見出し画像

ソウル親子留学2002年③暗雲漂うアパート探し

若いころから引っ越し魔で〈お前はアドレス帳汚し〉とよく苦情をいただいた。
【住所及び電話番号などアドレス帳へ手書きメモ時代。友達はそのつど書き直しが必要で、はた迷惑極まりないのでした。ヤングへの解説】

そんな引っ越し魔でも、部屋探しは不動産屋へ2、3回出向き、いくつか妥協すればすぐ見つかったものだが

ここソウルでは、なぜか円滑にはかどってくれない。

そもそも2DKというリクエストをしているのにワンルームばかり案内されたり

リクエスト通りの広さだと思ったら、床が盛大に波打ち、ドアが斜めマジックハウスだったり

家具つき良さげと思ったら
あちこち虫の死骸が寝転がっておられたり

駐在員も多く住む高層アパートのひとつ(高額物件で問題外だが見学だけ行ってみた)では、靴箱を開けたら、ガタンと扉が外れて床に落ちた。

築年数を聞くと

「4年です」

言いながら担当者は落ちた扉を戻す。(正しくは、出っ張りに引っ掛けていた)

他にも

比較的近い物件3つの案内にとんでもなく迷い続けるポンコツ君もいた。

「ママ抱っこ―!」
歩き疲れたメロンがぐずる。

通行人に住所を確認しながら進む牛歩ポンコツの後ろを

メロンを抱っこしながら、歩く。

はよぉしてくれはらしまへんか、私らダウンジャケットでっしゃろ、生地ツルツルすんのよ、ずり落ちてくるんよ、うちの子が。見たら分かる思うけど4歳にしたら大きいお子なんよお。

大いに疲れたその日も絶句のハズレだった。

自分の感覚とソウル住宅事情がこうもマッチしないのはなぜだろう。やはり、私の定時額が低いからか、いやでも築4年でも扉落ちたしな。

高層アパートに住む駐在員奥さんRちゃんと会ったとき、事情を訴えてみた。

すると

「あら私なんてね、家具をどう置いても、なんかすっきりしなくて。長い間どうしてかなーって思ってたの。で、ある日メジャーでちゃんと計ったら40㎝くらい違ってたのよ、四角だと思ってた部屋が台形だったの、笑っちゃうでしょ、こっちでは、そういうの、わりとあるかも普通にアハハハ」

笑い飛ばされた。   
ソウル滞在プロ奥様、余裕の返答だ。

ん?
よくあること?
わりと普通?

住宅関連でなくても、このあとのソウル生活で容赦なく出くわすこととなる《ユルっと加減》《アバウトさ》からの

ケンチャナ【大丈夫、気にしない、オッケーじゃんみたいな意味】精神。これはなかなか強者だった。けど、ケンチャナ精神には、心が救われることが多々あり、素晴らしい一面を併せ持つ韓国の大きな特徴。

が、このときの私はそんな異国文化を乗りこなせてない初心者マーク。しかも子連れ。

ああ、知らなんだ 
ああ、甘かった

手ごわいぞソウル。生活出来るんだろか。過去いちピンチかも知れない。どうする私……の隣で飴ちゃんで顔ベタベタにしてる我が子メロン4歳。

頭を抱えてしまった。遅い。

【あれ。やっちゃいました? あああ、やっちゃいましたね。うんうん】

バカリズムさんの独特な(人を小馬鹿にした系の、笑)ナレーションが流れてきそうな

そんな場面であった。

続く。
【追記:住宅事情は20年前の話で、しかも私の無謀な予算内で探してる話なので、今現在とは大きく異なってると思います】

この記事が参加している募集

私の遠征話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?