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歌と随想

あめつちに

召さるる雪の輝きを

謳ふ大巓(だいてん)

みちのくの五月

雨が上がり快晴の日の五月、郡山市喜久田町の田園地帯から見た吾妻連峰を、。
福島市に住んでいた頃はトレッキングが趣味でよく親しんだ山でした。
郡山市北部の高台からは安達太良山山塊和尚山の左裾の奥に穏やかな山容を控えめに挑む事ができます。

自分のトレイルは常に単独行動で一般のハイカーがいない深い森や暗い沢筋、鬱蒼とした藪径を好むスタイルでした。
遭難のリスクを考えると「そろそろ止めた方が良いのでは?」と五年ぐらい前から考えるようになり、郡山市へ移住したのをきっかけにあれほど好きだった趣味を止め、色々取り揃えていた山用グッズを全て廃棄してしまいました。

中高年になり仕事や生活に余裕が出てきてから登山を始める人が多いですが、自分の場合、ある程度余裕ができてから登山や沢登りを止めてしまった訳です。
年を重ねる毎に行動予定時間をオーバーするようになったり、ルートミスを冒したり、筋肉の痙攣をおこす頻度が高くなったりと衰えゆく体力を感じるのは寂しいものです。
「まだまだ若い!」とか「まだまだやれる!」
と自分自身に見栄を張るより、引き際を見極める事も大事ではないのでしょうか?

頂にまだ雪を残す五月の吾妻連峰。
針葉樹の樹林帯ではミツバオウレンやコイワカガミ。火山瓦礫地帯ではチングルマやミヤマリンドウなど、そして高層湿原ではミズバショウ、リュウキンカなどの高山植物が咲き競っている事でしょう。
五月雨の季節ともなればこの山域ではじめて存在が認められたヤエハクサンシャクナゲも咲き出します。

*春過ぎて夏来たるらし白栲の衣干したり天の香久山 (持統天皇)

*五日ふりし雨はるる山腹の吾妻のさぎり天のぼり見ゆ (斎藤茂吉)





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