営業で一番大事な”握り”
最近ではよく”顧客をグリップしてるか”などの”グリップ”で使われがちですが、みなさんはこれをどのように解釈していますか?
あなたがグリップできている顧客はどのくらいいますか?
という問いにどのくらいの人が正確に答えられるでしょうか。
ここではその”グリップ”や”握り”に関して僕の経験談をもとにお話したいと思います。
①陥りがちなグリップ論 その1:SNSでつながっておけばOK編
最近だとSNSでやりとりをするコミュニケーションが増えました。FacebookやTwitter、LINE、SkypeなどたくさんのSNSシーンでつながっている人をみかけますし、自分もたくさん繋がっています。
たとえばFacebookでは誕生日をお知らせしてくれますし、LinkedInでは転職や昇進のお知らせも届きます。Instagramでは休日の過ごし方やプライベート、趣味嗜好まで確認することができるでしょう。
「誕生日おめでとうございます!!また是非お仕事でもご一緒させてください」
というコメントに返信があっただけでグリップできている、という話を聞くことがありました。
まったくの勘違いです
サブリミナル効果としては影響があるかもしれませんが、グリップに関しては全く握れていません。
②陥りがちなグリップ論 その2:自分の言葉を相手の言葉にすり替える編
マネジャーをしている人がよく直面する罠です。
「○○さんはうちのAという機能に非常に関心を持ってくれていました!」
こんな報告を受けた時に皆さんはどのように感じますか?
マネジャーになるとよく「部下の言葉すべてを疑え!」と教わります。それは人間性などではなく、部下が”思い込み”をしていることがある、と。
上の報告でいうと本当にその言葉は○○さんが発した言葉なのか?という疑問が真っ先に浮かびます。
部下くんは一生懸命説明したんでしょう。しかし、○○さんとの会話を実際にのぞいてみると
部下くん:弊社のAという機能がとても優れています!
○○さん:すごいですね。
部下くん:(お、食いついた!!!)
これだけで勘違いする可能性が高いです。
もしくは
部下くん:弊社のAという機能がとても優れています!
○○さん:すごいですね。
部下くん:(お、食いついた!!!)
部下くん:○○さんもAについては良いと思いますか?
○○さん:はい
部下くん:はい。受注確定ー!!!!
みたいになります。つまり誘導尋問していたり、Yes/Noで質問をさせることで自分の都合の良い解釈をしてしまっていることがあります。
③正しい握り方 陥らないためには
一番簡単はステップは自分のMTGにデキる先輩を同席してもらって自分の思い違いの軌道修正をすることです。
独り立ちするためには以下のような聞き方がベストです。
あなた:弊社のAという機能がとても優れています!
○○さん:すごいですね。
あなた:(お、食いついた!!!もう少し理由を聞いてみるか)
あなた:例えば私が考えたのは、御社のここの課題にはAが当てはまると思うんですが、○○さんはどう思いますか?
○○さん:んー、実はAにさらにこんな機能があるといいなと思ってたんだよね。
あなた:なるほど。では例えばA+Bという機能ができたとして、○百万円の投資であればご判断できますか?
○○さん:うん、それなら投資としては十分だと思うので、もしA+Bなら決断できるよ。
ここでなにが起きたでしょう。
選んでもらう理由を顧客の口から言葉にさせた
これが最も大切です。しかしこれはグリップではありません。そのあとの一文”では例えばA+Bという機能ができたとして、○百万円の投資であればご判断できますか?”ここがグリップ部分になります。
つまり、相手に課題や選定理由を言葉にさせたあとに、しっかりとそれを握り直す=約束し直すという作業をグリップというと私は思っています。
どうしても人間は相手に嫌われたくない、という理由から明言を避けたり、断言することを嫌がります。
しかしそんなふわふわしたコミュニケーションで案件が受注できることはほとんど稀です。もしそんなコミュニケーションで案件が受注できているとしたらあなたの営業としての介在価値はゼロです。
よほどプロダクトがいいか、課題が切羽詰まっているかのどれかでしょう。
もちろん上みたいなコミュニケーションで受注がとれたらいいですけど、ビジネスシーンはすべて複雑なため、一筋縄ではいきません。
それでもプロダクトがどんなに優れいても、可能性があってもそれを顧客課題に落とし込めていない場合はそれはとても残念なことです。
グリップさえ出来ていれば、コストゲームになったとしても負けません。(正確にはコストが最優先の企業もいるので一定数負けますが)お金を安くすればいい、初期費用を無料にすればいい、そういう社内調整をすればいい、それは全然営業の本質的な仕事ではないのであしからず。
世の中に正しい営業が広まりますように!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?