見出し画像

【フランス留学時代】1995年 冬のギリシャ旅行 アテネのぼったくりバー

5月に入り、だいぶ夏らしくなってきたハノイですが、唐突に、ギリシャ旅行の思い出を。

あれはフランス留学中の冬休み。なぜわざわざ冬のギリシャか、それはクラスメートで一足先に帰国したギリシャ人の女の子、エヴァンジェリンに会いに行ったのですが、その話は一先ず置き、アテネでぼったくりバーに連れていかれた思い出をば。

冬のアクロポリスは静かでした

エヴァンジェリンに別れを告げた後、アテネで過ごす年始。それはアクロポリス観光を終え、ふもとの広場で休んでいた時のことでした。ハローと声をかけられ、見ると、人の良さげな笑顔を見せる男。

イタリア人だというその男は、「日本人か?」「自分の妹は今 日本にいるんだ」「自分も観光でアテネに来たばかりなんだ」「いいカフェを見つけたんだお茶しないか」と典型フレーズを連発。

来たな怪しい奴と思いながら、暇つぶしによいか、話のタネにもなるし、いざとなったら逃げれば良いしと、若気の至りもあり ついて行くと、奴は、とても"アテネに来たばかり"とは思えない足取りでスタスタと歩いて行く。

しばらくして、「ここだよ」と案内されたのはレトロな雰囲気の小さなバー。観光客が来るようなエリアではなく、やはりねと思いつつ入ると、イタリア人は、カウンターに座る男に、"やぁ!"とわざとらしく声をかけ話し込み、以後、いっさい自分を見ることはなく。

カウンターの中には白髪に鷲っ鼻の老婆。すごい笑顔で迎えてくれるが、目がまったく笑っていない。隣には老婆とは真逆な可愛らしい女の子が座ってくる。

老婆は「よく来たね。ギリシャに来たらこれを飲みな」とウゾーを勧めてくるが、「コーヒーでいい」と断る。

さて、どうやって逃げるかな、幸い、席からドアは近く、鍵をかけらたりはしていない。店の前は大通りで人の往来もある。いざとなれば飛び出して助けを呼ぼうか、長居したら奥から怖い人が出てくるかもしれないから短期決戦にしなければ、など考える。

出てきたコーヒーも手をつけず、女の子に、「この店は変だ」「あのイタリア人は観光客と言うが、なんでこんな店を知っているんだ」と文句を言い続けつつ、ちらちら老婆を観察していると、だんだんと口数が少なくなり、すっと笑顔が消え、メニューを持って近づいてきたかと思うと、物凄い形相で怒鳴り出す。

開いたメニューを見ると、コーヒー一杯が5000円くらいのぼったくり。その老婆の豹変ぶりも怒りに火をつけ、そこから喧嘩モードに。

「コーヒー代を払いな!」
「そんな金持ってねーよ!それに飲んでねーし!」
「ドルを持ってるだろーが!出せ!」
「ドルなんて持ってねー!(フランだから嘘ではない)」

とギャーギャーやりつつ、イタリア人を見ると、やつはこちらに背中を向けて縮こまり、自分は関係ないよみたいな感じになっている。こいつも何か理由があって国に帰れず、老婆に客引きとして使われているのかななどと、その姿に哀れさを感じたりするも、ともかく、そろそろけりをつけないとヤバそうだ。

ここで読書の効能。昔、読んだ旅行本に、ぼったくりにあった時の対策として、お金は小分けして持つべしとありましたが、それを実践する時が来た訳です。

怒鳴りあいが頂点に達したタイミングで、ポケットに入っていた紙幣、小銭を「これで全部だー」とカウンターに叩きつけ、飛び出したのでした。

腹いせにドアを叩きつけるように閉め、怒りで頭から煙が出ているような状態でしたが、ふっと我に返り、怖い人が追いかけてきたらヤバいなと、そこからアテネの町を全力疾走したのでした(笑

そんなちょっと危ない橋も渡りましたが、その後はペロポネス半島の遺跡巡りをしたりしてギリシャ旅行を楽しみ、今はそのぼったくりバーもよい話のネタです。

流石ギリシャ、ほんの一部でしたが、遺跡群は素晴らしく、そういった本来の旅行記もまたおいおいと。

エヴァンジェリンの家はアテネから汽車で2時間くらいのChalcisという町に。ペロポネソス半島はバスや列車で移動
前年のスペイン旅行でも使ったフランスの
Lonely Planet的、Le guide du Routardのギリシャ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?