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『星月徒然』新装版

ムルの天体に関する手記

本内に綴じ込んだ封筒にこのnoteとほぼ同じ内容の紙を入れていますが、装丁話や書ききれなかったことについてはこちらに記していきたいと思います.


ブックケース

 ・ベルベットPP
 ・花は木蓮 
 木蓮にした理由は、花言葉はもちろん、辛夷というとてもよく似た品種があること(欠片ムル)、空を見上げて咲くところ(厄災)、太古から存在する花であること(1500歳)がムルらしいなと

表紙
・タント S-7 180kg
 ・少しざらっとした紙、本文紙と色違い/厚み違いのものを使用
 ・あくまで手記なのでタイトルのみのシンプルなデザインに

表紙裏
・押してある小さなスタンプのようなものは「蔵書印」と呼ばれるもの
 ・公式のムルのサインを参考に

遊び紙
 ・かぐや たちまち 90kg
 ・月のクレーターをイメージしたエンボス紙


目次

各章のタイトルの由来
 「花落」…孟浩然「春暁」より
 「水天」…賴山陽「天草の洋に泊す」より
 「新涼」…秋の季語
 「凍華」…和漢朗詠集を読んでいた際のメモより(どの詩かは不明)

各季節2話ずつだが、春は1話のみ
四季の長さを均一にするのは、ムルにしては形式的すぎるかなと


序章
 ・5行のエピグラフ(巻頭の詩のようなもの)
 ・天体観測へと招待するような


各章扉絵

 ・その章に登場する星と星座をまとめたもの
 ・それぞれ正確な位置、方角で表記

 ・公式の「オリオン→ヴィネイター」の例に則って、実際の星の名称と異なるものを使用しています
詳しくはこのnoteに↓


花落


されど窓辺の

張出窓でのひと時。藤の花と、日中の天体について

星々はなにも、夜だけのものではない。

《注釈》
 ・5月中旬から下旬頃を想定
 ・春の季語「風光る」
 ・実際に日中の星を見ることはできる(一等星以下の明るいものに限る)。金星が最も見やすい
 ・まほパカードに藤の花の絵があったので藤は生息していることとした

挿絵


惑星に関する資料 一

『劇中劇 二』の中でムルが垣間見る天体についてまとめたシリーズ

KELT9-b


《注釈》
 ・exoplanet = 太陽系外惑星
 ・roaster planet = 高温のガス型惑星(木星型)
 ・constellation = 地球から見てどの星座の方向に位置するか
 ・ly = light year 光年のこと


劇中劇シリーズ
 ・NTラシャ うもれぎ 100kg
 ・夢の中でパラロイ軸のムルの世界を体験するシリーズ。シャイロックに管理されている方のムルになっている
 ・夢の話なので所々に不自然な描写を入れた

劇中劇 一

近未来の都市と月面着陸の計画の様子を垣間見る話

あの月に、手が届こうとしていた。

《注釈》
 ・アシストロイドの身体をかなりロボットに近いものと捉えた話


厄災

お試しで購入したキュリアスが手元にあったので厄災を印刷して綴じ込みました.
角度を変えるときらきらと光ります


水天


ハッピーバースデー・アイリス

ムルが新月の夜の海に入り、天の川の明るさを知る話

海底は白い砂浜で、水影が落ちていた。

《注釈》
 ・8月初旬頃を想定
 ・アイリスは虹彩の意味、タイトルは「瞳が生まれ変わる」の表現から
 ・実際に太陽、流星、月、そして天の河は、その光で地表に影を生じさせることができる


 諸ともに

賢者から「愛しいものは夏の日に喩える」のだと聞いたムルが、その夏の日について考える話。河原の月見草と、満月の夏の夜の話

喩えるならだから、きっとこんな夜のことと思いたい。

《注釈》
 ・8月中旬頃を想定
 ・タイトルは百人一首の「もろともに あわれとおもえ やまざくら」より
 ・文頭の賢者の言葉は、シェイクスピアのソネット18番第一行「君を夏の日に喩えようか?」から。本来はその後に「いや、君の方が」と否定語が続く使用法だが、少し違った伝播の仕方をした設定にした
 ・花の精のオマージュ要素
 ・実際に月見草の根はワインの香りがすると言われていて、英語名(Oenothera)の語源にもなっている(諸説あり)

挿絵


劇中劇 二

一よりもSF感を強めに。パラロイ軸のより詳細な天体事情を垣間見る話。

 機械も夢を見るのだろうか?

《注釈》
 ・巨人のような形の宇宙塵=イータカリーナ星雲
 ・果てない楕円の軌跡を描く惑星=エキセントリック・プラネット
 ・上記二つとも実在

 ・「展覧会の絵」という組曲の背景を少し意識しています



灰色の心臓

2回の夢(劇中劇シリーズ)を踏まえて科学の進歩とアシストロイドとして生きることについてムルがどう思うか書き綴る話

そういう、命をかけた恋がしたい。

《注釈》
 ・心で魔法を使うということと、西の国の性質を考えるとアシストロイドとして生きるのはぞっとする経験だっただろうなと


惑星に関する資料 二

エキセントリック・プラネット

《注釈》
 ・分かりやすいように太陽系の図に軌道を組み込んだが、実際には太陽系外惑星


新涼


久方より来たる

天文台にシャイロックが訪れる日の散策の様子。会話なし。秋の露気に滲む星々と、神話について

月光の道を、長い散歩に出ていた。

《注釈》
 ・10月の初旬を想定
 ・文中の銀河は「天の河銀河」の意
 ・秋の一つしかない一等星オリス=フォーマルハウト
 ・未開の天文台エピソードの中でシャイロックを「天文台に1番に誘ったのになかなか来なかった」とあったので、2回目以降はさらに来てくれないだろうなと思った末の1世紀
 ・露に限らず、水気のある時に見る星は少し滲んだように見える

挿絵


翠緑の思惑

ムルが1000年周期の彗星の再訪を伝える新聞の記事と、その裏面の恋愛詩での恒星の扱われ方を見て、幼少期に見た天体について追憶する話

昨日のことが書かれた新聞が飛ばされていた。

《注釈》
 ・「タブロイド紙はかく語りき」を元に考えた話
 ・1世紀を待たずやってくる彗星はハレー彗星のこと(76年周期)
 ・「ムルの家族」内に家族が宝石商であったとの記述があったため、「父の書斎の鉱物」が登場
 ・瞳に飛び込んでくるなどの描写は、ムルの元ネタである「牡猫ムルの人生観」に沿ったもの。幼少期のとある時を境に、見える景色が鮮明になるシーンがある。


タブロイド紙はかく語りき

彗星の接近、蚕の市の広告、恋愛詩、ヴィネイター流星群についての記事を収録
全て反転させたローマ字なので読むことができる

《注釈》
 ・「翠緑の思惑」内に出てくる新聞はこれのこと
 ・記事は前々回の接近時に発行された新聞を元にしている(1910.5.22.の東京新聞と、1910.5.7.の東京日日新聞)
 ・裏の詩のコーナーはシェイクスピアのソネットより 詩の最後にある数字が実際の詩の番号
 ・一つだけラスティカが寄稿した設定の詩がある
 ・実際にソネット形式(14行)の恋愛詩が流行った頃、愛する人の瞳を恒星に例えるのは慣習だった
 ・まほやくの地名は月面の地形の名称を使用しているので、詩の上部の地名にはそれらを使用


天体図像

現在所属してる天文部で撮った写真をポラロイドに
 ・全10種絵柄ランダム


凍華


トロイメライ・メライ

2周年のストにあった愛憎の話の後日談のような話。シャイロックのバーにて。会話あり。葡萄のネクタイピンと、ヴィネイター流星群について

言い訳をさせてほしい。あれは梟が悪いのだ。

《注釈》
 ・タイトルのトロイメライは夢の意味。二度繰り返すと音的に燃えてる感じや揺らめいてる感じがするので、悪夢のようなイメージでつけたタイトル
 ・愛憎のふたりはお互いの好意(友人として)の示し方が独特なのでそれを表現したかった. 手紙を出す、ネクタイピンをつける、会いに行く、ボトルを取っておく…など、ひとつひとつ返ってくる感じ
 ・ムルの方が年上なことを意識して読むと楽しい
 ・真ムルとシャイロックは互いに共有してる前提が多いので、言葉足らずだけど滞りのない会話をしそうだなと
 ・ミスラ曰くシャイロックは「最悪の時に最悪のことをしなさそう」なので、ムルが本当に落ち込んでたあの時に強い酒は渡さなかったのでは


いずれ氷か星欠片

北極星を一途に求めた者の伝承を見て、北の地で北極星を眺める話

他でもないこの冷気が、血や星の熱を際立たせているのだと思った。

《注釈》
 ・12月中旬から1月初旬の北の国を想定
 ・タイトルは「いずれ菖蒲か杜若」より
 ・細氷=ダイヤモンド・ダスト
 ・実は「北極星はずっとその場所にある」というのはあくまで人間的な感覚で、長寿の魔法使いから見れば、北極星は少しずつずれている(地軸の傾きの関係)

挿絵


周章
序章のエピグラフと対比になるように。この本の幕引きのような役割

《注釈》
 ・周章は周っていく章の意味で使用。ムルにとって天体を見上げるという行為は一晩かぎりでなくこれからもずっと繰り返されていくものなので
 ・消してと付けて、開いてと閉じてなど、序章と音だけ対義語を使用


探究心を持つ者へ

 ・巻末に綴じたトレーシングペーパーの封筒
 ・中には三つ折りでこの記事とほぼ同じ内容の紙が入っている


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