あの頃の塵ほの舞ひぬ窓の陽に 表紙の夕陽褪せゆく本の いつもではないが、ふと読みたくなり書棚から取り出す本が幾冊かあります。 『生きいそぎの青春』(高沢晧司 講談社)もそのうちの一冊。 もう記入した事すら忘れてしまったのですが、 (S59.8 青山書店)のメモが本の最終ページに残っています。 ちょうど40年前の書籍(初版が同年4月)。 外苑前の職場に勤めていた頃購入したと思うのですが記憶がなんとなく曖昧。 ただ、書かれている内容に当時衝撃を受けたのを覚えています。 当
あめつちに召さるる雪の輝きを謳ふ大巓(だいてん)みちのくの五月雨が上がり快晴の日の五月、郡山市喜久田町の田園地帯から見た吾妻連峰を、。 福島市に住んでいた頃はトレッキングが趣味でよく親しんだ山でした。 郡山市北部の高台からは安達太良山山塊和尚山の左裾の奥に穏やかな山容を控えめに挑む事ができます。 自分のトレイルは常に単独行動で一般のハイカーがいない深い森や暗い沢筋、鬱蒼とした藪径を好むスタイルでした。 遭難のリスクを考えると「そろそろ止めた方が良いのでは?」と五年ぐらい前か
それぞれの金色詠めば懐古趣味 あなたは晶子私は八一 時を経て甘さのわけも変はりけり 水蜜桃と福島の桃 言の葉はつむがれ続け天に舞ふ 弟上娘子の想ふ火の穂も 君もまた同じ病か 点滴の針の感触それぞれに詠む 同年代二人に一人の確率の 独りになりて有名無名 シャルドネも熟成せねば旨からず グラス回せば涙が語る アボカドの果肉のごとき文節よ 嗚呼もどかしきわが文語体 アボカドの種の形にまろまりぬ 寒き夜半読む歌集
薮百舌鳥の 哭のみし泣かゆ 朝夕に いたもすなべなみ 我の声かも なんとなくの雑感。 意味が通らなければ、それでも良いような軽薄な歌です。 本歌 『君に恋ひいたもすなべなみ葦鶴の哭のみし泣かゆ朝夕にして』万葉集巻三456 余明軍 (挽歌) #短歌
「五百年を 戦ひ滅ばぬ 星なく・・」 と 説きて燃ゆらむ ペテルギウスよ 「いほとせ を たたかひ ほろばぬ ほし なく」 と ときて もゆ らむ ペテルギウス よ 冬晴れの夜 オリオン座を見上げながら、。 ペテルギウスの光が地球まで届くのに五百年だったか? また、仏教では五百年が盛衰の周期としているそうです。 #短歌 #短歌フォト #オリオン座 #ベテルギウス
ルリッルリッと 鉛の空に 色添へて 小鳥ちりばむ 枯れ葺く野辺も 冬枯れに遊ぶカワヒラという小鳥を、。 鳴き声は人により表現が違うと思いますが、。 結句の「も」は詠嘆を表す終助詞です。 #短歌 #短歌フォト
枯るる山 透かし彩る 虹越しに 今だ見ゆかも 昔の夢を 冬枯れの山肌に架かる虹 #短歌 #短歌フォト
切れ細む いなりの眼 かき積みし 落ち葉に射す陽 まぼる静けさ きれ ほそむ いなり の まなこ かき つみし をちば に さす ひ まぼる しづけさ お稲荷様の祠の前にかき集められた落ち葉を。
燃ゆといふ 言の葉軽く 浮かべては 公孫樹見上ぐる 平和の有りて もゆ と いふ こと の は かろく うかべ て は ゐてふ み あぐる へいわ の あり て イチョウの黄葉を見上げて、。 #短歌 #短歌フォト
宮太鼓 響みて揺るる 槻黄葉 新嘗向かへ ふる陽も淡く みやだいこ とよみで ゆるる つきもみぢ にひなめ むかへ ふる ひ も あはく 新嘗祭、七五三のお参りの参拝者 ちらほらのお社にて。
蒼穹に くしゃみのひとつ 白くふく 雲と昇らづ 霜と降らづの 冬晴れの朝のくしゃみ、。 瞬く間に消ゆ我が白き息 #短歌 #短歌フォト
【金盞香 立冬 末候 一】 しだり尾を なぞる刹那の 雨音に 凍ゆ肩かも ながながし夜 しだりを を なぞる せつな の あまをと に こごゆ かた かも ながなが し よる 今さらながらと思いつつ 開いた百人一首。 第三番 人麻呂の歌に目をやった途端 窓を叩く風雨、。