エソラゴート

写真と映画と絵空事/GRとフィルムと戯言 /記録と記憶と創造

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記事一覧

偽りの希望=偽りの絶望

「絶望」したから死にたくなるのではない。 「命より大切なもの」があるから死にたくなるのだ。 「死ぬこと」が「目的」ではない。 「命より大切なもの」を守るための最…

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時間と時

時間(クロノス)と時(カイロス)との関係は、肉体(ビオス)と魂(ゾーエー)との関係である。 肉体が時の間を移動する舟ならば、魂は舟を操る舟人(しゅうじん)か。 …

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命より大切なもの

はたして「命より大切なものは何か」という問いは、「生きてるだけで丸儲け」と宣った某芸人にとって「イミフ」となるのか。 「生きてるだけで丸儲け」と宣われるのは、生…

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2週間前
68

記録するカメラと記憶するカメラ

忙殺という口実を見つけ、クロノスの流れにカイロスを刻む努力から逃走する日々。 無理やりにでも歩かないといけない。 歩けないんじゃなくて歩かないだけなのも分かって…

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3週間前
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結局☆GR3

今さらかなぁ?と思いながら手に入れたGR3。 いつの間にか品薄状態に陥っていたGR3。 気がつくとHDFなるものが発売されたGR3。 GR3を購入するに至った理由は、長年愛用し…

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3週間前
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終焉に宿る永遠のいのち

私は、8㍉フィルムフェチの多くが廃虚フェチであることを信じて疑わない。 両者にみられる親和性の高さが雄弁に語っている。 8㍉フィルムと廃虚は、どちらも終焉を生きて…

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3週間前
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アナログとデジタルの邂逅

ラスト一本となった賞味期限切れのシングル8フィルム。 ついこないだまで近所の某家電量販店に売ってあったのに。 20年以上前にCanon518svを買って色々撮って遊んだ生き…

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3週間前
18

ラーゲリより南極物語を込めて

とにもかくにもミセスのSoranjiが良かった映画。 実話をもとに創作されたシベリア抑留物語映画。 不本意極まりない現実を生きていく秘訣は、繰り返される理不尽な非日常…

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4週間前
18

踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。

何年前のことだったろう・・・。 マーティン・スコセッシ監督が、ダニエル・デイ=ルイスを主演に遠藤周作の「沈黙」を映画化すると言うニュースを目にしたのは。 そして…

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1か月前
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癒しとは、きっと癒すでも癒されるでもなくて、気がつけばそこで癒えるもの…

中動態という概念を取り入れることで、ものの見え方が変わってきた。 とりわけ読みやすく理解しやすかったのが、國分功一郎と熊谷晋一郎のダブイチ先生の対談が収められた…

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1か月前
27

初代☆GR

忘れていたが、私は初代GR DIGITAL(GRD)の次に初代GRを購入していた。 こちらも発売直後に購入したのだが、一年も経たないうちに売ってしまっていた。 なぜGRDを手元に…

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2か月前
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初代☆GR DIGITAL

19年前に予約して発売日に手に入れた。 発売当初は不具合が多く、買ってすぐ2回も無償交換となった。 3台目のGRDは、モノクロ専用機と化して今なお現役。 マグネシウム合…

エソラゴート
2か月前
24

栄冠は君に輝く

高三の時に野球部在籍の友人と二人きりで観に行った。 相方は、先に主題歌のアンチェインド・メロディを買って予習する始末…もちろん私も彼から借りてしっかりと本番に備…

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2か月前
26

円環構造で描き出される実存的な叙事詩

スタンダードサイズで映し出された映像美とルーニー・マーラに魂を奪われた作品。 日本でいつ上映されるのかと楽しみしていたのだが、待ちきれずにさっさと鑑賞することに…

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2か月前
8

名もなきフランツと沈黙ロドリゴの狭間で苦悩した私の中のキチジロー

1970年代から2010年までわずか4本しか撮らなかったテレンス・マリック監督が、ここ最近はほぼ毎年一本のペースで撮り続けている。          「シン…

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2か月前
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結局☆Leica CM

カメラに興味をもった人なら一度は憧れるライカ。 そしてその価格帯に失笑する。 カメラが高価だからといって素晴らしい写真が撮れるとは限らない…と呟いていたくせに、…

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2か月前
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偽りの希望=偽りの絶望

偽りの希望=偽りの絶望

「絶望」したから死にたくなるのではない。

「命より大切なもの」があるから死にたくなるのだ。

「死ぬこと」が「目的」ではない。

「命より大切なもの」を守るための最後の「手段」として「死」を望んでいるだけである。

だから死に「たい」という心の叫びは「偽りの希望」なのだ。

「偽り」とはいえ「希望」がある以上、未だ絶望しきっていない。

「偽りの希望」がある限り、人は「偽りの絶望」に留まり続ける

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時間と時

時間と時

時間(クロノス)と時(カイロス)との関係は、肉体(ビオス)と魂(ゾーエー)との関係である。

肉体が時の間を移動する舟ならば、魂は舟を操る舟人(しゅうじん)か。

時間にしばられた囚人とならぬよう、時の介入に呼応しながら生きる。

命より大切なもの

命より大切なもの

はたして「命より大切なものは何か」という問いは、「生きてるだけで丸儲け」と宣った某芸人にとって「イミフ」となるのか。

「生きてるだけで丸儲け」と宣われるのは、生きている意味や価値を見出している証拠。

つまり「生きてるだけで丸儲け」は、「命より大切なもの」を手に入れている人の戯言にすぎない。

五体満足で社会的・経済的にも何不自由なく生きている人の自死が、そのことを雄弁に物語っている。

で、「

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記録するカメラと記憶するカメラ

記録するカメラと記憶するカメラ

忙殺という口実を見つけ、クロノスの流れにカイロスを刻む努力から逃走する日々。

無理やりにでも歩かないといけない。
歩けないんじゃなくて歩かないだけなのも分かっている。
そんな怠惰な人生に、新しい息など吹き込まれるはずがない。

人生も指示待ち症候群。
いったい誰の指示だというのか。

淡々と過ぎていくクロノスを記録し続ける。
記憶すべきカイロスが訪れるまで。

結局☆GR3

結局☆GR3

今さらかなぁ?と思いながら手に入れたGR3。
いつの間にか品薄状態に陥っていたGR3。
気がつくとHDFなるものが発売されたGR3。

GR3を購入するに至った理由は、長年愛用していたiPhone11 Pro Maxのセンサーにゴミらしきものが付いたことだ。

何を撮っても写り込むセンサーゴミに、いよいよ萎えまくるようになったので、精神衛生上の判断から記録用ガジェットの新規参入を許すことにした。「

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終焉に宿る永遠のいのち

終焉に宿る永遠のいのち

私は、8㍉フィルムフェチの多くが廃虚フェチであることを信じて疑わない。

両者にみられる親和性の高さが雄弁に語っている。

8㍉フィルムと廃虚は、どちらも終焉を生きている点で共通している。

終焉を生きるというのは、いのちの終わりではなく新しいいのちの始まりを意味する。

それはいつまでも生きるいのちのことではなく、然りとて瞬間(いま)を生きるいのちでもない。

時間や空間に縛られない真の自由なの

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アナログとデジタルの邂逅

アナログとデジタルの邂逅

ラスト一本となった賞味期限切れのシングル8フィルム。

ついこないだまで近所の某家電量販店に売ってあったのに。

20年以上前にCanon518svを買って色々撮って遊んだ生きた化石。

今になってスーパー8にしなかったことを悔やむ。

後悔しても仕方ないので、残されたフィルムは使用せず、カメラと一緒にインテリアとして余生を送ってもらうことにした。

以前、撮った8㍉映像を福山マシャニキの「蛍」の

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ラーゲリより南極物語を込めて

ラーゲリより南極物語を込めて

とにもかくにもミセスのSoranjiが良かった映画。

実話をもとに創作されたシベリア抑留物語映画。

不本意極まりない現実を生きていく秘訣は、繰り返される理不尽な非日常を日常化して過ごす基本スタンスと、理不尽な現状の先に用意されてある未来を生きる為の明確な目的をイメージ出来るか否かだという事を主人公のニノと不愉快な仲間から学ぶことができる映画。

自然がもたらす厳しさと人間の卑劣さがもたらす環境

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踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。

踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。

何年前のことだったろう・・・。
マーティン・スコセッシ監督が、ダニエル・デイ=ルイスを主演に遠藤周作の「沈黙」を映画化すると言うニュースを目にしたのは。

そしてスパイダーマンが「沈黙」の主演に決まったことを知った日、ウィレム・デフォーの「最後の誘惑」を観直さずにはいられなかった。

待ちに待った「沈黙-silence-」は、原作と比較して内容的には特段気になるところはなかったのだが、窪塚キチジロ

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癒しとは、きっと癒すでも癒されるでもなくて、気がつけばそこで癒えるもの…

癒しとは、きっと癒すでも癒されるでもなくて、気がつけばそこで癒えるもの…

中動態という概念を取り入れることで、ものの見え方が変わってきた。

とりわけ読みやすく理解しやすかったのが、國分功一郎と熊谷晋一郎のダブイチ先生の対談が収められた「<責任>の生成-中動態と当事者研究」だ。

文法にとらわれている私たちは、この世が能動態と受動態、「する」か「される」かで成り立っていると思い込んでいる。

しかし実際は「する」でも「される」でもなく「してしまっている」「なってしまって

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初代☆GR

初代☆GR

忘れていたが、私は初代GR DIGITAL(GRD)の次に初代GRを購入していた。
こちらも発売直後に購入したのだが、一年も経たないうちに売ってしまっていた。

なぜGRDを手元に残し、GRを売ったのか記憶にございません。
それどころか恥ずかしいことにGRを所有していたことすら忘れていた次第であります。

ご承知の通り、GRはGRDの豆粒センサーサイズからAPS-Cサイズに大型化した素晴らしいコン

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初代☆GR DIGITAL

初代☆GR DIGITAL

19年前に予約して発売日に手に入れた。
発売当初は不具合が多く、買ってすぐ2回も無償交換となった。
3台目のGRDは、モノクロ専用機と化して今なお現役。

マグネシウム合金で質感が高い。
たとえバッテリーが切れても単四形電池が二本あれば使える。

RAWで撮ろうもんなら、一枚ごとに膨大な保存時間を要して日が暮れる。
ダゲレオタイプよろしく最遅のスナップシューターと化す。

そんな初代GRDは来年成

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栄冠は君に輝く

栄冠は君に輝く

高三の時に野球部在籍の友人と二人きりで観に行った。

相方は、先に主題歌のアンチェインド・メロディを買って予習する始末…もちろん私も彼から借りてしっかりと本番に備えた。

地元の田舎では上映されなかったので、汽車で2時間かけカップルがひしめく都会の映画館に臆することなく突撃。

鑑賞中、幾度となく銀幕と周囲に羨望した。

そのたびに隣に鎮座している「GIジェーン」のデミ・ムーアよろしくキレイに丸め

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円環構造で描き出される実存的な叙事詩

円環構造で描き出される実存的な叙事詩

スタンダードサイズで映し出された映像美とルーニー・マーラに魂を奪われた作品。
日本でいつ上映されるのかと楽しみしていたのだが、待ちきれずにさっさと鑑賞することにした。

とにかくセリフが少ない。
そして長回しが半端ない。
特に某シーンでは、本気でディスクが壊れたのかと思い、思わず再生時間をみてしまった…ちゃんとカウントされていっている…画面に目を戻す、完全に静止している…あれ?おかしい…大丈夫か…

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名もなきフランツと沈黙ロドリゴの狭間で苦悩した私の中のキチジロー

名もなきフランツと沈黙ロドリゴの狭間で苦悩した私の中のキチジロー

1970年代から2010年までわずか4本しか撮らなかったテレンス・マリック監督が、ここ最近はほぼ毎年一本のペースで撮り続けている。         

「シン・レッド・ライン」でドハマりした新参者からすると大変よろこばしい出来事だったが、「ツリー・オブ・ライフ」「トゥ・ザ・ワンダー」以降の「聖杯たちの騎士」「ボヤージュ・オブ・タイム」「ソング・トゥ・ソング」の三作品は、

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結局☆Leica CM

結局☆Leica CM

カメラに興味をもった人なら一度は憧れるライカ。
そしてその価格帯に失笑する。

カメラが高価だからといって素晴らしい写真が撮れるとは限らない…と呟いていたくせに、ライカCMを手に入れた途端「やっぱライカは違うなぁ」と手のひらを返す自分にドン引き。

ライカのカメラは単に写真が撮れるだけでなく、カメラそれ自体が酒の肴になる機能も備わっているという。

しかし所詮は記録する道具。
使わないと勿体無い。

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