あらかじめnote 1月25日 ペコペコバッタ
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1月25日は「お詫びの日」。
というわけで、今回紹介するのはこのお話。
ジャイアン達がサッカーをしており、ボールをぶつけられてしまったのび太。
めいめいで、責任のなすりつけ合いをします。
「けったのはぼくだけど、ボールの持ち主はおまえだ」
「サッカーをやろうといいだしたのはきみだ」
「ぼ、ぼくは、学校のグラウンドでやろうと……。そしたら、ジャイアンがかまわないから、道路でやれと…」
まあ、蹴った奴(スネ夫)が100悪いんですけどね。
ところが、スネ夫は「のび太がボールをよければよかった」と超理論を展開。友人たちもそれに追従してしまい、完全に孤立無援となったのび太。
結局、謝罪の一言も無しに彼らは行ってしまったのでした。
そのことをドラえもんに話すと激怒。「よおし!!」と、顔から湯気を出しながらドラえもんが出したのが
鼻から人々の体に入り込んで憑りつき、憑りつかれた人は自分の悪かったことを反省して心から謝るようになるという道具。危険な香りがします。
鼻から入るので、胡椒をふりかけてくしゃみをさせてやれば取り除くことが可能。
さっそくスネ夫の下へ向かいます。
「ひとことでいい。あやまる気はないか?」
「ないね」
「やれ!!」
と、ヤクザ映画さながらの迫力で「ペコペコバッタ」をスネ夫にけしかけるのび太とドラえもん。
「ペコペコバッタ」が鼻に入りこむなり、スネ夫はがっくりと肩を落とし、目を固く閉じ、膝をつきました。
「ママー!」と泣くスネ夫は数多く見てきましたが、自分の行いを反省して泣くスネ夫というのはレアですね。
「思いきりぶってくれ」というので、軽く平手を一発入れてあげます。
が、真面目に殴れと言うのでもう2,3発拳を浴びせるのび太。
しまいにはのび太の手が痛くなるまで殴り続けましたが、「まだまだこんなことじゃ、ぼくの罪はきえない」とまで言っているため、無視して次へ行きます。
お次はジャイアン。「ガハハハハ」と、まるで謝る素振りを見せないため、「ペコペコバッタ」をけしかけます。
すると
これまた珍しいジャイアンの反省姿。
すると、ジャイアンはいきなり自分を殴りつけたり、電柱に頭をぶつけたり。
果ては
どこから持って来たんでしょうね、このハンマー。まあ、剛田家には包丁やノコギリが子供の手に届くところに置いてある(『のろいのカメラ』(TC4巻)より)ので、ジャイアンの背ほどもある巨大なハンマーがあってもおかしくはないのかもしれませんね。いややっぱりおかしい。
のび太は振りかぶりましたが、足元のバランスを崩し、ハンマーはドラえもんの頭上に落下。
「ネンドロン」でも使ったかのように、ぐにゃぐにゃになってしまったドラえもん。ドラえもんの体の柔らかさは可変なのです。
参考:https://dora-world.com/sp/tencomi_detective/dora001/dora001_vol004.html
さて、倒れた拍子に「ペコペコバッタ」の虫かごが壊れ、あちこちに飛び回って行ってしまいました。ここから、モンスターパニックの様相を呈してくる本作。街中の誰もかれもが、自分の行いを悔いて謝るようになってしまいました。
こしょうを落としてしまったため、お店に買いに行く二人。
「ラーメン五つ百円」に時代を感じる。
ところが、店主が「店をしめて夜にげをする」とまで言って取り合ってくれないため、家のこしょうを取ってくることにしました。
すると、道中で首を吊ろうと(!)している子どもを発見。優等生のタダシくんでした。出木杉のプロトタイプ的なキャラクターですが、この話にしか登場しません。
実はこのタダシくん、テストのたびにカンニングしていたり、スネ夫を落とし穴に落としたり、先生への悪口を落書きしてジャイアンがやったと先生に告げ口したり、釣り竿でしずちゃんのパンツを見たり(!)と、割と色んな悪事に手を染めていました。「けっこうやってるんだなあ」とつぶやくドラえもんの心中はいくばくか。
ジャイアンをみかけたので地面に手を付いて謝ったタダシくんでしたが、同様に「ペコペコバッタ」に汚染されているジャイアンは、まるで相手にしてくれません。スネ夫に謝っても、そんなつまらないことで呼び留めるな、と言われてしまいました。「あと百八十三人にあやまらなくちゃ」
ドラえもんが抑えている間にこしょうを持ってくるように頼まれたのび太。「タケコプター」で家に帰ろうとしますが、その途中、屋根の上で切腹(!?)しようとしている男性を発見。
昭和にはこんなのがたくさんいたのかなあ。あんまりいなかったんじゃないかな。
警察に捕まえてもらおうということで、交番へ。
出刃包丁を片手に、神妙に佇んでいる泥棒がやたらおかしくて笑える。のび太の「お客さんですよお」という台詞も素晴らしい。お客さんではない。
中に入ってみると、お巡りさんが檻に入っていました。交番に檻が…?
聞けば、そのお巡りさんは自分で檻に入ったとのこと。「ぼくの正体は、石川五右衛門。またの名が、怪人二十面相です」
ちなみに、このお話が掲載されたのが『小四』1970年10月号。ベトナム戦争の真っ最中です。光化学スモッグによる健康被害が初めて報道されたのも1970年らしいので、この二つは当時特に注目されていたニュースのトピックといってよいでしょう。物価の値上がりは、いつの時代も変わりませんね。
ようやく、台所のコショウを手に取ったのび太でしたが……。
と、いうのが今回のあらすじです。
誰でも謝らせてしまう「ペコペコバッタ」。やっぱり、謝罪は自分の意思でしないといけませんね。
ではでは。
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