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ゴチになります!

父の葬儀に駆けつけてくれた長男が、昨日また東京へと帰っていった。
わずか2泊の滞在だったけれど、父のおかげで元々予定になかった帰省が実現したのだから、こんなに嬉しいことはない。

4/1に新社会人になった長男は、最初の2週間は研修だったから、実仕事を始めてからはまだ数日しか経っていないホヤホヤの新人。
やっているのはきっと仕事とは名ばかりの、まだまだ研修に少し毛が生えた程度だろうことは想像に難くない。
それでも、どんな仕事やってるん?と訊いてしまうのが親というもの。
長男も、いやぁまだ勉強の段階かな、なんて軽く答える。

しかし、それにしてもだ。
夜帰ってきて、2泊したのち、朝に出ていくって短すぎん?
もうちょっとこう、昼前に帰ってくるとか、夕方に出発するとかさぁ。
そう思って、一昨日の葬式帰りにポツリとつぶやいてみた。
「明日、もうちょっとゆっくり帰ってみたりしちゃったりせん?」
答えは——いやぁ家具とかカバンとか買いに行かなアカンし、だった。
そか、それはしゃあない。

ところが夜、風呂から上がると何やらみんなが盛り上がっている。
どしたん?
「長男が明日のランチをご馳走してくれるんやってー!」
え! どういうこと?
なんと早くも初任給が入ったので、それでご馳走してくれるのだとか。
わぁぁぁー!
嬉しいぃぃぃー!

もちろんランチするということは、朝帰るわけではないということ。
長男はすぐ帰るそぶりを見せながら、いろいろ考えてくれていたのだ。
嬉しすぎる!
ゴチになります!

で、昨日、近くの中国料理の店へ。
ちゃんとした店やし、安くはないからやっぱりラーメンすすって終わり?
——いやいや、ランチコースをどうぞ。
えっと、ちょっと飲みたいけどやっぱり水で我慢?
——いやいや、瓶ビールいきましょ。
わーい、やったぁ!

青じそスープやらメバル唐揚げやら中華粥やらがドンドン食卓に並ぶ。
他にもジャンジャン出てきて、お腹がはち切れそうに。

予定になかった帰省で話を聞けるだけで十分満足だったのに、名刺をもらい、さらにこんなサプライズランチまで!
初任給で…とか初ボーナスで…という話は世間一般ではよく聞く話だけど、うちにまさかそんな話が舞い降りるとは。
この嬉しさ、どう表現してよいのやら。

父が亡くなり、代わって大人になった息子にご馳走になる。
劇的なザ・世代交代を目の当たりにして、僕はもうウルウルなのである。

(2024/4/30記)

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