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「着物」の定義

着物って、お正月や結婚式、あと成人式なんかでよく見る、派手なアレでしょ。帯締めるやつ。あと夏祭りでもよく見るよね、着方はわからないな。

和裁を始める前の、私の着物の知識なんてこんなものでした。

着物は文字どおり「着る物」、江戸時代までは人々の衣服全てが着物だったんだと思います。それが1858年に開国となり、アメリカとの貿易が開始され、 1868年には江戸幕府から明治時代に。西洋からの衣服が普及するにつれて、新しく「和服」「洋服」という括りが出来たのだろうと。そして次第に「着物」という言葉が昔から着られている衣服を指すようになり、「和服 = 着物」という意味合いになってきた…というのが私の想像。

この他に「呉服」という言葉もあって、おそらく今は「着物 = 和服 = 呉服」という意味で使われているのではないでしょうか。想像するに、おそらく着物で括られた衣服の1部を指す言葉として「呉服」があったのだと、その衣類はおそらく中国の呉という国に由来するものだったのだろうとは思うのですが、この辺りはもう文化人類学者か歴史学者の先生とかに聞かないと分からない気がします。

この「着物 = 和服 = 呉服」、日本での着物の定義は割としっかりしていると思います。和裁技能士は国家資格だし、大抵の日本人が着物の一般的な知識はあると思います。殆どの人がもう自分で着ることが出来ないけれども。

これが KIMONO になると、途端に定義がバグります。Kimono の影響を受けた洋服とか、中国の着物らしい何かとか、有象無象がネットに溢れてる。そうだよね、名称登録とかしてないしね。何年か前に、キム・カーダシアンが自分のデザインした下着のブランド名を「キムのもの、Kim no mono」だから「kimono」にすると発表して物凄い反発を巻き起こしたことがありましたね。彼女にしてみればいい宣伝にだったんだろうとは思う、でもすごく馬鹿にされた気がしたな、あの時は。

佐古先生は、国家資格である和裁技能士一級を持った和裁士さんだったので、私の知っている技術も日本の伝統文化に準じていると言っていいと思います。本当に良かった、いい先生に弟子入りできて!私は自分の為に和裁を習っていたので、女物、簡単なコート、帯、男物の一部を先生から学び、袴などは後に本から独学で縫うようになりました。

勉強して色々分かってくると、日本人でも「着物」という言葉の使い方が、割と滅茶苦茶だなって思うことが良くあります。浴衣 = 着物ではないし、木綿の着物 = 浴衣でもない。「着物と襦袢をセットで」とよく聞きますが、何を言いたいかは私もすごく良く分かりますが、厳密に言うと「長着と襦袢をセットで」が正しい。

着物を始めた時には、こんなに長い付き合いになるとは思っていませんでした。今となっては切り放すつもりも無いので、死ぬまでのお付き合いになると思います。

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