見出し画像

【フランス留学時代】フランスを縦断しスペインへ行った時の話 #1

唐突ですが、フランス留学中、二度、近隣を旅する機会がありました。今回は1994年の夏にスペインへ行った時の話です。

私が勉強するクラスに一人、少し年上のスペイン人。彼はフランス人の彼女がいて、学生ビザで長期滞在をしていました。私はその彼女と飲み会などでたまに顔を合わせていましたが、夏休みが近づいた ある日、彼女から、「あなた、スペインに行ってみたいって言ってたでしょ。夏休みに彼の実家に行くんだけど、バルセロナまでなら乗せて行ってあげるわ。」と言われ、"Oui!"と即答。

片道の交通費が浮くだけでなく、北部ノルマンディから南に下り、ピレネー山脈を超えてスペインに行くなんて、なかなかできる体験ではないですからね。迷うことはありません。

しかし、まだフランスに住んで半年足らず、言葉の問題もあるし、またクラスメートの彼女とは言え、若い男女が、結構な時間 一緒に旅する事になる訳ですから、それは緊張もします。

彼女(名前は忘れてしまいましたが以後はジャンヌにしておきます)の方は、そんな事は全く気にする様子もなく車を飛ばし、時折、こちらに気を使って話をしてくれ、私も良い練習の機会だとがんばって話しますが、まぁ、限界はあり、そのうち、お互い無理せず、彼女は運転に集中し、私は車窓を流れる風景を眺め。

そんな二人の間に流れるサンタナ。ジャンヌはBGMにカセットテープを持ってきていましたが、なぜかサンタナのベスト一本だけ。それを延々リピートします。よほど好きだったのですかね。おかげで今でも"Oye Como Va"を聴くと、あの珍道中が蘇ります。

さて、そんな感じで車はCaenからRennes~Nantes~Bordeuxと南下。

ノルマンディ地方Caenから南下、ピレネー山脈を超え、
車はバルセロナを目指します。

道中の記憶は断片的ですが、途中、ジャンヌが、「ちょっと医者に寄らせて」と言うので何かと思ったら、「蚊に刺されてかゆくてたまらないのよ」と。見ると、ボリボリかいたので足のところどころ血が出ている。田舎の町医者で飲み薬を処方してもらい一安心のジャンヌというのが印象的でした。

さて、Bordeuxを過ぎ、Toulouse辺りになると日も暮れ、1日目の移動はそろそろ終わり、どこかで夜を越さねばならない。てっきりホテルに泊まるものと思っていたのですが、ジャンヌはキャンプ場に車を入れ、「今日はここに泊まるわよ」とテントを組み出す。当然のことながらテントは一つなので一緒に寝るしかない。

「明日はピレネーを越えるからしっかり寝ておきなさい」と背中を向けるとすぐにグーグーと寝るジャンヌ。まったく、フランスのどこかも分からないキャンプ場でマドモワゼルと思いがけず肩を並べて寝るという普通であればドキドキするシチュエーションですが、こちらも旅の疲れで、余計な事に思い悩む間も無く眠りに落ちたのでした。

〈続く〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?