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村の霧が、朝日を浴びて神々しく輝いた

職場のある愛媛の山村は、昼夜の寒暖差でほぼ毎日霧が発生するが、高い山に囲まれているから、その霧が池のように溜まり、村全体を包む。
そこに住んだ17年、毎朝霧でその日の天気が予測できないほど。
この霧が特産のおいしいお茶の生育には欠かせない要素、まさに霧の村なのだ。

3年前、故郷・神戸に引越してからこの村には出張として来るようになり、夜は村の外すなわち山の外側の平野部にあるホテルに泊まっているが、ある朝、何気なく山の方すなわち村の方を見て、あまりの神秘的な光景にしばし呆然。

連なる山が少し低くなった、まさに山の切れ目のようなところから、村の霧があふれ出て山肌を伝い、平野部に悠然と注いでいたのだ。

村の外で、日々こんな壮大なショーが繰り広げられていたなんて!
ただ湿っぽいだけと思っていた村の霧が、朝日を浴びて神々しく輝いた。

内から17年、外から3年、村を見つめ続けた時間は結構長い。
けれど1200年ものその村の歴史からすればちっぽけか。

霧の村よ、永遠なれ。

(2019/12/5記)

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