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2024年GWの日銀・為替介入

2024年5月31日、財務省は外国為替市場で4月26日から5月29日までに計9兆7885億円の為替介入を実施したと発表した。 政府・日銀による為替介入は2022年秋以来、約1年半ぶり。 GW中の4月29日、1ドル=160円台まで円安が加速したが、その後、急速な円高となり、5月上旬に1ドル=151円台まで円高となった。 関係者への取材で財務官の回答は「今はノーコメント」。市場では、政府・日銀が介入の事実を明らかにしない「覆面介入」という見方が強まっていた。 財務大臣の権

    • 「金融・資産運用特区」構想

      2024年5月22日、岸田首相は海外投資家イベントで講演し、資産運用立国の実現に向けて特区の創設の取り組みの加速化を述べ、日本への投資拡大を呼びかけた。「金融・資産運用特区」構想が動き出す。 特区においては、海外投資家向けのビザ創設や行政手続きの改革など30項目を盛り込んでおり、特区の候補地には、札幌市、東京都、大阪府と大阪市、福岡県と福岡市が名乗りを上げた。  札幌市は、再生可能エネルギーの供給基地を目指しており、脱炭素に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)事

      • 「年功序列」と「成果主義」

        人事評価制度の年功序列と成果主義の違いについて書きます。 【年功序列】企業は、社員とその家族を将来にわたって面倒を見るという終身雇用を打ち出し、年功序列によって、社員の長期勤続に対するモチベーションを維持してきた。1960年代の高度経済成長期に、労働力の安定的に確保する必要があったことから生まれた制度で、日本では広く年功序列が普及していた。 勤続年数や年齢を基準に構築された人事制度である人件費を抑える経済的合理性の面でメリットがあり、日本企業で主流でした。技能と勤続年数を

        • 経済学を学ぶメリット

          経済学を学ぶことは、個人や社会にさまざまなメリットについていくつか紹介します。 論理的思考力の向上: 経済学は、資源の配分、価格の決定、企業行動、消費者行動などについての理論的な知識を提供する。これにより、経済的な出来事や現象を理解し、論理的に考える能力が向上する。 意思決定の一助: 経済学は、個人や企業が効率的な意思決定を行うためのツールである。例えば、投資判断や消費行動、生活費の管理など、日常的な意思決定に役立つ。 社会的課題の解決: 経済学は社会全体の動向や問題に

        2024年GWの日銀・為替介入

          金融所得を考慮した社会保険料負担

          2024年4月25日、厚生労働省は金融所得を考慮した社会保険料負担について検討を始めた。 金融所得といえば、株式の売却益や配当、債券の利子など。今年開始された新NISA制度を利用することで、株式の運用益に対する所得税や住民税は非課税となり、年間最大360万円、上限が1800万円まで投資可能である。社会保険料の負担もない。この大きな非課税枠が魅力的で、投資を始めた人も多いはず。 NISA制度による運用益に対して社会保険料負担が求められるのではないかという懸念が広がり、注目が

          金融所得を考慮した社会保険料負担

          1ドル=158円33銭

          2024年4月第4週の為替レート(ドル・円)は大きく推移し、4月26日のニューヨーク外国為替市場で円は1ドル=158円台前半まで下落した。当週は、アメリカの個人消費支出・四半期GDP成長率の発表、日銀・金融政策決定会合等があった。 2024年4月22日:1米ドル=154.79円 2024年4月26日:1米ドル=158.33円 1990年5月以来、34年ぶりの安値。 円安ドル高の要因として、アメリカの高金利、高インフレ、日本の低金利などが挙げられる。 現在、FRB(連邦

          1ドル=158円33銭

          在職老齢年金制度

          在職老齢年金制度は、60歳以上の厚生年金加入者が、働きながらも老齢厚生年金を受け取ることができる制度である。これは、現役を引退した厚生年金加入者に、年金制度を支援してもらうという考えに基づいて運用されている。 年金と賃金の合計が「支給停止調整額」を超えると、在職老齢年金の支給が一部または全部停止する。 2024年度において、年金月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円(基準額)を超えると、超えた分の半額が年金から差し引かれることになる。ただし、老齢基礎年金には影響がなく、

          在職老齢年金制度

          世帯分離

          世帯分離とは、世帯分離とは住民票で1つと数える同居人世帯を、2つに分けて登録することである。 例えば、親子、兄弟、パートナーなどが同居している場合、同一世帯または世帯分離という選択が可能である。 世帯分離を選ぶと、同居しながら世帯主が複数人いることになる。同居している夫婦については基本的には世帯分離ができない(民法第752条)。 同居していても、家計管理は別々に行う場合が多く、別生計を明確にするために、住民票の上で世帯分離の仕組みがある。 【世帯分離のメリット】 世帯

          世帯分離

          国民健康保険料の減額

          国民健康保険料の減額について書いてみます。 国民健康保険料は前年の世帯全体の所得額をもとに金額が決まり、毎年6月中旬に国民健康保険料決定通知書が世帯主あてに送付されます。 国民健康保険料の内訳は以下の3つです。 所得割: 所得額(前年の世帯総所得)に基づいて計算。夫妻で働いている場合は両者の所得を合算して考慮する。 均等割: 世帯の人数に応じて決まる。収入のない主婦や子供も世帯人数に加算される。 世帯割: 世帯ごとに市町村で定められた金額が算定される。自治体によって世帯

          国民健康保険料の減額

          高齢者の医療費負担

          今回は高齢者の医療費負担について書いてみます。 70歳になると、原則として「高齢受給者証」が交付され、医療費の自己負担割合が基本的に2割となる。 75歳になれば、「後期高齢者医療被保険者証」が交付され、原則として1割自己負担に軽減される。2022年10 月1 日から、 75 歳以上で一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が2 割になった。 高齢期を迎えると、若年時に比べて通院回数が増え、医療費もそれなりにかかる。医療費が高額になったとき、高額療養費制度を活用でき

          高齢者の医療費負担

          テイラー・ルールとFOMC3月会合

          テイラー・ルールは、として、インフレギャップ(現在のインフレ率と目標インフレ率の差)とGDPギャップ(現在のGDPと潜在GDPの差)で適切な政策金利を定める方程式である。経済学者のテイラーが1993年に提唱した。 政策金利=α(インフレギャップ)+β(GDPギャップ)+インフレ率+均衡実質金利 現在のインフレ率が目標インフレ率を上回るほど、また、GDP成長率が潜在GDP成長率を上回るほど、政策金利が引き上げられる テイラー・ルールは、FRB(連邦準備制度)の政策決定に影

          テイラー・ルールとFOMC3月会合

          マイナス金利政策

          日本銀行(日銀)が3月18・19日に開く金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を決める見通しとニュースが報道された。2007年以来17年ぶりの利上げになるか。 マイナス金利政策は、インフレ率2%達成のために、日銀が2016年に導入した施策で、銀行が日銀に預けている一部のお金に対して逆に金利を支払うことである。この政策によって、各銀行は日銀に預けているお金の一部に対して0.1%の金利を支払わなければならなくなったので、 銀行は企業や個人に対して

          マイナス金利政策

          プロジェクトマネジメント

          プロジェクトマネジメントは、特定の目標を一定の期間で達成するために計画を立ててコントロールする業務で、プロジェクトを成功に導くための総合的な管理手法である。スケジュール、人員、資金、物的資源などの管理を含む。 プロジェクトの特徴として、4点挙げられる。 (1)明確な目標がある (2)必ず開始時点と終了時点がある (3)一時的な組織が担当する (4)目的達成のための予算が割り当てられる (5)複数の工程で構成される。 (6)予期できない事態が起こる。(柔軟性が求められる)

          プロジェクトマネジメント

          無我

          無我とは、あらゆる事物は現象として生成しているだけであり、それ自体を根拠づける不変的な本質は存在しないという意味の仏教用語(出典:Wikipedia)。 「無我」を理解すると、「私たちはより生きやすくなる」と言われている。 とはいえ、「自分が〇〇したい」といった類の「行動主体が自分」という感覚を持っている。 自我とは、哲学において認識・感情・意思・行為の主体を外界や他人と区別していう語(出典:Wikipedia)。 「自我」があることにで、財産や肩書きなどにとらわれて

          日経平均株価の最高値

          2024年2月22日、日経平均株価の最高値が34年2か月ぶりに更新し、3万9098円68銭まで上昇した。 1989年12月29日の3万8915円87銭がこれまでのピークであったが、その後、バブル経済が崩壊し、長期にわたり景気と株価が低迷した。いわゆる「失われた30年」とよばれる日本経済の停滞期に突入した。 デフレ経済を脱却するために、財政出動と金融緩和を長期にわたり実施し、円安が進んだ。最近は輸入関連企業の業績が好調であり、企業の最高益が期待される中で、株価がようやく回復

          日経平均株価の最高値

          GDPランキング4位

          日本の2023年名目GDP(国内総生産)は、米ドル換算で4兆2106億ドル(591兆4820億円)となった。その結果、名目GDP世界ランキングが4位となり、同年名目GDP、4兆4561億ドルを計上したドイツが3位に浮上した。 日本の名目GDPが、アメリカに次いで世界2位の時もあったが、1990年代のバブル経済崩壊以降、長年にわたって低成長経済やデフレが続き、2010年にGDPで中国に抜かれ、以降、世界3位の位置で推移していた。 しかし、2022年3月のロシアのウクライナ侵

          GDPランキング4位