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【フランス語】『Léviathan』 de Paul Auster

2024年4月30日、ポール・オースターが亡くなりました。実際のところ、まだ氏の著作は読めていないものが多いのですが、ずっと気になっていた作家です。

"フランス語多読"という話にも絡みますが、初めてポール・オースターの本と出会ったのは、2000年にホーチミン市で仕事を始めた頃、当時、ドンコイ通りを挟んでコンチネンタルホテルの向かいに書店があり、フランスの書籍も置かれる中、『Cité de verre (City of Glass)』('85)を手に取ったのが最初でした。

慣れなく厳しい旅行の仕事に振り回されながら、合間に辞書を引きながら読みましたが、ベトナムで読むニューヨークの物語は多分に現実逃避的でした。だからこそ、当時の奮闘の日々の記憶と共に組み込まれ印象的な一冊となった訳です。

しかし、当然、フランス語で読むのは易しくはなく、単語引きで精一杯でしたから、いつかまた読もう、また他の作品も..と思いながら時間が過ぎていき。

そんなところにこの訃報を聞き、今、手元にある、これもドンコイ通りで買い、四半世紀寝かせてしまった『Léviathan』('92)を引っ張り出し、読み始めたところです。

ポール・オースターについては、ずっと気になっていつつも、正直、この四半世紀は、興味が別の方に向いていたし、ベトナム語多読も気合いを入れていたし、この『Léviathan』も、たまに手に取り、数行読んでは、"今ではないな"と閉じていたのですが、昨今のアメリカ事情、特にここ数日ニュースになる各大学での学生デモ、またそれを弾圧する体制を見るに、急に、この動機不明の爆弾魔となった若き小説家のストーリーに惹かれ、昨日から読み進めているという訳です。

まだ読み始めなので印象的な文章を引くというのもまだ早いかと、裏表紙からあらすじを少し抜粋しましょう。
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Comment et pourquoi Benjamin Sachs, jeune écrivain talentueux des années Reagan, est-il devenu le poseur de bombes qui plastique l’une après l’autre les multiples statues de la Liberté ornant les villes américains ? 

=語彙= ※ いつものようにラフなところはどうぞご容赦を
-comment  どのように
-pourquoi  なぜ
-jeune 若い
-écrivain 作家  *男性形 女性ならécrivaine 
-talentueux 才能のある
-des années Reagan レーガン(大統領)の時代
-est-il devenu ?  彼は…になった?
 * il est devenu で"彼は…になった"。主語を倒置して疑問形
-poseur 置く/仕掛ける人
-bombe 爆弾
-plastiquer (動) プラスチック爆弾で爆破する
-l’une après l’autre 一つ、そしてまた別のを、
         次から次へと
-multiples 複数の
-statues de la Liberté 自由の女神像 *複数
-orner 飾る *ornantは現在分詞、名詞を修飾し、
       「-する/している」という意味
-ville 町 
-américain アメリカの

=拙訳=
どのように、そして、なぜ、レーガンの時代の若く才能に溢れた作家、ベンジャマン・サックスは、アメリカの町々に飾られた自由の女神像を次々と爆破する爆弾魔となったのか?
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今のアメリカという国を見るに、何かヒントをもらえそうな一冊。これを機にポール・オースターを読んでいこうと思います。

ベトナムでの翻訳も待たれます。

〈終わり〉

御参考までに




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