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【ベトナム語】『Sau Động Đất』 by Haruki Murakami

さて、"ベトナム語多読"に関して最近読んだ本を紹介してみようと思います。

村上春樹の『Sau Đọng Đất』。これは英訳版のタイトル『After The Quake』から。日本では『神の子どもたちはみな踊る』ですね。

『神の子どもたち~』は2000年2月に新潮社から出版され、2002年に文庫化。ベトナムでは2023年にCông ty Văn hoá & Truyền thông Nhã Nam(以後、Nhã Nam社)が版権を買い、昨年秋ごろに書店に並びました。

Nhã Nam社は2005年2月創業の新鋭出版社で外国文学やビジネス書を積極的に出している 私の一押し出版社です。ちなみに2000年代初頭はベトナム出版業界も世代交代があり、大きく変化しました。個人的に興味があるのでそのうちまとめられたらと思います。

さて、『Sau Động Đất』。過去に日本語で読んでいる分、ハードルは下がりますが、文学作品は日常生活では耳にしない名詞、動詞、形容詞、比喩表現など多くやはり難易度は高め。しかし、昨今はGlosbeなど英越・越英辞書は語彙も豊富ですし、文章でも訳してくれるので、"ベトナム語多読"の環境はかなりよくなっています。

"Khung cảnh có bàn ủi” 邦題"アイロンのある風景"より

多読の目的は語彙増やしとベトナム語的文体や表現に慣れ、それらを血肉にする事ですが、まぁ、そんな勉強勉強せず、根が"本の虫"ですから、まずは楽しむ事第一でやってます。(元々、良い加減な人間なので、あまり文法とかカチッとやれないタイプです)

今は、単純に読書欲を満たしつつ、例えば、引っかかったフレーズや文章を書き留めて、いつか使えるよう、なんとなく頭に入れておいたり、みたいな感じです。(頑張って暗記しようとかはしません。右脳と左脳の話もまた機会があれば)

下記は"Khung cảnh có bàn ủi (アイアンのある風景)"より、順子と啓介の会話の部分。

“Thế Pearl Jam thì thú vị ở chỗ nào? Chỉ thầy inh tai thôi mà,” Junko đáp trả. 
“Pearl Jam có mười triệu fan hâm mộ trên khắp thế giới đấy.” 
“Còn fan hâm mộ của đốt lửa trại đã có ở khắp nơi trên thế giới từ năm vạn năm trước rồi.”
“Ừm thì, có thể nói như vậy thật,” Keisuke thừa nhận. 

まずは主要な語彙を拾ってみます。前述のように私は語学は細部は追々、"良い加減"にやる方なので、大雑把な点はご容赦を。ミスのご指摘、補足などはありがたくいただき、改善に役立たせていただきます。

- Thế thì  それじゃあ
- thú  vị 面白い
- ở chỗ どこが
- chỉ ~ thôi  ただ~だけ
- thầy  ※ ここはcảm thầy (= feel) の"cảm”が省略
    されていますね
- inh tai  耳をつんざく
- đáp trả 言い返す
- có  ある、持つ
- mười triệu 1000万
- hâm mộ ファン
- trên ~の上に
- khắp (nơi)  あらゆるところに
- thế giới 世界
- đấy  ※語尾に置かれ自身の意見・主張を強調
- còn ※ ここでは"whereas"、"その一方で"、"それに対して"
- đốt lửa trại 焚き火
- năm vạn nam  五万年
- trước  前
- rồi  ※完了を表す
-có thể  可能である、できる
-nói 言う
- như vậy そのように
- thật 本当に
- thừa nhận 認める
 
このように単語を確認した後、自分なりに訳してみます。(ポイントは内容理解なので文学的に訳せているかどうかは一先ず置き、意訳もします。まぁ、プロではないですし)

"パールジャムのどこが良いわけ?ただやかましいだけじゃない" と順子は言い返した。
"パールジャムのファンは世界中に1000万人はいるんだぜ"
"焚き火ファンは5万年前から世界中にいたわよ。"
"まぁ、確かにそれはそうだ"と啓介は認めた。

普段、こんな感じで読み進めていきますが、読解をする時に大切な事は、気合いを入れすぎず、全部完璧にやろうとしないこと。多少、分からないところがあってもだいたいニュアンスが掴めれば、また戻ってくるのだしと先に進みます。

とにかく一冊を一回読み切る(単語を引き切る)とそれが自信になり、また次の本にチャレンジしたくなりますし、頭に戻ってニ回目を読めば、解像度が数段上がっている事に気づき、それが、また自信に繋がります。

『神の子どもたちはみな踊る』を最初に読んだ時は"かえるくん、東京を救う"がしっくりきましたが、今は"蜂蜜パイ"に感情移入する歳になり、また感慨深いです。

今日はそんな感じで、個人的に"ベトナム語多読"、『Sau Động Đất』を紹介させていただきました。

Nhã Nam社の本は表紙デザインがなかなか
好みで新刊が出るのを毎回楽しみにしています。

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