カットデビューがフィリピン人だった話 ~バカとハサミは使いよう~
国内で美容師をしていて、カットデビューがフィリピン人だったなんて
私ぐらいではなかろうか。
美容師仲間や友達にこのことを話すと「らしくてウケる」なんて言われる。
カットの検定をクリアし、まずは女性のカットモデルをこなし、
着実にカットの技術を身に付けて、店長からも合格をもらっていたときに、
突然のカットデビューだった。
「いつでも入客(お客様を担当すること)できるように、覚悟しておけよ!」
と店長に言われていた。
カットデビューは キッズだったり、ロングヘアを整えるような女性から、
というのがお店のルールだった。
覚悟はしていたつもりだし、早くデビューしたくてたまらなかった。
自分はどれだけ通用するのかと。
自信はそこそこあった。
いや、ありありだったのかもしれない。
その日は店が忙しく、当時スタイリストは店長だけ。
今日がデビュー日になるかもしれない、とは思っていた。
「頼むぞ。」
店長から声がかかった。
「はい」と返事して、アシスタントからスタイリストになる瞬間。
待ち合いには、フィリピン人女性。
。。。
。。。
。。。
しかも、日本語が話せないようだ。
受け付けにいたアシスタントも 日本語が通じないために、
挙動不審になっていた。
ははーん、店長。
日本語が通じないお相手だから、こっちに投げたな(笑)
すぐにわかった。
店長の方を見て確認すると
ウインクしてきた。確信犯である。
私だって、英語ができるわけではない。
あぁ、駅前留学でもやっておくんだったなって、
その時初めて英語ができないことを後悔した。
フィリピン人女性をお席にご案内して、
カタログを用いて、仕上がりの雰囲気をすりあわてせていく。
カット中は お互いに会話もせず(できず)、
お通夜のような静けさだったことは覚えている。
フィリピン人女性のお客様には、私が英語が出来ないばっかりに
気まずい思いをさせてしまった。。。
欲を言えば 憧れのカットデビューは
小学生の女の子をかわいく切ってあげて
「私も美容師のお姉さんみたいになりたい」って
思われるのが夢だったなぁ。
フィリピン人の髪質と日本人の髪質の違いは、カルチャーショックなんて
もんじゃなかったなぁ。
カットデビューは一生忘れないよと
先輩から言われていた理由がよくわかった。
私の場合は 人一倍忘れない出来事になりました。
自分がフィリピンに行って美容師をしているなら まだしも
国内で まさか カットデビュー時 に フィリピンとご縁があるとは!
人生はドラマよりも奇なり。
今日はこのへんで。
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