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「UXデザインをお願い」と言われたら明確にすべきこと(UI・UX・CXの違い)

プロジェクトにUXデザイナーとして初めて参加する際、多くの方が「どこから手をつければいいかわからない」という問題に直面します。特に UXデザインの定義は曖昧で複雑なため、UXデザインを依頼した上層部も期待するポイントを明確化できていないケースも多い印象です。

プロジェクトのファシリテーターであるUXデザイナーとして、まずはUXデザインの定義(≒上層部からの期待)を明確化することをおすすめします。この記事では、UI、UX、CXの違いを解説し、UXデザイナーとしてあなた自身が何を求められているのかを明確にします。


UI・UX・CXの違い

UXデザイナーとして求められている担当範囲を知るためには、UI・UX・CXの違いを理解するとよいでしょう。オンラインショップを例にそれぞれを解説します。

UI(User Interface)ユーザーが直接触れるインターフェース

UI(User Interface)デザインは、ユーザーが直接触れるインターフェースの設計に注力します。これは、アプリやウェブサイトのボタン、アイコン、色使いなど、視覚的な要素を包含します。

例えばオンラインショップの画面は、商品画像の配置、説明文、価格表示、配送料の計算と表示、さらには注文ボタンのデザインと配置など、さまざまな要素を含みます。

UIデザインの目的は、ユーザーが商品を簡単に見つけ、理解し、購入するためのプロセスを、直感的で使いやすく、魅力的なものにすることにあります。これは、商品の見つけやすさ、情報の読みやすさ、注文プロセスのシンプルさを通じて、ユーザー体験を向上させることを意味します。ユーザーがオンラインショップでスムーズにナビゲートし、商品を購入するまでのプロセスを支援することが、UIデザインの最終的な目標です。

UX(User Experience)ユーザーを中心に据えた体験の設計

UXデザイン、つまりユーザーエクスペリエンスの設計は、ユーザーのニーズと体験を中心に据えたアプローチです。ユーザーがどんな動機で商品を購入したいと考えているのか、その購入プロセスにおいて彼らが直面する課題は何か、これらの点に焦点を当てることがUXデザインの鍵です。

例えば、オンラインショップにおけるUXデザインを考える際、最初はユーザーがどうしてその商品を購入したいと思ったのか、その動機から体験が始まります。ここから、ユーザーにとって必要な情報をどのように提供するか、例えば商品の機能、利用方法、レビューなどがその情報にあたります。

さらに、購入プロセスにおける障壁を特定し、それを解消する方法を考えます。例えば、カード情報の入力が複雑でないか、購入プロセスを中断させる要因はないかなど仮説を立て、ユーザーからのフィードバックを受けながら改善を続けます。

UXデザインの目標は、ユーザーがスムーズに商品を見つけ、理解し、購入するプロセスをサポートすることにあります。これは、単に機能的な側面だけでなく、ユーザーの感情や反応をも考慮に入れることを意味し、最終的には全体的な満足度を高めることを目指します。


CX(Customer Experience)複数のペルソナの体験を包括的に考慮

CXデザイン、つまりカスタマーエクスペリエンスの設計は、UXデザインを超えて、より広範な概念を取り扱います。CXデザインは単一のユーザー体験に留まらず、多様なペルソナとその体験を総合的に考えるアプローチを取ります。これは、オンラインショップにおける異なるシチュエーションで顕著に見られます。

例えば、ユーザーが自分用ではなく他人へのプレゼントとして商品を購入する体験を考えてみましょう。ここでは、配送先の指定や受け取り日時の選択などが重要な要素になります。また、自らの課題を解決するための購入と異なり、プレゼント購入では、サイズ変更や返品・返金対応など、異なるニーズに対応する必要があります。これらの異なるユーザー体験は、それぞれ異なるUXを形成し、これらを統合したものがCXとなります。

さらに、CXデザインはサービス提供者側の動きも重視します。これには、返品や返金プロセスの管理、バックオフィスでの返品受け付けや返金処理の流れなどが含まれます。これらは、サービスが顧客と接触する点、つまり「顧客とサービスの接点」をデザインすることがCXデザインの一部となります。

このように、CXデザインはUXデザインの要素を含みつつ、より広範な視野で顧客体験を捉え、サービス提供者と顧客の両方の視点からサービスを考察します。このアプローチにより、顧客の異なるニーズに対応し、全体的なサービス体験を向上させることを目指します。

UI、UX、CXの違いをプロジェクトチーム内で共有する重要性

プロダクト開発チームにおいては、UI、UX、CXの違いが常に明確にされているわけではありません。この曖昧さは、プロジェクトの方向性や期待される成果に影響を及ぼすことがあります。具体的な影響を3つご紹介します。

曖昧さによる期待と認識の違い

プロジェクトで「UXデザインを取り入れて欲しい」という指示があったとしても、実際にはCXの要素、つまりサービス提供の裏側の設計までを含めた幅広いアプローチが期待されていることがあります。これは、プロジェクトメンバーがUI、UX、CXの違いを正確に理解していないことに起因する場合が多いです。

役割の把握とプロジェクトの進行

UXデザイナーとしてプロジェクトに参加する際、最初に行うべきことの一つは、自分がどの役割を求められているか、どの程度の設計が求められているかを把握することです。これにより、プロジェクトがスムーズに進行し、期待される成果を出すことができます。

コミュニケーションの重要性

UI、UX、CXの違いをチーム全体で共有し、理解することは、誤解を避け、効率的なコミュニケーションを促進します。これは、プロジェクトの目標達成において不可欠です。

UXデザイナーの役割

UXデザイナーは、プロジェクトメンバーに対して、UI・UX・CXの違いを共有し、プロジェクトの範囲を明確にする責任があります。そのためにはそれぞれ違いを深く理解し、各々の要素がどのように連携し、全体的なユーザー体験に貢献するかを認識することが重要です。

▼役割の明確化についてはコチラ

まとめ

UI、UX、CXの理解は、プロジェクトにおける成功の鍵を握っています。これらの概念を深く理解し、適切に適用することで、ユーザーにとって価値ある製品やサービスを提供できるようになります。UXデザイナーとしての役割は単に美しいデザインを創出することだけではなく、ユーザーのニーズを深く理解し、それらを実現するための戦略を立てることです。この記事を通じて、UI、UX、CXの違いが明確になり、あなたのプロジェクトにおいてより効果的な役割を果たすことができるでしょう。

弊社ではUXデザインコンサルのご相談をお請けしております。お気軽にお問い合わせください。

株式会社VERSAROC
代表取締役 江渕大樹
hiroki_ebuchi@versaroc.co.jp

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