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年末 甲府、諏訪旅行③

 温泉の効果か、山歩きをしたにも関わらずに爽やかに起床。起きてすぐさま温泉に入る。
ビジネスホテルのエアコンで乾燥した体に温泉がよく染みる。いつ入ってもいいものだ。
 朝っぱらから温泉を堪能した後で食べる食事が不味いわけがないんだけど、口コミでも食事が絶賛されていた通りに朝ごはんはとても美味しかった。 


 信州といえばお蕎麦のイメージだが野菜料理がおいしかった。
カプレーゼに白和え、特にかぼちゃのキッシュが絶品でおかわりしてしまった。
汁物はあさりのお吸い物が良かった、日替わり味噌汁も食べたかったけど塩分取りすぎな気がしたので我慢。

英気を養ったとろろで諏訪大社四社巡り後半に挑むために電車で一駅、下諏訪に向かう。
上諏訪駅には足湯があったが、下諏訪駅では万治の石仏のレプリカがお出迎え。これから実物を見に行くのにネタバレをしないでくれ…という気持ちにならないでもなかったが、この後下諏訪のお土産物屋を巡ると万治の石がゆるキャラのように扱われている様を目の当たりにするので、まあ駅にだって置くよね。



住宅街をゆっくり歩くと下馬橋が見えてくる。大きな道路のど真ん中に橋だけが堂々を建てられている様は畏怖すら感じさせる。
うしおととらで育ったキッズなので取り壊そうとして祟ったのかな…なんて妄想が脳裏を掠めるが、きっとそんな事はなかったと思う。思いたい。


諏訪大社春宮到着。本殿の彫り物が兎に角綺麗だ。ずっと見ていたい。
神楽殿の奥にはご神体のように鏡が置かれていた。他の参拝客は真正面からバシャバシャカメラに収めていたけど、なんとなく恐れ多くてそっちは撮影できなかった。
遠くからでもキラキラと冬の朝日を受けて輝いていたので、とてもきれいだった。

御朱印を待つ間に境内に焚かれた焚火に当たる。背の高い木が沢山植えられているので、神社の中はどこも冷え切っているのだ。
嫌な感じのする寒さではなかったんだけれども、やはり火があると近寄って暖をとってしまう。

御朱印を受けた後は万治の石仏を見に行く。砥川の清らかな流れを眺めていると、沢山の案内看板の先に万治の石仏登場。
この石から血が吹いたのか…と思いながらしみじみと眺める。そのエピソード自体がインパクト強めなので体や顔の掘り方はとっても素朴だ。


春宮を後にして、四社巡り最後の秋宮を目指す。
道中に立ち寄り湯があったのでお風呂にも入っていく。44度と47度の内湯があった44度の方は冷えた体に染みわたるいいお湯だった。
47度の方は内湯と露天を二回くらい繰り返した後にチャレンジしてみたんだけど、足をふくらはぎくらいまで付けた所でつま先が熱さの限界となり入ることは断念した。



入浴後に番台の方に聞いたら地元の人でも熱い方にはあんまり入らないが、マニア向けに残しているらしい。
秋宮に向かうまでの所で下諏訪温泉マップがあったのだが旦過の湯は熱湯が有名だと書かれていた、熱いの好きな人は是非。

秋宮はひと際大きな狛犬としめ縄がお出迎え。大きいというだけでカッコいい。
四社巡りの記念品、青いがま口財布を貰えたので今後はこの財布にお賽銭を入れて神社巡りをしてみたい。



参道で行列ができていたのが新鶴という和菓子屋さん。店の前を通りかかると小さな男の子とお父さんと思わしき二人組が
「このお店の塩ようかん、そんなに人気なの?」
「そりゃあそうだよ、めちゃくちゃ有名だよ!普段ならもっと並んで買えないんだから!」
とサクラか?と疑ってしまいそうな会話をしたので一度は通り過ぎたのだが、そういえばここまでお土産を一つも買っていなかったので買っていく事にした。

家族にも好評だったし、ようかんとして楽しんだ後は溶かしてお餅と一緒にお汁粉にしてもおいしかった。買ってよかったな。
他にもお酒のソフトクリームとお味噌のソフトクリームを出すお土産屋さんがあったんだけど、レジが忙しく軽食コーナーに人が割けないらしく食べる事ができなかった。
下諏訪を出る前に昼食を摂った。蕎麦が食べたかったのだ。朝も一応蕎麦を食べたけど、カレー南蛮の汁をぶっかけたせいか普段食べている蕎麦と大して変わらないなあ、と思ったからだ。
鶏天丼とお蕎麦のセットを頼んだ。


ざるそばを一口すすってみるも、蕎麦の香りは感じられない。しかし、食べ進めていくうちにつるつるとしたのど越しに夢中になっていく。
味や香りではなく、こののど越しを楽しむものなのかもしれないなあ。
鶏天丼の方は甘辛いタレとジューシーな鶏肉がよく合い繊細な舌を持ち合わせない私にも美味しく食べることができた。

下諏訪駅に帰ると、上諏訪に戻る。本当は昨日の内に済ませておきたかったのだが、片倉館と諏訪湖の散策に行くためだ。
諏訪湖に来た目的はグレゴリ青山さんの旅エッセイの中で横溝正史が「犬神家の一族」「鬼火」を執筆した際に着想を得たのが諏訪湖だった、という記述を見たからだ。
特に鬼火に登場した三角関係の男女が沈んでいった諏訪湖のおどろおどろしい描写に興奮し、私は諏訪湖を見るために山梨旅行の後半に諏訪湖をくっ付けた。
冬には縮緬皺が浮かぶほどに冷え固まった諏訪湖…は暖冬のためになく。三人を水中に絡め取っていた蔦や藻…も透き通った湖面にふわふわ揺れていて綺麗なだけだった。
冬の山々と清々しい青空を背景に諏訪湖はどこまでも透き通った美しい湖だった。観光地に陰鬱を求めて来るな、それはそう。


諏訪湖を後にし片倉館へ、こちらもグレゴリ青山さんのエッセイの中で絶賛されていたのだが…個人的にはがっかりスポットだった。
宝塚歌劇のように絢爛豪華なエッセイの記述を呼んでしまったせいか、古びたプールのような湯舟と老朽化を隠しきれない彫刻や壁画の数々。
300円くらいなら地元の銭湯として親しまれているんだろうなあ、で済んだんだけど倍くらいの値段がしたもんだから微妙に心が荒んだ、古いだけならまだしも排水?下水みたいな匂いまでしてるし。

しかもこの後山梨に戻る途中で電車の遅延が発生。
なんとか山梨から特急電車に乗るも隣に乗り込んできた外国人観光客が「お前は私の席に座っている、チケットを改めさせろ」と騒いでくるし(もちろん相手が間違えてた)座ったと思ったらずっと貧乏ゆすりはしているしで席運は最悪だった。
東京から地元に帰って時に乗った電車でも入口付近で熟年カップルがいちゃついて通路を塞ぐわ、女の方は手すりに捕まらず男の腕だけでバランスを取るからフラフラするわ。それでぶつかってきたらこっちに向かって「邪魔」とか言い出すわで片倉館言ったあたりからロクな目に合わなかった。(片倉館は悪くない)

なんとか家に帰っておみやげの信玄餅食べたらおいしかったんでいいんですけどね。やっぱり私には高速バス三列シート旅行が合ってるな…、いや三列シートも前の席の奴がリクライニング全開にすると死ぬけどさ。

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