ドゥルーズと様々な活動「力」

ドゥルーズ哲学と様々な活動

ジル・ドゥルーズの思想は、あらゆる活動の営みに新たな視点を投げかけてくれる。彼の主張した「生成変化」「フィギュール」「強度」といった概念は、活動そのものの在り方を捉え直す手がかりとなる。

まずドゥルーズは、活動を静的な「実体」ではなく、常に変容しつづける「生成」の渦としてとらえ直そうとした。つまり、活動とは不変の本質を備えた固定的なものではなく、可塑的で流動的なプロセスなのだと説いたのである。

このような活動観から導き出されるのが、主体の脱中心化と更新の思想だ。活動の主体的中心は、その都度構築され解体される。私たちは活動を通じて、つねに新たな主体化を遂げていかざるを得ない。主体は活動の中で絶えず「生成」するのである。

さらに、ドゥルーズが重視したのが、活動を「強度」の観点から捉えることである。強度とは、私たちを揺さぶり、変容の契機を生み出す力である。活動においては常に強度が交錯しており、それが新たな生成を生み出す源泉となる。

そしてその生成を促す装置として、ドゥルーズは「フィギュール」という概念を導入した。フィギュールとは、身体や活動を非人間的な存在様態に連関させる思考実験である。動物、植物、機械などのあり様から着想を得ることで、活動のあり方を人間中心主義から解放し、新たな可能性に開いていくのだ。

こうした一連の発想を振り返れば、ドゥルーズの思索は、あらゆる活動を既存の枠組みから解放し、新たな創造の地平へと開こうとするものだったことがわかる。

実際、芸術やスポーツ、料理などの諸活動においては、時に人間的な在り方を超越することが求められる。そうした際には、動物や風、素材といったフィギュールを介して、活動の新たな可能性を見出せるかもしれない。

また、日常の仕事や趣味の活動においても、常に強度に耳を傾け、その変容の契機を見逃さないことが大切だろう。新たな強度に身を任せることで、古い活動の形態を打破し、新しい創造性が芽生えるはずである。

ドゥルーズ思想は、あらゆる活動に生成と創造の源泉が潜んでいることを教えてくれる。活動を既成の枠に閉じ込めず、絶えず変容と可能性に開かれていれば、取り組む営みひとつひとつが創造的実践となるはずなのだ。

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