメモより(どの詩かは不明)

 ・各季節2話ずつ、春から始まる


序章
 ・5行のエピグラフ(巻頭の詩のようなもの)
 ・天体観測へと招待するような


各章扉絵

 ・その章に登場する星と星座をまとめたもの
 ・それぞれ正確な位置、方角で表記

 ・公式の「オリオン→ヴィネイター」の例に則って、実際の星の名称と異なるものを使用しています
詳しくはこのnoteに↓


扉絵(春)


星で結ぶ

春霞でなかなか星空を臨めなかったムルが、久々の星月夜に夫婦星と呼ばれる2対の星を見かけ、とある歌曲集について考える話

《注釈》
 ・4月の終わりから5月初旬を想定
 ・春の季語「水温む」「春の水」「花曇」などを元にした表現を使用
 ・・文中の「春雨」は、今回は穀雨の意味
 ・「プラムのような花の名をつけた曲」は、作曲家シューベルトが愛する花嫁へ捧げた歌曲集「ミルテの花」のこと


されど窓辺の

ムルがお気に入りの張出窓から、藤越しに日中の星を探す話

《注釈》
 ・5月中旬から下旬頃を想定
 ・春の季語「風光る」
 ・実際に日中の星を見ることはできる(一等星以上に明るいものに限る)。金星が最も見やすい
 ・まほパカードに藤の花の絵があったので藤は生息していることとした

挿絵


閑暇シリーズ
 ・ムルのマナエリアである湖でのひと時(まほパカードより)

閑暇一

春の湖でのひと時。太陽という天物体とその距離について

《注釈》
 ・「山笑う」という季語に基づく表現を使用


タブロイド紙はかく語りき

彗星の接近、蚕の市の広告、恋愛詩、ヴィネイター流星群についての記事を収録
全て反転させたローマ字なので読むことができる

《注釈》
 ・「翠緑の思惑」内に出てくる新聞はこれのこと
 ・記事は前々回の接近時に発行された新聞を元にしている(1910.5.22.の東京新聞と、1910.5.7.の東京日日新聞)
 ・裏の詩のコーナーはシェイクスピアのソネットより(一つだけオリジナル) 詩の最後にある数字が実際の詩の番号
 ・実際にソネット形式(14行)の恋愛詩が流行った頃、愛する人の瞳を恒星に例えるのは慣習だった
 ・まほやくの地名は月面の地形の名称を使用しているので、詩の上部の地名にはそれらを使用


扉絵(夏)


ハッピーバースデー・アイリス

ムルが新月の夜の海に入り、天の川の明るさを知る話

《注釈》
 ・8月初旬頃を想定
 ・アイリスは虹彩の意味、タイトルは「瞳が生まれ変わる」の表現から
 ・実際に太陽、流星、月、そして天の河は、その光で地表に影を生じさせることができる


 諸ともに

賢者から「愛しいものは夏の日に喩える」のだと聞いたムルが、その夏の日について考える話。河原の月見草と、満月の夏の夜の話

《注釈》
 ・8月中旬頃を想定
 ・タイトルは百人一首の「もろともに あわれとおもえ やまざくら」より
 ・文頭の賢者の言葉は、シェイクスピアのソネット18番第一行「君を夏の日に喩えようか?」から。本来はその後に「いや、君の方が」と否定語が続く使用法だが、少し違った伝播の仕方をした設定にした
 ・実際に月見草の根はワインの香りがすると言われていて、英語名(Oenothera)の語源にもなっている(諸説あり)

挿絵


天体図像

現在所属してる天文部で撮った写真をポラロイドに
 ・全10種絵柄ランダム

劇中劇シリーズ
 ・B6 インクジェット厚紙
 ・夢の中でパラロイ軸のムルの世界を体験するシリーズ。シャイロックに管理されている方のムルになっている
 ・夢の話なので所々に不自然な描写を入れた

劇中劇 一

近未来の都市と月面着陸の計画の様子を垣間見る話

《注釈》
 ・表紙のモールス信号と1の左端にある文字は読むことができる


扉絵(秋)


久方より来たる

天文台にシャイロックが訪れる日の散策の様子。会話なし。秋の露気に滲む星々と、神話について

《注釈》
 ・10月の初旬を想定
 ・文中の銀河は「天の河銀河」の意
 ・秋の一つしかない一等星はフォーマルハウトといい、南の低い位置に見られる
 ・未開の天文台エピソードの中でシャイロックを「天文台に1番に誘ったのになかなか来なかった」とあったので、2回目以降はさらに来てくれないだろうなと思った末の1世紀
 ・露に限らず、水気のある時に見る星は少し滲んだように見える
 ・5行目の「月映」は「つくばえ」と読む

挿絵


翠緑の思惑

ムルが1000年周期の彗星の再訪を伝える新聞の記事と、その裏面の恋愛詩での恒星の扱われ方を見て、幼少期に見た天体について追憶する話

《注釈》
 ・「タブロイド紙はかく語りき」を元に考えた話
 ・1世紀を待たずやってくる彗星はハレー彗星のこと(76年周期)
 ・「ムルの家族」内に家族が宝石商であったとの記述があったため、「父の書斎の鉱物」が登場


劇中劇 二

一よりもSF感を強めに。パラロイ軸のより詳細な天体事情を垣間見る話。

《注釈》
 ・巨人のような形の宇宙塵=イータカリーナ星雲
 ・果てない楕円の軌跡を描く惑星=エキセントリック・プラネット
 ・上記二つとも実在



灰色の心臓

2回の夢(劇中劇シリーズ)を踏まえて科学の進歩とアシストロイドとして生きることについてムルがどう思うか書き綴る話

《注釈》
 ・心で魔法を使うということと、西の国の性質を考えるとアシストロイドとして生きるのはぞっとする経験だっただろうなと


閑暇 二
冬のマナエリアでのひと時。冬の星空とその一等星の煌めきについて

《注釈》
 ・六連星=プレアデス
 ・「山眠る」という季語に基づく表現を使用


扉絵(冬)


トロイメライ・メライ

2周年のストにあった愛憎の話の後日談のような話。シャイロックのバーにて。会話あり。葡萄のネクタイピンと、ヴィネイター流星群について

《注釈》
 ・タイトルのトロイメライは夢の意味。二度繰り返すと音的に燃えてる感じや揺らめいてる感じがするので、悪夢のようなイメージでつけたタイトル
 ・真ムルとシャイロックは互いに共有してる前提が多いので、言葉足らずだけど滞りのない会話をしそうだなと
 ・ミスラ曰くシャイロックは「最悪の時に最悪のことをしなさそう」なので、ムルが本当に落ち込んでたあの時に強い酒は渡さなかったのでは


いずれ氷か星欠片

北極星を一途に求めた者の伝承を見て、北極星を追いかけてみる話

《注釈》
 ・12月中旬から1月初旬の北の国を想定
 ・タイトルは「いずれ菖蒲か杜若」より
 ・細氷=ダイヤモンド・ダスト
 ・実は「北極星はずっとその場所にある」というのはあくまで人間的な感覚で、長寿の魔法使いから見れば、北極星は少しずつずれている(地軸の傾きの関係)

挿絵


周章
序章のエピグラフと対比になるように。この本の幕引きのような役割

《注釈》
 ・周章は周っていく章の意味で使用。ムルにとって天体を見上げるという行為は一晩かぎりでなくこれからもずっと繰り返されていくものなので
 ・消してと付けて、開いてと閉じてなど、序章と音だけ対義語を使用


探究心を持つ者へ

 ・巻末に綴じたトレーシングペーパーの封筒
 ・中には三つ折りでこの記事とほぼ同じ内容の紙が入っている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?