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自己統治と共感や理解による社会構築

 以下は、拙作『卡斉政要_ポーランドの大改革と革命戦争』の一部です。皆さんにお役に立てる内容であり、そして、紹介出来る人物や文献もあると思いますので、宜しければご覧くださいませ。

1 小説 第四章 第四話

自己統治と共感や理解による社会構築

 卡斉二十二年(一七二二年)、カジミェシュ三世は、昨年の秘書の献言を、具体的に理解かつ実践するために、全国各地に、学習活動や研究活動を通じて厳正に精選かつ高度に研磨された様々な建議書や著作等の収集を命じた。カジミェシュ三世はちーさらに、選び届けられた膨大な建議書や著作等を体系的に網羅して整理し、それらを献策することを命じられていた。

 ある日、カジミェシュ三世は秘書と共に、ちーさらへのサプライズの慰労として、ワルシャワ内の高級料理店に招待した。しかし、実際に店に来てみると、ちーさらは二人に対して、逆サプライズの献呈として、サーモン中心の豪華で高級料理コースが準備されており、二人は逆に驚いた。カジミェシュ三世は、「さすがは我が祖国の謀臣だ!」と褒め称え、ちーさらは、「陛下は沈黙や無言でおられましても、自然と周囲を徳化させる程の聖君でございます。」と拝礼して絶賛した。

 人々は、その微笑ましい君臣の姿を謳って、そして、
「我が政府には、名君も名臣もおり、しかも相思相愛の関係である。
 我が国政は、近所や家族のようなもので、しかも篤実なものである。
 ああ、我が国王陛下が『哲人王』を志し続けておられ、我が御二人の執政官殿のちーさら様と秘書様並びにセイム(国民会議)は『夜の会議』を創り続けておられる!
 ああ、我々は何をやっているのだろうか?!上がプラトン先生に学ばれていらっしゃるのだ!ならば、さあ、我々はまずクセノポン先生に学ぼう!」
と、言い合うようになり、「家事はおろか、自律もまた、政治ではないか!」という国民意識が広がって、定着していった。

 そのような国民意識が定着していく中、厳正に精選かつ高度に研磨された様々な意見から、オーストリア人の心理学者「ハインツ・コフート」の三大主著である『自己の分析』・『自己の修復』・『自己の治癒』にちーさらは着眼し、ちーさらはオーストリアのウィーンに行き、コフートのセミナー『自己心理学』に全三回とも参加した後、コフートをワルシャワへと招致し、ちーさらの極秘の自腹で心身の病弱を完治させた。

 その後、厳寒である十二月末であるにも拘らず、コフートは完治して全快し、そしてちーさらに案内されて、王宮に招致された。コフートはちーさらに深謝して、カジミェシュ三世・ちーさら・秘書に明朗な態度と希望に満ち溢れた口調でこう言った。
「陛下の大いなる至誠な恩徳のおかげ様で、今、貴国の人民の方々は、遂に政治は自分達一人一人の行為・認識・心意等によって形成されていることを、本当に理論的にも実践的にも自覚し始め、そして、組織も個人も、『自己統治』に自主的かつ主体的に取り組み始めて、人々は、それもまた『政治』であるとしては、一般市民でありながらも、『政治家』としての意識を懐いて、自己の批判や啓発、そして、肯定や実現に努め励んでおられます。
 これこそが、独立・自由・幸福のある、民主主義・自由主義・個人主義に、多元主義への道でございます。」

 カジミェシュ三世は微笑んでこう言った。
「お褒めに預かり恐悦至極でございます、コフート先生。私は、卡斉元年(一七〇〇年)の時に、執政官の秘書から、次のような大変ありがたい献言を頂きました。
『陛下は、『門を御出になる』即ち『博く学び得』られましたら、賓客や師匠の方々が、わざわざ遠来してお見えになるよう、心を虚しくては、意を誠にして、頭を柔らかくし、また、賓客や師匠がお見えになったならば、前述の三事に加えて、共感や傾聴を以て、好学・向学・愛学の無知者となって学び知り、人民を使役するに当たっては、『大祭を伝承するかの如く』つまり『人民に巨利巨益を齎しつつも、利害損得を超越した敦厚で純朴な精神・認識・文化等を伝えていくことに、至誠を以て奮励努力すること。』を成し、御自身の共感や理解、洞察や達観を積み重ねて、御自身がされて欲しくないことを他人にせず、また、御自身がして欲しいことを他人にしてあげ、そして同様に、他人がして欲しくないことを御自身がしないようにし、また、他人がしてもらいたいことを御自身がして下さいませ。以上の三つの徳行並びに自己統治の遂行を、臣は謹んで陛下に献言いたします。』と。
 私は大変不徳な者ですが、このような内外共に極めて美しい賢良な忠臣の献言のおかげ様で、こうして先生が弊国にわざわざ遠来して下さり、そして今、光栄な交流がございます。先生、今後も何卒宜しくお願い致します。」

 その後、コフートはポーランドとオーストリアの心理学・精神医学の協同研究に多大な貢献をして、自己愛性人格障害の研究に先鞭を着けていった。

2 解説と紹介

Ⅰ貞観政要

 今回の拙作は、『貞観政要』という東洋の帝王学の主著の一つを参考にしている。

Ⅱ 三人の主人公

 今回の拙作の主人公は、三人であり、ポーランド・リトアニア共和国の国王「カジミェシュ三世」と、二人の執政官「ちーさら」と「秘書」である。

Casimir the Great
ちーさらさんの秘書が可愛すぎる

Ⅲ プラトン先生とクセノポン先生

 上記の二人の先哲は、両者ともソクラテスの弟子であるが、その思想や方向は異なっていた。しかし、両者とも、哲学や思想並びに文献を通じて、人類のより善い成長や進歩に大きく貢献した。

 いずれ、経済・時間の余裕を確保して、英語をもっと勉強し、西洋哲学の文献を精読・熟読・味読できるようにすることを志す。

Ⅳ コフート先生 

 自分を生んだ女性とその父は、自己愛性パーソナリティ障害(NPD)に罹っている可能性が極めて高い。そんな障害の研究に先鞭を着けたのが、コフート先生であり、生前、数多くの激しい否定や批判に晒され、晩年は生命保険が適用されず、末期癌に苦しみながら、心身共に疲弊し切ったままお亡くなったが、先生の偉業によって、今日の精神医学、そして、自分と父の人生は大きく救われ、そして善く進展していった。先生に深謝の念を示します。いずれ、先生の偉業も学び受け継がせて頂きます。

Ⅴ 自己統治

 私達が生きているのは、言うまでもないことである。と言えるのは、生物学的意味としてであり、哲学的・社会的に深く再認識していけば、果たして私達は本当に生きているのだろうか?それを考え直しつつ、新しくかつ自ら生きていくことに挑むべきではないだろうか?

Ⅵ 「おもてなし」の心『仁』

 日本の文化である「おもてなし」は、元来、個人や家庭内で育んだ思い遣りの心を、門を出て、則ち、家を出て社会で働く時、他者に対してもその心を以て接して、仕事をしたり、人間関係を良好に構築していったりするものであり、また、祭事も元来、利害損得を超越して、時空や生死を繋ぐ「敦厚で純朴な心」即ち「神(時空や生死の間)を降ろしては、祀って、交わる(学ぶ)心」を生し育む行事であろう。

 朱子学は、これらの哲学観をもう一度学び直すのに大変参考になる学問の一つであろう。(*もちろん、朱子学には重大で致命的な欠点や弱点、問題点や過失もある。)

仲弓問仁。子曰。出門如見大賓。使民如承大祭。己所不欲。勿施於人。在邦無怨。在家無怨。仲弓曰。雍雖不敏。請事斯語矣。

『論語』(顔淵 12:2)

Ⅶ 心理学

 ここnoteでは、心理学の紹介やそれを仕事にして報酬を得ている方々もいらっしゃる。パロディーや無料で軽い紹介はともかく、本当にそれを主題にしたり、有料で紹介や説明、ましてや、カウンセリング等をビジネスとするのであれば、信義誠実の原則をはじめ、責任感や義務感、精確性や客観性、情報公開や公平公正さを、どうか確りと実現なさって下さい。

 自分は心理学に関する資格は一切ありませんが、独学で独自に学習や研究しており、またお世話になっている、プロで信義誠実の原則を体現なさっている本物の先生もおります。

 noteで、そして、noteを通じた別サイトやリンクでのビジネスで、心理学を乱用や悪用、あるいは、でたらめに仕事をされている人達は甚だ多いです。精神的に弱っている、心理的に迷っている、意欲が落ち込んでいるのに付け込んで、金儲けや自己優越に浸ったり、もしくは、まだ本物になれてない/なろうとしていない人達が多々見受けられます。

 利用者の方々は、どうか御自身でも確りと選択や判断なされて下さいませ。また、本気で立派な心理学者や心理カウンセラーを志されていらっしゃる方々には、深謝の念並びに、言葉先だけで、大変心苦しいですが、心から応援しております。ご成功を心より願っております。

3 結語

 明日の午後から、拙サイトの更新を行います。また、思っている以上に小説の執筆が進みません。ですが、これは良い意味でです。やはり、哲学小説は、もっと広く深く学習・研究してこそ、完成するものだと、本日は、改めて痛感致しました。

 読んで下さった方々に、深謝しております。必ずや、ご理解とご協力下さったちーさらさんと東暮さんに恥じないよう、購入して下さる読者の方々が喜び楽しめ、かつ、考え学べる作品になるよう、そして、夢の記憶で出会った、ポーランド人のおじさんとベトナム人の後輩との約束を果たすために、一生懸命に奮励努力いたします!

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