フルアルバム、販売開始しました
そうなんです。
Plum Phish Project
というグループ名で、
The Day for Plum Phish, 01
プラムフィッシュにうってつけの日、01
というアルバムタイトルです。
衝動的なリフ、情熱的なドラム、抒情的なソロが渾然一体となる新しいポストロックでオルタナティブなジャズです。
一貫したテーマを感じられる名盤となりました。
演奏は私(Guitar & Bass VI)と妻(ウィンドシンセ)でドラムは打ち込みです。
以上からご購入いただけると幸いです。
アルバム全体でご購入いただければ、セルフ・ライナーノーツが付属します。
このセルフライナーに曲それぞれに込めた思いやら、できた経緯やらを書いてしまったので、このnoteでは作成した本人が考える聴き所を書いていきたいと思います。
それぞれ曲のタイトルのすぐあとにそれぞれの曲を貼っていますので、そちらから試聴できます。
まずは特におすすめのトラック
もちろん、全体として1つの作品であるという点を意識して作っているので、やはり一本通して聴いてほしい、というのがホンネですが……。
特におすすめのトラックとしては、
変拍子が好き!
→8曲目、「The Moon Seen from the Mud at Dawn(夜明けの泥濘から見る月は)」
ネオソウル的なグルーヴが好き!
→4曲目、「Please Dance Until the Fog Clears(霧の中で踊ってくれ)」
アンビエントが好き!
→6曲目、「Short Break(小休止)」
辺りでしょうか。
Prolpgue
1曲目、プロローグですが、アルバム全体のイントロダクションです。
セルフライナーにも書いたのですが、ケーブルにギター等を何もつながずにおいたノイズをエフェクターで加工して、作ったものになります。
聴き所について。
ともあれ1分に満たないものなので、そういうノイズ系の音楽が好きな方は是非、フルでご一聴いただきたいと思います。
もしそうじゃない方であれば、最後の10秒でよいので、そこから次の曲、Where the Last Train Goes(最終列車の行く先は)への接続に注目していただきたいですね。
このプロローグが、いかにアルバム全体のイントロダクションとなっているかを感じていただけるかと思います。
Where the Last Train Goes
最終列車の行く先は
次の曲は邦題:「最終列車の行く先は」です。
この曲の聴き所はまず、"テーマ"(※)を構成するギターのリフでしょうか。
同じことの繰り返しなのですが、ワウペダルとOBNE Dark Star Pad Reverbを用いて非常に抒情的に演奏しています。
(※ジャズはアドリブの世界ではありますが、曲の最初と最後にその曲の文字通りテーマとなる、その曲ごとの決まったメロディーを演奏します。この決まったメロディーが演奏されている部分を「テーマ」と呼びます。)
さらに長く聴いていただけるのであれば、3:00前後まで続くだんだんとエフェクターが増えていくギターソロも見事なものと自負しています。
最後に、即興演奏的なドラムも聴き所のひとつです。
上にも書いた通り、ドラムはすべて打ち込みですが、根気と気迫で即興演奏に聞こえるように打ち込んでいます。
It Was Raining All Day Today
今日は一日、雨が降っていた
イントロダクションを除けば比較的短めの曲ですね。
聴き所はやはり流麗なウィンドシンセのソロですね。
特に、00:45からの高みから降りてくる光のようなソロが最高です。
また、そのソロに導かれるようにBass VIのリフとドラムが続いていく様は見事だと思っています。
あと、ドラムの打ち込みに関してですが、キック・スネア・ライドあとフットのハイハット、というジャズの最低限のキットで表情をつけている点にも注目していただけると嬉しいですね。
Please Dance Until the Fog Clears
霧の中で踊ってくれ
この曲はともかくBass VIのリフを聞いていただきたいですね。
3小節で1単位を成すリフなんてほとんど聞いたことがないかと思います。
この曲はそんな3小節1単位のリフを繰り返しつつも、全体の構成は
3
3
4
3
4
の全17小節となっており、非常に複雑なもの。
そのうえで織りなされる若干の"汚れ"を感じさせるウィンドシンセのソロも絶妙だと思います。
Mostly Blank
ほとんど空白
この曲はフリージャズから始まるように聞こえますが、実際にはギターが常にトップノートで同じメロディーを演奏し続け、全体にある種の統一性を持たせています。
そのメロディーを意識しながら聞いていただけると嬉しいです。
特に1:35以降にあるグルーヴに収束するのですが、それでもその原則は貫いています。
そのため、もしフリージャズ的な演奏が苦手であれば、1:35以降から聞いていただいても、トップノートで演奏され続けるメロディーによる統一感、という醍醐味は楽しんでいただけるかと思います。
Short Break
小休止
聴き所……、難しいんですよね、この曲というかこの演奏。
ギター一本にエフェクターでエレクトリックでアンビエントなフリージャズを演奏しようと思ってできた曲になります。
その中でも2:00~から始まる、迫りくるようなサウンド、そしてそれが収束してアルバムの後半戦へ、という流れは個人的にグッとくるものがあります。
Omokage
面影
この曲の聴き所は
開放弦を絡めたBass VIのリフ
そのうえで飛び跳ねるギターのリフ、
そしてハイハットの音を加工して作ったクラッシャー(下の写真のようなやつ)とスネアで繰り広げられるズレて跳ねたグルーヴ、
これらの一体感です。
また、2:45あたりから衝動的に始まったBass VIのソロは、録音している自分すら驚いた演奏になります。
当初はBass VIのソロを入れる予定はなかったのですが、録音中、衝動的にやってしまいました。
やはりこういったところに即興演奏の醍醐味がありますね。
予定にないことをしてしまったが故の苦労もいろいろとあるのですが、それはまた別のお話です。
The Moon Seen from the Mud at Dawn
夜明けの泥濘から見る月は
この曲は、9/8というヘンな拍子が3小節1単位となる複雑な曲です。
しかし、それ以上に注目してほしいのは、抑制的にBbとAの2音だけで始まったテーマから、その2音を中心とした狭い範囲で声にならない叫びへ、そして魂の絶叫へと至っていくギターソロです。
そのあとにある最後のテーマは抜け殻のように感じられると思います。
こういった声にならないような感情を表現できる楽器はエレキギターでしかありえない、と思っています。
In a Town with a View of the Sea, Until It Rusts
海の見える町で、錆びつくまで
この曲は確か2018年ごろに作った曲だったはずです。
本来は歌詞がついていたのですが、今回はインストで演奏しました。
ちなみに、歌詞はセルフ・ライナーの方にのっけているのでこちらには掲載しないことにしました。
気になる方は是非、ご購入ください。
よろしくお願いします。
さて、聴き所について。
この曲はドラムで一切スネアを使わず、すべてタムを使うことでどこかに存在するけれどどこにも存在しない民族的なグルーヴを出すようにしました。
そして、全体としては海を表現する寄せては返すグルーヴとなっており、それが2:30から嵐のようになっていく表現は必聴です。
Sunflower Withered
向日葵が枯れた
この曲は、とある方の書いた向日葵の絵にインスピレーションを得て作りました。
聴き所について。
曲の構成の複雑さを訴えてもよいのですが、1:00ごろのキメそしてその後1:15前後から始まる昇るような曲の展開を是非、聴いていただきたいと思います。
また、この曲はもともとポエトリーリーディングでライブルーピングしていたものなのですが、今回はその詩の部分は割愛することにしました。
例によって、セルフライナーの方には歌詞があります。
気になる方は是非買ってみてください。
損はしないと思います。
Epilogue
最後のエピローグですが、これも小休止などと同様に即興で作ったフリージャズです。
しかし、ルーパーを使用して和音のフレーズを繰り返しているので、ある種のグルーヴを感じていただけると思います。
この、非常に大きく広がりのあるグルーヴが、まず聴き所です。
そのうえで1:10ごろから展開されるノイズのフレーズは、風などの自然音のような響きができて、個人的に非常に気に入っています。
また、「曲」の聴き所とはいいがたいのですが、このエピローグ、ひいてはこのアルバム全体をあるていど集中して聞いていただけると、きっとアルバムが終わった後、日常響いているさまざまな環境音が大きく聞こえるようになっているかと思います。
そのような、日常との連続性も、このアルバム全体で意識した部分なので、アルバムを通して聞いた後の環境音も、聴き所のひとつだと考えています。
終わりに
さて、ここまで製作者が考える、アルバムの聴き所を述べてきました。
「じゃあ全体を通してはどうなの?」
と聞かれると、
「全体を通して即興演奏であることを全面的に押し出すようにしているので、その点を聞いてください」
と答えるでしょうか。
特にドラムは打ち込みですが、その中で即興性が感じられるように作る点に苦労しました。
その辺はまた別のお話です。
ミックス・マスタリングで意識したことやらなんやら、語りたいことは山ほどあるので、その辺もまた記事にするかもしれません。
https://www.instagram.com/secondarybeatsandguitar/
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