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▶建築レポ #61 『旧奈良県立図書館』

洋館巡りを始めてから「和洋折衷建築」や「擬洋風建築」なるものを知りました。

「和洋折衷建築」とは、近代日本において建てられた和風建築と洋風建築の要素を意図的に折衷した建物で、

「擬洋風建築」とは、木造日本建築に西洋建築の特徴的意匠や、時には中国風の要素を混合した建物とあります。

今回は「和洋折衷建築」の一つである旧奈良県立図書館(城址会館/じょうしかいかん)を訪れました。

旧奈良県立図書館の建築物は、1908年(明治41年)、奈良県最初の県立図書館として奈良公園内(現在の県庁の南側)に建てられました。

奈良県庁の旧庁舎は現存しませんが、その形状はとてもよく似ています。
その後、1968年(昭和43年)に大和郡山市にある郡山城内に移築され、現在は城址会館として利用されています。奈良県指定有形文化財。

木造2階建、入母屋造(いりもやづくり)、千鳥破風(ちどりはふ)付きの主棟と、その両側に平屋建、切妻造(きりづまづくり)の翼部を配した左右対称の構成をとっています。

木骨構造に和風の外観と洋風の内装を施した建物で、外観には日本の伝統建築の意匠が多く採用されています。

特筆すべきは、リズミカルに並ぶ上げ下げのガラス窓です。
純和風の外観にそぐわない縦長の洋風の窓。

窓ガラスには「手延べガラス」がはめられています。
「手延べガラス」は、職人が手作りしたガラスで、表面がゆらゆらしたガラスで、 現在では、職人が存在しないため再現することは不可能といわれています。

ちなみに橿原市にある旧高市郡教育博物館もまた類似した外観をもっているようです。

それにしてもなぜ外側は和風で内側が洋風なのでしょうか?
和風礼拝堂の滋賀のスミス記念堂が思い出されます...✨

いずれにしましても、こうした美しい建築物が残されていることは有難く、この先もずっと大切に保存されることを祈るばかりです。

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