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深いところへ行きたくないか

絵を描いていると、このように誘われているように感じる。


もっと深いところへ行きたくないか


別に、普段生きている自分が、周りの人が、浅いところで遊んでいるように時を過ごしていると思っているわけではない。絵を描く以外にも、自分をどこか遠くへ誘ってくれる手段はたくさんあるだろう。


それでも、絵を描いていると、そう言われている気がする。


どこかに連れ去られるみたいな感覚がある。それに身を任せる方が面白い時もあるし、絶対に行くまい、と足を踏ん張っていないと立っていられなくなる時もある。いろいろである。


私は頭が良くない。高校を留年したお話はすでにしたと思うし、偏差値も低い。知識を蓄えることも好きじゃないし、そもそもできないと思う。本は読まないし、人の話はあまり頭に入ってこない。


絵を描く人は、頭が良い人が多い。非常に多い。だから、制作過程やコンセプトなどのプレゼンを聞いていると「はてこの人何を言っているのかな」という感じだ。


その最たるものがアーティストトーク。展示しているアーティストが自分の作品について語る場面というのはプロであれアマチュアであれあるのだけれど、その中で理解できたものは多分一つもないんじゃないか、と思うくらい、私は理解が及ばない。


一言で言えば、わけがわからない。



今年の年末に、地元の(超地元の)小さな公民館で行われる公募展に自分の絵を出してみようと思っている。それは、他の公募のように競うような要素は一切なく、展示料もなにもない、出せば全員が展示できるような、地域で「盛り上がっていきましょうね」的なイベントの一つだ。


じいちゃんばあちゃんが、引退したらずっと絵を描きたかったんだよね、みたいな感じで、軽く夢を叶える場所であると説明された。


そこに、40歳以下の部というのがある。そこに出してみようと思う。


気楽なイベントだから、別に構える必要はない、はずなんだけれどどうも胃がムカムカしてしまうのは、このアーティストトークである。展示期間中にアーティストトークは設けられ、自分の作品について5から10分ほど紹介しましょう、ということらしい。


その時のポイントについてまとめられた資料をいただいた。


はじめに、自分語りにならないことが重要です。見ている人はあなたのことではなく、あなたの作品について知りたいと願っているはずです。気をつけましょう。


ごもっとも。そうそう、絵って自分の分身だから、話しているとどうしても自分の過去の話になりがちだ。noteでも、自分の話ばかりしてきた私だから、なんだか心配だなあ。


次に、タイトル、サイズ、画材は必ず言及しましょう。テーマやコンセプトを中心に、時間があれば制作過程で苦労したことを発表すると良いでしょう。


なるほど。ってテーマやコンセプト、そいつを言語化するのが難しいから絵にするんじゃなかったっけ。でも、口添え程度だよね、そうだよね。


最後に、せっかくきてくださるお客さんに「聞いてよかった」「絵への理解がより深まった」と思ってもらえる発表にしましょう。質問等もされるかもしれません。頑張ってください。


えええ。結構プレッシャーかけつつ、突き放してんな。


できるかなあ・・・


私は画集なんかを見て、何が書かれているか(絵の横にある解説とかインタビューとか)を読むようにしているが、どれも「読んでよかった」「絵への理解がより深まった」なんておもわなかった。むしろ、頭がぐちゃぐちゃになった、読んでも1ミリもわからなかった、という感想だった。


困ったなあ。


絵は描けるけど、それについて発表をうまくできない私だ。なんとかそれをできるようになりたい。複雑なことを言って、すごいと思われたい、なんていう卑しさはどこかへぶん投げて、何がテーマなのかもうちょっと考えをまとめながら描く癖をつけようか。

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