見出し画像

「奇跡の社会科学」(中野剛志著、PHP新書)ポランニー②

寒いけど、冬が大好きなぽんニャンです🐱❄️

さあ、ポランニー編は2回で終了です。
最後トクヴィルと繋がります。
現在絶賛展開中の新自由主義の弊害とは?

それではどーじょー😊

産業革命後の市場経済は、自然・人間・貨幣を商品化した。
そして、生態系・共同体・産業組織を破壊した。

金本位制
19世紀イギリスが制定。
外国貿易を重視し、外国為替を安定化させるために、各国の通貨と金との交換を義務とし、その交換比率を固定するもの。
貨幣が商品化された。

金本位制の問題点
国際収支が赤字になりそうになると、金が海外へ流出。その間国内で貨幣が不足する。
すると、貨幣価値が上がり、物価が下落してデフレとなる。
このデフレが生産組織を破壊するとポランニーは言う。
企業は、原材料の価格と労働者の賃金を、長期契約によって固定的に取り扱っている。
だから、デフレになってもそれらを同じペースで引き下げることができず、赤字に耐えられない企業は倒産していく。
つまり、生産組織が破壊されていくということ。

新自由主義のイデオロギー「市場に任せれば、全て上手くいく」で、生態系・社会生活・産業組織を破壊する社会を正当化してきた。
ポランニーは市場経済の支配が拡大していく反作用として、「経済的自由の原理」と「社会防衛の原理」という、二つの原理間の闘争「二重の運動」が起きていたと主張した。

「経済的自由の原理」
自己調整的市場の確立を目指し、商業階級の支持に依拠し、おもに自由放任と自由貿易を手段として利用する原理。

「社会防衛の原理」
生産組織だけではなく人間と自然の保護も目指し、市場の有害な働きから最も直接的な影響を被る人々のさまざまな支持に依拠し、保護立法、圧力団体、その他の干渉用具を手段として利用するという原理。
人間に対する社会防衛は、社会福祉政策や、労働組合など。
農業では、農協や、土地規制、農業保護の規制や支援など。
産業ではデフレ阻止にあたる。
1930年代の世界大恐慌で、世界各国は「金本位制」から「管理通貨制度」へ移行した。
これも産業組織に対する社会防衛の一種。

「社会防衛の原理」を最初に掲げたのは、ロバート・ウォーエンだったろうと、ポランニーは言う。
オーウェンの社会実験的な工場運営や社会運動が、協同組合組織の起源となった。

ポランニーは20世紀前半の全体主義の出現を「二重の運動」の産物として分析している。
つまり、社会の破壊がはげしくなることに対抗して、人々は過剰に反応して結束する。それがファシズムやナチズムを生んだということ。

現代でも、リーマンショックにより、格差が拡大して、ポピュリスト勢力に推されたトランプが大統領になり、低賃金の移民大量流入が原因でイギリスがEUを離脱した。

新自由主義がはらむ最大の問題は、全体主義を呼び込むということ。

日本では…
構造改革だ❗️
規制緩和だ❗️
既得権益を許すな❗️
社会保障にも市場原理を❗️
などと30年もやっているが、ポランニーは、それはダメだと言っている。

ここで、先に挙げたトクヴィルを振り返ると、トクヴィルが挙げた「中間団体」は、民主政治を正しく動かすものと同時に、ポランニーが説く「社会防衛」でもあるということです。
今の日本にはいくつもまだ残っていますが、正しく機能しているものは少なくなっていると感じます。
つまり、中間団体でありながら、中央集権に対抗せず、自分達の保身を考え、結果権力に擦り寄って扱われる団体が数多くあるということです。
あなたが所属する○○協会、ちゃんと機能してますか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?